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第1話 怪奇カタツムリ怪人のぬめる触手

 宇須美町(うずみまち)は、山と海に挟まれた美しい港町である。

季節によっては沖に大きな潮の渦が見られ、町の名の由来となっている。

寒い冬が終わり、ようやく暖かい季節がやってきた。


 町の大通りをモルモット形のヌイグルミを抱いた少女が歩いている。

髪を肩までで切りそろえた小柄な女の子だ。

ここは町の中心部で、夏になると『宇須美よさこい』という踊りの盛大なパレードが見られる。

通りの脇には踊り手のオブジェも設置されている。


 突然、少女の前方でたくさんの羽音が響いた。

近くの電線にとまっていた鳩たちがいっせいに飛び立ったのだ。

何かから逃げるように大空に飛び去っていく。

続けて、前の方で悲鳴が聞こえた。何かを叩くような音も連続して聞こえてくる。


 少女は急いでビルの陰に走り込み、そっと顔を出して音のする方向を覗いた。

音の方から、たくさんの人が逃げてくる。その向こうでは倒れたまま動かない人も見える。

最近、この町ではある事件がひんぱんに発生している。

どこからか怪物が現れて、破壊行動を起こすのだ。

その怪物は人間よりはるかに力が強く、その強靭な身体は銃弾も通さない。

警察ですら、その怪物をくい止めることはできなかった。


 今まさに怪物が出てきたのだ。

マントをつけた女性が三又の槍をかかげ、怪物に命令を出していた。


挿絵(By みてみん)


「さぁ、行くのだ。セトウチマイマイ型怪人デンデン・アズルー。思う存分暴れるのだ。この町の人間を恐怖させて、人間たちのマイナスオーラを闇海王メグダゴン様にささげるのだ!」


 女が槍を振るうと、歩道で倒れている人たちの身体から黒いモヤのようなものが上がった。

その黒い何かは槍の女の方に流れていった。


「デンーデン! キャハハハハーー」


挿絵(By みてみん)


 カタツムリを擬人化したような怪人が、触手のような腕を振り上げて駐車してあった自動車にたたきつけた。

その車は半壊して吹き飛んだ。


 近くの歩道にいた男性が、悲鳴を上げた。車の持ち主のようだ。


「うわー……。僕の愛車がー。ローンも残ってるんだぞー」


「ちょっと、そんなこと言ってる場合じゃないよ! 逃げよう!」


 女の人がその男性の手を引いて走り出す。


「デンーデン! キャハハハハーー。バカップル、ユルスマジー…… コノウラミ、ハラサデオクベキカー」


 カタツムリ型怪人の触手が長く伸び、付近の商店のシャッターが叩き破られた。


 * * *


 物陰から先程の少女が、怪物たちの様子をじっと見ていた。

幼さを残した顔が不安そうになっている。


「このままじゃだめ。あたしが行かなきゃ……」


 女の子は両こぶしをギュッと握りしめた。

彼女の左手の甲に、トランプのハートの形のアザのようなものが浮かび上がる。

少女の横で、モルモットに似た妖精が身体を宙に浮かせて言った。


「ちょっと待つケビ、イオリちゃん。今はノノちゃんとサキちゃんがいないケビ。ひとりじゃ危ないケビ」


「心配してくれてありがとう、マロン。でも、早く止めないと被害が大きくなる。だいじょうぶだよ。あたし一人だけど、やるっきゃないない!」


 地元の女子中学生、空井(うつい)イオリは不安な気持ちを隠し、ニコっと笑う。

イオリは両手を前に出し、ピンと伸ばした両方の人差し指と親指の先を合わせ、三角形を作る。


「スカイパワー・チャージアップ!」


 両手の間に三角形の光が現れた。光る三角形がクルリと半回転し、六芒星となる。

そこから光の奔流がイオリの身体を覆い隠した。


 挿絵(By みてみん)


 イオリの背後に燃え上がる炎のようなイメージが浮かんだ。

真っ赤な炎の中から、細身の赤い鳥が翼を広げて舞い上がる。

赤い鳥の姿が小さくなり、銀色のカチューシャに変わった。

中央部にはハトを模した飾りがつき、イオリの額に装着される。

セーラー服に似た装甲をまとった魔法少女の登場である。


 彼女は、ひとっ跳びで怪人たちの前に降り立った。


「お待ちなさい! セーラー服魔法少女ハートポッポ、ここに参上! この世の悪事をやめさせる。私たち、セラレンジャー!」


 魔法少女ハートポッポは両手を胸前でクロスしてポーズをとった。

槍の女がハートポッポを睨んだ。


「ええい。また邪魔をしに来たのだな、セラレンジャー。ふっ、『私たち』といいながら、たった一人だけなのだ。それで我らを止められるつもりか!」


「なめないでよ、フォークダンス! あたし一人でとめてみせる」


「笑止! ここがキサマの墓場なのだ! いくのだっ、デンデン・アズルー」


 フォークダンスと呼ばれる槍の女が命令を出すと、怪人はハートポッポに向かって駆け出した。


「デンーデン! キャハハハハーー」


 カタツムリ怪人デンデン・アズルーが触手の腕を伸ばして、ハートポッポ目掛けて振り下ろした。

とっさにハートポッポは左に跳んでかわす。

そして、ダッシュで怪人に接近した。


「セラレンキック!」


 ハートポッポは助走をつけた飛び蹴りを放つ。

しかし怪人は背中のカタツムリのカラの中に身体を引っ込めた。

蹴りはカラに命中したが、まったくダメージはなさそうだ。


「デンーデン! ヒキコモリタイノー。キャハハハハーー」

 

「そんなのあり? ズルい。あ、やばっ!」


 カラのまま転がってきた怪人をハートポッポは慌ててよけた。

ハートポッポは後ろに跳んで怪人から距離をとった。

怪人はカラから身体を出して、触手を伸ばしている。


「こうなったら……。ポッポロッド!」


 ハートポッポの右手に、卓球ラケットに似た小型の杖ポッポロッドが現れた。

ペンを待つようにしてポッポロッドを握る。

左手にはピンポン玉サイズの赤い光の玉が現れた。


「いくよっ! キャイガーボール!」


 光の玉にラケット型の杖を打ち付けた。

こちらに向かってくる怪人目掛けて、赤く光る玉が一直線に飛ぶ。

光の玉は怪人デンデン・アズルーをとらえたようにみえた。

しかし、ぬめるその身体ですべらされ、光る玉は怪人の後方に飛んでいった。


「えっ? うそっ」


 ハートポッポは驚いた隙をつかれ、怪人の触腕の一撃を受けてしまった。


「きゃあああ!」


 吹き飛ばされたハートポッポは近くのビルの壁に激突した。

ビル壁に大きな亀裂が走り、半ばめり込む形となった。


 槍の女、フォーク・ダンスが命令を出した。


「わっはっは。口ほどにもないのだ。やはり、たった一人では相手にならんのだ。今だデンデン・アズルー! ハートポッポを倒すのだっ」


「デンーデン! キャハハハハーー」


 怪人は伸ばした触手を振り上げて一歩、また一歩とハートポッポに迫っていく。

その時、複数の黒い(つぶて)のようなものが上空から飛来し、怪人デンデン・アズルーの足元でパパパパン!と炸裂した。


「誰なのだっ! どこにいるのだ!」


 フォーク・ダンスが周りを見回すと、どこからかギターのゆっくりとした調べがきこえてくる。

その方向を見ると、近くの電信柱の上に人影があった。


 黒の燕尾服を身にまとい、黒のシルクハットを被っている。

黒マントを風になびかせたまま、こちらに背を向け立っている。

そして、細長い漆黒の旅ギターをつま弾いている


 黒衣の者は演奏を止め、振り返った。

帽子をかぶった顔は目も鼻も口もなし、つるりとした焦げ茶色の仮面をつけている。


「スカッと参上、スカッと回復。さすらいの回復師ハティ・ダンディ、ここに推参!」


 黒衣の仮面は電柱から飛び降り、ハートポッポを助けおこした。


「ハティさん、ありがとうございますっ……。痛たた……」


「しっかりしろ、セラレンジャー。本日の回復アイテムはこれだっ」


 黒衣の仮面は駄菓子の『ぽりぽりラーメン』の小袋をハートポッポに渡した。


「わかりました。いただきます」


 ハートポッポは袋をあけ、中の即席めんを口に運んだ。

懐かしさを感じるチキンの風味とサックサクの食感が、口の中に程よい余韻を残す。

不思議なパワーがこめられていたのか、彼女の身体から痛みが消えていた。


「力が湧いてくる! おいしいって、幸せです!」


「セラレンジャー! 今の幸せな気持ちを光に変えて、あの怪人を闇から解き放て!」


「はいっ! やるっきゃないない! 気合いだー」


 ハートポッポの背中から、鳥の翼に似たオーラが広がった。


挿絵(By みてみん)


 その左手の上に、先ほどより強い輝きの光球が現れた。


「アババイボール・オーバードライブ・シュート!」


 ハートポッポはラケット型の杖を下から上に大きく振り、光の球に叩きつけた。

光球は大きく空中にあがり、獲物を狙うハヤブサのように怪人目掛けて急降下した。

そして、輝く光球は怪人デンデン・アズルーに命中した。


「デンーデン! なんか気持ちよくなってきた……」


 怪人デンデン・アズルーの姿がぼやけたようになり、どこかに走り去っていった。


「ああっ、どこに行くのだデンデン・アズルー。おのれ……。かくなるうえは、この私の手でセラレンジャーの息の根を……」


 フォークダンスが槍を構えたその時、彼女の額の宝石が赤く点滅した。


「くっ……。こんな時に帰還指令か。セラレンジャー、覚えていろよ。次こそキサマ達を倒すのだ!」


 フォークダンスの背後の空間が割れて、そこに暗い闇の世界が広がっているのが見えた。

闇の中に彼女が飛び込むと、割れた部分が何事もなかったかのように元に戻る。


「はぁはぁ……。なんとか勝てた。ハティさん、ありがとうございます……。って、もういない」


 ハートポッポが辺りを見回すと、すでにハティ・ダンディの姿はなかった。

かわりに妖精マロンが、ふよふよと浮きながら近づいてきた。


「心配したケビー。ハートポッポが無事でよかったケビ。あ、マロンもそのお菓子たべるケビ」


 魔法少女ハートポッポは変身を解いて、空井イオリの姿に戻る。

その手には、ぽりぽりラーメンの袋が残っていた。


 イオリはクスッと笑って、袋をマロンに差し出した。


 * * *


 ビルとビルの間の谷間、暗く狭い路地を一人の女性がとぼとぼと歩いている。

襟なしのビジネススーツを着たOLとおぼしき女性は、暗く沈んだ顔をつぶやいた。


「あたし、大変なことをしちゃったみたい。いっぱい壊していっぱい迷惑かけた。あたし、これからどうなるの……」


「君のせいではない。そして、安心するがいい。壊された建屋も自動車も、奇跡の力でほとんど再生されているようだ」


「え? 誰? ……あなたはさっきの……」


 女性の前の方で、黒い燕尾服の者が背を向けて立っていた。


「仕組みは我にもわからぬが、奇跡の力でケガ人も9割以上回復し、被害者の記憶もあいまいになるらしいぞ。君は何も気にすることはない」


「そう……。ありがとう。でも、どうしてそっちを向いているの? 顔を見せてくれないと怖いけど」


「すまぬな。故あって我は素顔を見せることはできない。我だけが君の顔を見るのは不公平であろう」


「そうなんだ。でも、仮面のままでいいからこっちを向いてくれないかな。少し話を聞いてほしいの」


「よかろう。我でよければ話を聞こう」 


 ハティ・ダンディは女性の方を向き、帽子のつばを少し押し上げた。

こげ茶色の面があらわになる。


 女性はポツポツと自分の身に起こったことを語り始めた。


 その女性は少し年上の男性と出会い、初めて本当の恋をした。

優しく思いやりのある男性と、何度かのデートを重ねた末に、結婚の約束をしていた。


 結婚式の場所や日取りを調整しているときに、事件が起こる。

大企業で役職についているという男性は、他者の失敗の責任を押し付けられ、金銭的に困っている様子であった。

女性は貯金を崩して男性を援助をした。ただ、必要な金額には及ばなかった。


「あたし、その人を本気で愛していたの。その人のためなら何だってできるって思ったわ」


 結婚を機に寿退社する予定で、女性は自身の勤め先の上司に退職金の前借を相談した。

上司は怪しく感じて、男性の勤め先に人物照会を行う。

そこでこれまで男性が言っていたことがウソだと判明した。

結婚詐欺師だったのだ。すでにその男性とは連絡がとれなくなっていた。


 ハティ・ダンディは女性の話をじっときいていた。

ときおり大きくうなずき、慰める言葉をかけていた。


「あたし、家族はもちろん、親戚にも会社にも結婚することを話していた。全部無しになったけどね。貯金もなくなって、あたし、これからどうすればいいかって……」


 女性はハンカチで顔をおさえながらしゃべっていた。

絶望しているところに槍の女が現れ、不思議な術をかけられて怪物になったようだ。

ハティ・ダンディは彼女の言葉を聞きつづけた。


 しばらくして、少し落ち着いたのか玉子仮面に顔を向ける。


「話をきいてくれてありがとう。少しだけすっきりしたわ」


「君の上司は話の分かる人のようだ。失った金銭を取り戻すのは難しいかもしれんが、今後の方針は相談できるであろう。君の家族や友人も心配しているはずだ」


「そうね……。いつまでもクヨクヨしててもしょうがないか」


 仮面男はスナック菓子の『じゃがじゃがポテト』の袋を女性に差し出した。


「君にあげるよ。これを食べて元気を出すがいい。駄菓子には人を幸せにする力があるんだ。君の悲しみを我は知った。君の怒りは我が引き継ごう」


 女性が菓子袋を受け取ると、仮面男は一歩下がった。

そしてどこからか黒い玉を出した。


挿絵(By みてみん)


「への字山のふもとに大きな駄菓子屋がある。落ち付いたら行ってみるといい。元気になれるはずだ。ではさらばだ。君の人生に(さち)あれっ!」


 仮面男の右手の玉が割れて、黒い煙がその姿を覆い隠した。

煙が晴れたそこには、もういなくなっていた。


 女性はしばらく煙のあとを見ていた。

そして手に持った袋に目を落とすと、封を開けた。


 * * *


 宇須美町の北部に大きく広がるへの字山。

その名の通り、空から見ると平仮名の『へ』の形になっている。

山のふもとに大きな倉庫街があり、その一角に駄菓子屋があった。

看板には騎乗の武者が弓を引く、流鏑馬(やぶさめ)の墨絵が描かれている。

町で一番大きな駄菓子屋『射手舞堂(いてまうどう)』である。


 駄菓子屋のレジのところに店名入りエプロンをつけた青年がいた。

その青年、児玉(こだま)零司(れいじ)にボサボサの服の中年男性が話しかけていた。


「例の詐欺師の件、おおむね調査は済んだよ。結構な人数の被害者が出てんだわ」


「やはりそうでしたか。皮肉なものですね。怪人の被害より、人間の犯罪の方がひどく見えるとは」


「怪人はお嬢ちゃんが頑張っておさえたんだろ。ありゃ天災みたいなもんだわ。それに比べて人間はどうだ。いじめや差別、貧困に格差社会。どこぞの国では戦争まで起きてるときたもんだ。で、例の詐欺師のおしおきも俺にやらせてくれよ。現在進行形で被害が出ているんだ。あれはほっとけないんだわ」


「ええ。お任せしますよ、探偵さん。いてもうてください」


 中年男性が駄菓子屋を出ると、入れ替わるように女子中学生の空井イオリが入ってきた。


「やあ、いらっしゃい。イオリちゃん」


「やっほーっ。零司くん。ぽりぽりラーメンって置いてる?」


「もちろんあるよ。在庫はいっぱいあるし、大人買いにも対応できるよ。ここで食べていくならお湯も出せるから」


「どうしよっかな。あっ、零司くんこれ何? ミニカー?」


 イオリは、レジの横に置いているピンク色の物体を指さした。


「あれ。イオリちゃん知らなかったっけ。これはスーパーカー消しゴムっていうんだよ」


「えー、これって消しゴムなの? これで字を消すのは、なんかもったいないね」


「結論から言うと、実際には鉛筆の字は消せないからね。昔の子供はボールペンを使って、どれだけ走らせるか競ってたらしい」


 零司はノック式ボールペンのバネを使って、スーパーカー消しゴムを走らせてみせた。


「あははは……。そうやって飛ばすんだ。おもしろいね。さて、今日のお菓子は何にしようかな。ぽりぽりラーメンの他に、キビダンゴかアンズ棒にしよっかな。あ、そーだ。零司くん、またBMGでギター弾いてよ。あれ好きなんだ」


 イオリは、レジ横に置いてある小さなギターを指さした。

ウクレレよりやや大きめの茶色のミニギターである。


「いいよ、イオリちゃん。それでは一曲……」


 零司はミニギターを持ち、弦をはじく。

ギターを弾きながら、零司は歌い始めた。


  ゆうらゆら ゆれてるよ

  あおとみどりの ラベンター

  かぜにゆらゆら ゆれてるよ


  おうさまに なれたなら

  じょうおうさまに なってよね

  ぼくのおよめに おいでよね


  ゆうらゆら ゆれてるよ

  あまいにおいの ラベンター

  のはらでたくさん ゆれてるよ


 ギターの弦を掻き鳴らして歌い終えた。

イオリはパチパチと拍手した。


「零司くん、ほんとにマザーグースの唄が好きだよね。そればっかり歌ってない?」


「オリジナルの唄も結構歌ってるよ。あ、お客さんだ。いらっしゃいませー」


 零司はミニギターをレジ横に置いた。

若いOL風の女性が、じゃがじゃがポテトが複数入った大箱をレジに持ってきた。

そこにいたのはカタツムリ怪人にされていた女性だったが、イオリは気づかないようだ。


「店員さん、いい歌声ね。ちょっといいかしら。このお菓子、箱ごと買ってもいいの?」


「もちろんです。在庫も十分ありますし、この店は大人買いする人も多いですよ」


 零司が答えると、横にいたイオリは「むしろ小さい子のお客さんが少ないと思う」とつぶやく。


「じゃあ、箱ごと買い取るわ。店員さん、駄菓子って人を幸せにする力があるのよね」


「ええ、私もそう思いますよ。この店に来る人は、だいたいそう言ってくれますね」


 それをきいていたイオリは、少し首をひねった。


「お姉さん、この店初めてだよね。今のセリフ、誰かにきいたの?」


 イオリの言葉に、OL風の女性は微笑んだ。


「ええ、素敵な黒衣の王子様……。いえ、素敵な玉子様(たまごさま)にきいたの」


このお話は特撮ヒーローもの+魔法少女もの+必殺仕事人というところでしょうか。


次回、『第2話 恐怖タコ怪人の黒い毒霧』、実力不足に悩むものに、幸あれっ。


零司くんの歌うマザーグース"Lavender's blue"の原詩はこちらです。

(原詩の著作権は切れています)


Lavender's blue, diddle, diddle,

Lavender's green.

When I am king, diddle, diddle,

You shall be queen.


零司くんの歌の歌詞は、大幅なアレンジにより原詩とだいぶ違っています。

原詩をモチーフにしたオリジナルな感じでしょうか。


メロディーも零司くんはアドリブでやっていて、同じ歌詞でも別の日には曲が違うという設定。

(著作権の終了した童謡『ハトぽっぽ』のフシでも歌えるかも)

黒衣の玉子様のひいているギターの音楽は、下の方でリンクしている『スカット参上のテーマ』で公開しています。

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[良い点] 単なるギャグファンタジーだけでなくオリジナル歌詞まである。すごいね。 [一言] やっぱラノベって絵がないと駄目だなって思ったのです。
[良い点] こんにちわ! 読みあい企画よりお邪魔しました! タイトルを見た瞬間『玉子様?! これは読まねばならんだろう!!』という妙な使命感に取りつかれました。 ほんとに玉子(仮面)様でくすっとしまし…
[良い点] ハートポッポとか武器が卓球ラケット的な何かなところとかカタツムリとかもう、笑いどころが多くて楽しいです。 すてきな玉子様のお導きでポテト大人買い(*´ 艸`)フフ
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