26部目
荷解きをしていると、外から叫んでくる声が聞こえる。
…聞き覚えがある。
「イサキ名誉元帥、ちょっと外出ます」
「ああ、30分前には戻って来いよ」
イサキ少佐は、そうはっきりといって手を振った。
自分は扉を通って、外に再び出た。
聞き覚えがある声の時点で、誰かが大体予想は付いていたが、思ったとおりだった。
「お兄ちゃん、ちゃんと会うって言ったじゃない!」
自分の姿を見た瞬間に、妹である香は叫んだ。
「分かったから、少し静かにしてくれないか!」
叫び返した。
周りの人は香を抑えるのに必死だった。
200歳を超える体を持ちながら、肉体年齢は20代前半、精神年齢も30台という状況だったので、かなり頭ははっきりしているようだった。
「私も連れて行って!」
自分はいったん船の中に何もいわずに戻った。
「…って言ってますけど、どうしますか?」
イサキ少佐に聞くと、必要な機材だけは取り出してすでに据えていた。
「いいじゃないか?入れるような隙間さえあれば」
イサキ少佐は楽観的に言った。
自分は周りを見たらなんとなくどちらでもいいような雰囲気をかもし出していたので、自分は妹を中に招き入れることにした。
そのことを言いに外へ出ると、妹は連れて行かれる最中だった。
「どうしたんです?」
「ああ、ちょっと暴行の現行犯で…」
そんなときこそ、自分の階級がものをいう。
職権乱用という反論は一切受け付けないからそのつもりで。
「ちょっと待ってくれ。自分の妹をどこに連れて行くつもりだ」
香を連れて行こうとしている一団を呼び止める。
「拘置室ですよ。そこで一晩頭を冷やせば釈放する予定です」
びっくりして、隊長らしい人が自分に言う。
「…どうだろうか。自分の顔に免じて、今回は許してくれないだろうか。ついでにこいつを拘置室に連れて行く代わりに、船に載せて調査に同行させる。かまわないな」
凄みを利かせる代わりに、柔和な笑みを浮かべる。
その裏には何かあるような感じを漂わせながら。
「えっと…いいですよ…」
隊長は、後ずさりをしながら言った。
「ありがとう。行くぞ」
解放された妹を連れて、すぐに船に戻った。
「本当にいいの?」
「ああ、歓迎するよ」
イサキ少佐たちに対応を任せている間に、自分は荷物を整理することにした。
必要と思うものだけを取り出し、他はカバンにしまったままにしておく。
10分ほどで作業は終わり、自分は妹のところへ戻った。
妹は、すぐに仲良くなっている。
それも個人の特性の一つだろう。
自分は出発の時間まで、その会話を横で聞かせてもらっていた。