2話 とりあえずびっくりする
目が覚めた。
相変わらず世界は元に戻っていなかった。
でも疲れは取れた
とりあえずいつものように洗面台で歯を磨き、顔を洗い、姿見の前で着替えてーー
「ふぁっ!?」
動揺した。
自分の容姿がかなりいいことは知っていたが…なんというかすごく綺麗になっていた。
本来人間の顔というのは左右で必ずズレがあるはずなのに、今の私はどうだろう?
完全なる左右対称、瞬きの動きさえ左右同時に閉じれるほどに、まさに人形のように。
そして自分の服も中学の制服からフィッシュテール?だっけか、そのデザインのドレスっぽい服になっていた。
前の丈が膝上5センチ、後ろの丈がその倍ぐらいの長さ、そして脚は完全に生である、いつも靴下履いてる自分からするとすごく恥ずかしい。
胸から下はしっかり隠れているが、胸から上はレース生地で透けている。
背中は大きくではないが空いているらしく少しスースーする。
全体的にふわっとした仕上げの黒いドレスになっていた。
それだけならまだ驚かなかったと思う。
今までだって寝て起きたら世界が変わってて、ウェディングドレス着てたとかあったから、それに比べたらまだましな方だ。
だから、今回驚いたのはそこじゃない。
自分の手を包むように黒い影が纏わり付いているのだ。
これに私はびっくりしたのである!
「なんなの!?これ」
誰かこの状況を説明しておくれ!
そう叫ばずにはいられなかった。
いや実際に叫んだ。
そして気がついたら手の影は消え、代わりに黒のレースのグローブが手首までを覆っていた。
フィンガーレスタイプで、中指に引っ掛けるタイプだ。
と、ここまでを見て建てられる推測は
「この影は私の服を作ってる?」
ということだ
今度は首から上を影が覆った
しばらく観察していると、その影が消え、代わりに頭から顔の右半分を隠す黒いヴェールが残った。横に大きめのリボンがついている、なんと言えばいいのか…申し訳程度の可愛さアピールみたいでちょっと複雑な気分だ。
そして足には影がまとわりつき、足に黒い影が巻きついたと思ったらそのまま黒いリボンに変わった。
靴はつま先が露出するタイプのヒール。
そこから影がまとわりつくことはなかった。
「なんというか…高速で再生したら魔法少女の変身シーンみたいになりそう」
まさにそんな感じだな〜うんうん。
と思う優綺だった。
と、次の瞬間
「この世界のこと、知りたい?」
そんな声が優綺の耳に届いた。