25部目
数時間を経過したころ、最後の一冊を金川大尉が読み終え、全員が脱力したとき、イサキ少佐が言った。
「何か分かったか?」
「何にも…あーあ、つかれた〜。冷たいレモネードが飲みたーい」
駄々をこねる子供のように、金川大尉が言った。
イサキ少佐は、ため息をついて本を読み終わってから広げていたレポート用紙をたたむと立ち上がった。
「わかった。近くの喫茶店にでも行こう」
そういって、金川大尉を半ば引きずるようにして、他のみんなは付いていくようにして歩いていった。
喫茶店では、全員に無料で振舞われた。
「…これも、名誉元帥って言う階級のおかげなのかな…」
イサキ少佐は、悲しそうに言った。
「そうかもしれませんね」
自分は、そう返した。
紅茶をすすりながら、レポートにまとめられた今後の問題点やこれまで分かっている点を討論した。
「…だとすると、現地に行く必要があるって言うことか?」
「そのようで」
イサキ少佐の答えは、全員が一致した考えでもあった。
紅茶のカップをテーブルにおいて、隠れて店から出ると、すぐに101軍団へ向かった。
軍団長に言って、船を一隻、小隊全員が乗れて生活できるだけの空間があれば十分で、その船を借りるためだ。
「いいですよ。小型船を一隻貸しましょう」
あっさりと了承される。
「本当ですか?」
「ええ、名誉元帥のご要望とあらば」
それから軍団長はどこかに電話をかけ、2、3言だけ言うとすぐに電話を置いた。
「さて、すぐに連絡が来るでしょうから、少々お待ちになられたらどうですか?」
「それでは、ありがたく」
ソファーに腰を下ろす。
それから、雑談をしていると、扉が開けられて中佐の服をした人が入ってきた。
「失礼します。船の準備が整いました。いつでも出発できます」
「了解した。それでは行きましょう」
軍団長はできるだけ冷静に歩く。
自分達は報告しに来た中佐とともに、軍団長についていった。
たどり着いた船は、平屋建て住宅のような小さな船だった。
「計7名が1ヶ月間暮らせるほどの燃料、水、食料その他必要と思われる物資を積み込みました。いつでも出発できるようになっています。必要とあらば、その他の物資も積み込めるようにスペースを空けていますが?」
「私たちが乗ってきた船にあった私物は?」
金川大尉が聞くとすぐに船の中を指差す。
「すでに詰め込んでおります。あるべきものはあるべき場所に、あるべきではないものはひとまとめにして」
「分かりました。では、乗り込もうか」
イサキ少佐は一回り船を見てから言った。
自分達はタラップをあがって行った。
船の中は、基本的には中央の大きな部屋、倉庫が4つ、操縦席[コックピット]があり、トイレ、風呂も完備だった。
「さて、基本的セットがそろっているようで」
自分は一通り目を通してからいった。
運転するのは恐らく自分になりそうなんで、特にその周辺を見ている。
運転席は196年前と同じだった。
これなら運転するのも楽だと思う。
イサキ少佐たちは、自分達の荷物をまとめていた。
「あと3時間後に出発予定です。準備しておいてください。40分前にもう一度船内放送かけるので」
軍団長が言った。
「了解しました。協力、感謝します」
放送は、消え入るように途切れた。
「さて、誰がどこで寝る?」
イサキ少佐は仁王立ちして聞いてくる。
こちらはどう答えようか悩んでいるうちに、自然に場所が決まった。
元から荷物を置いているところにそれぞれが寝ることになった。
ただ、イサキ少佐の横には金川大尉が、自分の横にはスケース少尉が寝ることになった。
残りの二人、ギガルテ大尉とキガイ中尉は適当に寝ることになった。