8話
―只今から、スタンプラリーを始めます。出場される方は、本部前までお願いします―
「行こうか」
「うん」
万華鏡の屋台を、気ままに覗いていた二人に、アナウンスの声が届く。本部前には、エントリーした人たちが揃う。
「巴のことだから、大丈夫だとは思うけど、それで走るの?」
「うん。足が見えてもいいように、ステテコを短くしたものをはいてるし」
そういう問題ではないだろうと、内心突っ込むが、巴は天然だったと美咲は思い直す。
「頑張ろうね」
「そうね。是が非でも上位に入らないと!」
美咲の並々ならぬ気合いを、巴は不思議に思い尋ねる。
「何かあったの?」
「それは……」
「巴ちゃん、負けたら罰ゲームね」
美咲が言葉を濁していると、またしても突如現れる海。巴に透とのやりとりを言いたくなかった美咲は、海に感謝した。
「え?罰ゲームって……」
そのとき、スタートの合図がかかる。
「それでは始めます!よーいスタート!」
みんな一斉に動き出す。クイズ式のスタンプラリー、足の速い遅いはあまり関係ない。
「まぁ、俺が勝つとは思うけど、俺が負けたときのために、罰ゲームを一応考えておいてね」
海いわく、罰ゲームがあった方がおもしろいからだそうだ。嫌みを残して走り去る。
「ねぇ、巴」
「ん?」
「なんだか腹立つわ。あの人……」
「そうね」
静かに怒りのオーラを出す美咲に、巴は着ている着物の柄のように流れるように笑う。
「あいかわらずね」
そんな巴に少しは頭にこないのかと、美咲は呆れた顔をする。
地図を見ながら、第1ポイントに到着。高台にある第1ポイントは、ジャンルの幅広いクイズ。二人に出されたのは、比較的簡単なものだった。
第2ポイントは、お皿にある大豆を10粒、隣にある口の小さな瓶に入れること。これがなかなか難しい。巴は着物の裾が邪魔にならないように、たすき掛けをして挑む。
ポイント移動中、巴は向かいの通りを走る海を見かけた。とても真剣な海の姿に、巴の胸はドキッと波打つ。視線を感じたのか巴に気がついた海は、にっこり笑って手を振ってきた。




