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13部目

ちょっと歩くと、木々がまばらに生えている地帯に着いた。

「ここから、こっちの方向ですね」

自分は、指を指しながら、木々の隙間を縫うように歩いていた。

スケース少尉は、自分のすぐ横で歩いている。

「…なんか疲れた…」

「ほら、歩こうって」

自分は、向きを確認しながら、すぐ横で歩いているスケース少尉を歩かせていた。

「お前達は、なんかお似合いのカップルだな」

イサキ少佐は、そんな自分達の姿を見ながら、ニヤニヤしていた。

「なんっすか?」

「いや、別に」

そういって、どこか遠くを見ていた。

そのとき、急に風が吹いてきた。

「きゃっ!」

金川大尉が、最初に視界から消えた。

次に西海中尉。

次々と視界から消えていく中で、自分の足元も突然消えた。


第6章 地下迷宮


「あてて…」

ぶつけた腰の部分をさすりながら、どうにか立ち上がった。

頭上高くには、親指の先ぐらいの大きさの光が見えた。

周りには、誰も…いた。

なんかもぞもぞ動いているのがいる。

スケース少尉っぽい…

「誰だ!」

とりあえず、こうしておいたほうがいいだろう。

ビクッとしてから、その人は手を挙げながら立ち上がった。

「う、撃たないでください…」

自分は、懐中電灯を腰からはずし、その人に当てた。

おずおずとした、泣きそうな顔は、パ・スケース少尉その人だった。

「スケース少尉か…」

自分はほっとして、銃を降ろした。

懐中電灯は、相手もつけた。

「…永嶋大尉…よかった…一人じゃないんですね」

自分は、彼女のところに近づいた。

「ここは…どこなんでしょうか…」

彼女は、細かく震えていた。

「おそらく、侵入者を排除するための、地下迷宮みたいなものだろう」

「迷宮って…それじゃ、私たちどうやってここから抜け出すんですか?」

自分は、答えに窮した。

「どうにかなるだろう…」

自分はそうとりあえず答えた。

スケース少尉は、ちょっとした緊張状態に追い込まれているようだ。

何か言おうとして、何もいえない。

「大丈夫さ…だいじょうぶ…」

自分は、そんな彼女を抱きしめた。

そのとき、何か石板を見つけた。


スケース少尉が落ち着いてから、自分はその石版を見た。

「…「一人は正しい。一人は間違い。どんなものでも、二つに一つ。どちらも正しく、どちらも間違い」なんだろこれ…」

言い終わると、その石版は砂と化した。

サーっと消えたその砂を指ですきながら、スケース少尉に聞いた。

「…どうやら、行くしかないようだ」

自分は、とりあえず砂を個袋に入れて、持って行った。

「どうするんですか?」

「さあ、何かに使えるだろう」

自分はスケース少尉に、とりあえずそう言った。

そして、周りに誰もいないのを確認してから、歩き出した。


「…電波は、こちらのほうを指してるが…」

歩き初めて5分。分かれ道など無く、こちら側にしかこれないはずなのに、突然の行き止まり。

「どうしますか?」

自分は、ちょっと考えてから、その壁に触った。

「…ちょっと退いて」

自分はスケース少尉に言った。

ポシェットから、ちょっとした機械を取り出した。

「なんですか?」

スケース少尉はちょっと興味があるようだった。

「自分が開発して、そのままお蔵入りになっていた機械。ちょっといじくって、さらに強化させたんだ」

自分は、2、3歩下がってから、その機械を作動させた。


ボウンという、気の抜けた音が聞こえてから、壁が砂になった。

「これで通れるだろ?」

自分は、機械の電源を落とすと、粉末になった元壁を通って、次のところへ通った。

「これ…どんな機械なんですか?」

スケース少尉が、興味津々に聞いてきた。

「ああ、単純な仕組みさ。電波を一定方向に流し、その波長が物体が持つ固有振動数と一致するようにする。あとは、それを連続して送るだけ。それぞれが振動してもろくなってから、もうちょっと別の振動を急に与えると…」

「崩れる…」

「そういうことさ」

自分はそうやって説明をしながら、壁を壊してまっすぐに進んでいった。


「これが、最後…」

自分は、残りバッテリーが少ない機械をセットして、離れた。

ボワ〜ンと、間延びした音が聞こえた。

「…壁が、崩れない」

自分の横にいたスケース少尉がつぶやいた。

「さて…」

自分は両手を強く叩いた。

拍手をするような要領だ。

ボフッという音とともに、壁がいともたやすく崩れた。

「…どういうことです?」

「前も言っただろ?機械によって固有振動数で限界まで揺さぶられている。そこに、強い衝撃を加えたら…」

「一瞬で崩れる」

懐かしい声が聞こえてきた。

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