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2 噂



春も深まり蝶が舞うのも目に止めるほどではなくなった頃、街ではとある噂が話題にあがっていた。

王都のとある井戸場では、洗濯中の女達が、忙しく手を動かしながらその噂を口にする。


「ねえねえ、聞いた? ついにあの『我儘王女』が、嫁ぐらしいよ」

「うちの国とはいえ、とんでもなくて他所よそに出せないって、王様がお止めになってたんじゃなかったのかい」

「それがまあ、十八だからねえ」

「あの王女が、十八。もっと年がいってるかと思ったよ」


その冗談に、痩せぎすの女が笑う。


「たしかにねえ、去年のフェアリーテ様のパレードでも、小姑かってくらい厚く塗りたくって。そのくせ取り澄まして手も振りやしない。気が利かない嫁は嫌われるよ」

「しかも、金がかかるとくればね」


あはは、お気の毒にと大きく一人の女が笑い、洗い終えた洗濯物をタライに移して立ち去る。

女たちは入れ代わり立ち代わり、同じ話題に花を咲かせる。


「フェアリーテ様ももう十六だからねえ、もうすぐ話もまとまるだろうさ」

「ああ、もうそんな」


それはさみしいことだねえ、と女達は顔を見合わせた。


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