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「そもそも召喚って…なんですか?なんかもうほんとわかんない。」
「それではこの度の召喚のきっかけになった瘴気被害からお伝えしましょうか…」
今から4か月ほど前に何の前触れもなくラヴァンタ国の首都からほど近い町にある
樹齢500年を超える神木とされてきた巨木の根元から黒くなりそこから瘴気を放つようになった。
町人たちが巨木を切り倒し燃やそうと試みたが瘴気がひどく近寄ることも出来ず。
そうこうしているうちに巨木全体が黒く染まり瘴気をより一層激しく放つようになった。
辺り一帯の農作物は枯れ、家畜は瘴気に触れ害獣へと変容して人を襲うようになり
町は人が住めなくなり近くの街に逃げ出した。
しかし瘴気は逃げた人々を追うように広がってゆき被害は広がっていった。
それはそのうち首都にも迫ってきて対策は待ったなしとなった。
国王をはじめ国の中枢部と神殿は過去の文献を調べたところ
数百年前にも同じような瘴気による被害があり
その際に瘴気を払う事が出来る『救世主』が存在したことを突き止めた。
そしてその『救世主』を見つける手段を。
「それが召喚?」
「そうです。この国にも他国にも救世主は存在しない。この世の物ならざる者。
それが瘴気を払う『救世主』だったのです。」
神殿の古い文献を大急ぎで読み解きようやく『救世主』を召喚する方法をみつけ
そしてこの度成功した。
「えーと、召喚されたってことはなんとなくわかりました。」
「オヤマダ様!ご協力いただけると!?ありがと…」
「ちょっとまって。納得して理解しましたってことではないからね?」
なんか前のめりに話進められても困るってば!
そもそもの話、そんな能力持ってるわけないじゃん?私はただの会社員よ?
世界を救えって言われてもそんなのムリ~
なんとなく話が途切れた時、ドアをノックする音がして
「宰相閣下より救世主様をお連れするように託っております。」
私はぬるくなったお茶を一気に煽り、話が中途半端なので不満な顔で席を立つ。
クロルス団長もそんな私の顔を見て気まずげだ。