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23部目

数時間経ったころ、とても微弱な電波を検知した。

「S、O、S…救助を求む!」

その電波は、漂流している船から発せられたものらしかった。

イサキ少佐はその言葉を聞いた途端に、椅子から立ち上がって乗組員を全員招集した。

それと同時に、自分に対して指令を出した。

「船は、どのような種別だ?」

「…えっと、03-96-888です」

この数字にはそれぞれ意味を持っている。

瞬時にその意味を理解したイサキ少佐は、少々青ざめた。

「この時代にもいるのか…」

「どうしたの」

部屋に戻って私服になっていた金川大尉を筆頭として、ギガルテ大尉以外は私服で戻ってきた。

「…『日本郵船』だよ。03は日本、96はその筆頭である日本郵船の固有コードだ」

「じゃあ、888は?」

「船体番号888番。98年前には史上最大といわれた超大型輸送船『愛島(めでしま)』だ。もともと日本にあったといわれている地名を付けたらしいんだが…」

ため息をつきながら、全員を椅子に座らせる。

「…その船の船長、当時は俺の親戚がしてたんだ。もちろん今は違うと思うんだがな…」

「それよりも、救難信号を発信しているということは、何かあったに違いないですよ」

自分はそういって船の進路を決定した。

「いいですよね」

「ああ、もちろんだ」

自分はそれだけ伝わると、それ以上何も聞かずに船を動かした。


1時間ほどすると、その巨体がレーダーにキャッチできた。

「でっか…」

150人分の生命反応を乗せたその巨体は、確認できるだけでも980mはあった。

「それで、どこに集まっている?」

「中央司令室です。これから船を接岸します」

こちらも船の大きさでは負けないと思うが、さすがに相手は最大といわれたことのある船。

勝負にならないほど小さく感じる。


こちらが150人の収容が可能なのがせめてもの救いか。

場所だけは分かっていたから、すぐに彼らの元へ急いだ。


「大丈夫か!」

「誰だ!」

イサキ少佐が集まっている部屋に踏み込んだ途端、銃口がこちらをにらんだ。

「第39軍団309小隊小隊長、イサキ・ミカガイ少佐だ」

その言葉を聞いた途端、どこからとも無く歓声が上がった。

「伝説の小隊か…」

「ええ、なんかそうなってるようです。何が起きたのですか?」

「その前に、あいつらが攻めてくる前にここを離れたいのですが」

彼らはそわそわしている。

何事かあるに違いない、そう判断したイサキ少佐は武装解除をしてから、船に乗せた。


「…で、どういうことなんですか?」

イサキ少佐は、貨物船から移し変えた彼らに聞いた。

「このあたりには、あるうわさがあるんです。海賊がおり、彼らは目に見えない。いつ襲われても不思議ではない」

「どんなうわさなんですか。目に見えないって言っても、物体である以上何らかの電波を出してるでしょう」

「…この世界のものでしたらです」

船長は話を続ける。

「この世界のものかどうかすら分からないものなんです」

「…科学で説明できないものは無いですよ。ここは、昔は何に使われていたか分かりませんし、その残骸が散らばっているということもあるでしょう」

「昔の地球があったところなんです。数年前、突然爆発を起こしてそれ以来誰も住まない場所になったんです」

自分達は固まった。

「…どういうことだ」

「原因不明の暴走を起こした縮退炉は、突然地球を巻き込んで消滅したんです。それ以後、この宙域には太陽も生命も何もいなくなったっていう話です」

「さて、どういうことだ?」

過去、現在、未来とつながっているこの歴史は、どこかで必ず重なる。

問題は、その事故がいつ起きたかだ。

自分はそのことを考えたが、とにかくこの近くの軍部にこの人たちと船を届けるのが先決と思い、とにかく動いた。


1日ほどかかって、荷物を全て移し変え、第101軍団へ向かった。

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