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凪の歌  作者: 仙葉康大
最終章
47/52

『海賊と貴族』

 稽古(けいこ)稽古稽古の連続であっという間に夏が過ぎて、秋になった。海星組の初公演が近づいて来た。凛さんは毎日、連絡を取ろうと頑張ってくれてたけど、やっぱりダメだった。


「ありがとうございました。大丈夫です。お母さんが来ても来なくても、全力でやりますから」


 凛さん、あなたが見ていてくれるなら、私は全力以上を出せると思うんです。だって、口に出しては言えないけど、私にとってあなたは、実の母親以上の存在だから。


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 海星組初公演演目、ドレアー・ガリウス作『海賊と貴族』。


 名門貴族ジュリアナ家の家宝、「永遠の指輪」を求めて、海賊ベリオットは貴族の屋敷に忍び込んだ。その際、ジュリアナ家令嬢エリーゼに一目ぼれしたベリオットは、指輪だけでなく、彼女もさらっていこうとする。


「待って。妹がいるの」

「だからどうした? 行くぞ」

「なんてことを言うの? 明日の朝、あの子が起きて、私がいなくなっていることに気づいてごらんなさい。あの子、一日中、いいえ、一週間は泣き叫び続けるわ。お別れをさせて」

「ええい。早くしろ」


 しかし、姉が別れの挨拶をすると、妹は姉に抱きつき、その場で泣きだしてしまった。このままでは屋敷の者が皆、起き出してしまう。慌てたベリオットは妹の口を塞いで言った。


「そんなにお姉様と一緒にいたいなら、お前も連れて行ってやる。おチビちゃん」


 姉妹と「永遠の指輪」を持って、自身が船長を務める海賊船に戻ったはいいが、海賊船が二隻(せき)、迫って来ていた。ゴルディアス海賊団とバッカス海賊団だ。二隻の狙いも「永遠の指輪」だった。


 逃走と闘争は何日も続き、嫌気がさしたベリオットは「永遠の指輪」を海へ投げ捨ててしまう。


「なんてことを。あれは我が家の家宝なのよ」

「大丈夫だ。そうカリカリするな。結婚指輪なら別に用意してある」


 どうせなら派手にやろうと決めたベリオットは、ゴルディアス海賊団とバッカス海賊団も結婚式に招待することにした。なお、エリーゼの妹は、ベリオット海賊団団員の中でも一番若い少年ソルと仲良くなっており、姉がするなら自分も結婚したいと申し出たが、二人ともまだ十歳だったので、エリーゼが妹を説得し、今回は我慢してもらった。


 船上での結婚式は、乱闘騒ぎ、花嫁による花婿往復ビンタ、海へ投げ捨てた「永遠の指輪」は偽物で本物は花婿が隠し持っていたこと、これら三点を除いて、何の問題もなく執り行われた。


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