エピローグ
「ただいまぁ! 疲れたぁっ!」
帰宅してすぐ荷物をバサバサと投げ出し、着ていたスーツを脱ぎ捨てさっさとシャワーを浴びる。
シャワーが終わったら遅い晩御飯だ。残業している社畜に自炊する体力なんて残っていない。買いためた冷凍食品を皿に出し、レンジでピッ! で完成だ。
ほかほかの唐揚げとチャーハン、ん〜美味しい! 勢いでハイボール缶も開けちゃお!
プシッ
「っかぁーーー! この為に生きてるぅ!」
ったく、あのハゲ親父こんな時間まで人をこき使いやがって。なぁにが、「気が利かないから男の1人もいない」だ。余計なお世話だっつぅの! 大体仕事が忙しすぎて出会う暇すらないわよ。
……あぁ、でもこの前「閉じこもってばっかりじゃストレス溜まっちゃうよ」って無理矢理引っ張り出されたけど、友子に連れてってもらったハイキングは楽しかったなぁ。
森の澄んだ空気に疲れた心と身体が癒された。そういえば学生の頃こういうのが好きだったなって久しぶりに思い出したんだ。
缶チューハイを煽りながらその時の思い出を掌でコロコロと転がす。
「ふふ……綺麗……」
不思議だけど、これを眺めているとどんなに疲れていても力が湧く気がする。パワーストーンって言うのかな? お店に売ってるような水晶やアメジストみたいな綺麗な石じゃないけど、この無骨な見た目が内なる力を秘めてるって感じ。
まんまるで明らかに人の手が加わったって分かる。もしかしたら何かの遺物? 勾玉? みたいな歴史的に価値のある物かもしれないけど、あんな山の中に転がってたんだもの。私が一つだけこっそり持ってたって問題ないよね?
山、また行きたいなぁ。今度は友子と2人でアウトドアコンっていうのに参加するのも良いかも! もしかして運命の人と出会っちゃったりして! きゃー♡
ひとりで運命の人を想像して転がっているその時、玄関のチャイムが鳴った。
ピンポーン
あれ? こんな時間に誰だろう。
「はぁい」
『近付いてくるもの 完』




