15部目
第8章 報告
「地上だ!」
一番最初に出た、ギガルテ大尉が言った。
「やれやれ…」
自分達は、地上に全員でてから、ちょっと休憩をした。
「5分経った。出発だ!」
「了解っす」
イサキ少佐の指示で、立ち上がった。
「きゃぁ!」
その時、スケース少尉が滑った。
「大丈夫か?」
自分はちょっとはなれたところにいた。
すぐに、近くにいた金川大尉が様子を見た。
「足をぐねったみたいね」
「歩けるか?」
自分は、再び座ったスケース少尉に聞いた。
「…ちょっと、難しいです…」
力を入れようとすると痛むようだ。
イサキ少佐は言った。
「じゃあ、誰かに負ぶってもらうしかないか…」
スケース少尉は、誰の目にも明らかに、自分を見ていた。
他の人も、自分を見ていた。
自分はため息をついてから手を上げた。
「自分が背負います」
「そうか、じゃあ頼んだ」
そして、自分が背負っていた荷物をスケース少尉に背負わせた。
それから、スケース少尉を背負った。
1時間もしないうちに、自分が持っている機械を頼りに船の場所に到着した。
「探査機をつけててよかったです…」
「方向が分からないところだったな」
自分が、スケース少尉を背負いながら、言った。
「船を開けてくれ」
イサキ少佐がそういいながら、あけようとした。
「…開放」
プスッという、間抜けな音とともに、スロープが開いた。
「入って…南極半島でロボットを回収してから、帰港するぞ」
「了解!」
スケース少尉は、自分が座っている操縦席のすぐ後ろに座らせた。
「すいません…」
「いや、かまわないさ」
それだけ言ってから、自分は操縦を始めた。
「全員座りましたか?」
いつもの通り、自分はセットを始めた。
南極半島では、すぐにロボットを回収が出来た。
野ざらし状態で、放置されていた。
「回収完了。格納終了したよ」
金川大尉が、自分に報告してきた。
「こちら了解。船の中に入って」
相変わらず、寒い地域の南極半島は、ちょっとドアを開けていただけで、凍りつく勢いだった。
「さむー…」
金川大尉とイサキ少佐の二人が先遣隊ロボット4機の回収に当たっていた。
「お疲れ様。とりあえず、再び衛星軌道にまで戻るから、そしたらいったん休憩を入れよう」
「分かった」
自分の意見は、そのまま通った。
「出発します。ちゃんと座りましたか?」
「すわったー」
相変わらず、子供っぽい感じの発言をする、金川大尉が言った。
「では、速力増大。50km/h、100km/h、200km/h、400km/h…6400km/h巡航速度到達。低衛星軌道到着。これより、中・高度衛星軌道へ移動します」
自分は、言いながらも操縦をしていた。
「…高高度衛星軌道到着。安定飛行に移ります」
地球の衛星軌道に入り、自分達はリビングに移った。
まだ、スケース少尉は自力で歩けないようだったので、自分がお姫様抱っこしてリビングのいつもの席に座らせた。
「さて…」
イサキ少佐が全員テーブルについてから話はじめた。
「第3宇宙ステーションへ、連絡を入れなければならない。回収が無事に終わったって言うことを…」
「そうですね…」
自分はとりあえず賛同した。
「とりあえず、隊長であるイサキ少佐がやればいいと思うよ」
最後にハートマークが入りそうな声で、金川大尉が言った。
「そう思うよね、みんな」
西海中尉に、とてつもない圧力がかかっている視線を送っていた。
全員はうなづくしかなかった。
「分かった。じゃあ、俺が流そう」
そういって、イサキ少佐が立ち上がり、発信機のところに向かった。
「あー、あー。こちら、地球派遣隊隊長イサキ・ミカガイ少佐だ。だれか、返事をしてくれないか?」
数瞬の間。
「こちら、第3宇宙ステーション、第103軍団軍団長磐木信子少将だ。ロボットは見つけたか」
「はい、発見しました。回収済みです」
「原因は?」
イサキ少佐は自分のほうを見た。
「現在、究明中です」
自分はそう答えた。
「分かりました。では、帰還しなさい」
「了解です」
そういって、すぐに切った。
「ということだ。みんな、今日はこのまま周回軌道に乗っているが、明日にはこの地球から別れるぞ」
「…了解」
あまり元気が無いようだ。
「…なあ、気持ちは分かるが、俺達は軍に属しているんだ。曲がりなりにもな。だから、軍の規則に従う必要があるんだ」
「…この隊自体が、軍の規則違反をしてますけど…」
自分は、かなり小声で言った。
それの発言は簡単にスルーされ、イサキ少佐は続けた。
「とにかく、これで解散。簡単に言って、このまま無事に戻れたらいいんだけどね…」
イサキ少佐は、なにやら怖いことをいっていた。
しかし、その言葉をまる無視して、自分達は自由時間を楽しんだ。
スケース少尉は、やけどしたあとを少し気にしているようだった。
「どうした?」
自分は彼女の横の椅子に座った。
「ちょっと、ヒリヒリするんです」
「んー…ちょっとごめんね」
そういって自分は彼女のやけどした手を持った。
ビクッと、軽く感じていた。
「あ、ごめん。痛かった?」
「いいえ、別に痛くないです…」
自分はその言葉を信用して、簡単に調べた。
ぱっと見、?度の火傷だった。
「ん。あ、ちょっと」
通りがかった金川大尉に軟膏をとってくるように頼んだ。
「はい、どうぞ」
なにやら、ニヤニヤ顔で渡してきた。
「ありがとう」
自分はその間に、スケース少尉の火傷部分を軽く拭いた。
そして、その部分に軟膏を薄く塗った。
「大丈夫か?」
自分は軟膏を塗りながらも聞いた。
「あ、はい。大丈夫です」
ドギマギしながら答える。
その上から、少しきつめに包帯を巻く。
包帯には、なんとかって言う薬草の成分が含まれているとかで、火傷や切り傷などに有効だと取扱説明書に書かれていた。
「ほい。これで良し」
自分はとりあえず、包帯をその腕に巻いた。
「ちゃんと治療は必要だけど、自分の見立てじゃ?度の火傷。つまり、軽症だから大丈夫だと思うよ」
「ありがとうございます…」
「ん」
自分はそれだけ言うと、機械をいじるために席を離れた。