11話
カランカラン
「いらっしゃいませ」
「あ!剣ちゃん」
巴の声に、美咲と海が振り返る。
「皆さんお揃いでしたか」
どこかバツの悪そうな剣迩。それもそのはず、剣迩は女の子と一緒だった。
「もしかして、真琴さん?」
「はい。夏目真琴です」
剣迩の隣で、真琴はペコリとお辞儀をする。
「なになに?剣迩君も隅におけないな~」
さっそく美咲は、からかいにかかる。
「そんなとこで立ってないで、お好きな席にどうぞ」
巽が中に入るように促す。2人はカウンター席に近い、テーブル席に座った。
「あなたが巴さん?」
「えぇ」
おしぼりと水を持ってきた巴に真琴が話しかけた。真琴は、巴の髪留めを見ていた。
「よかった。剣迩君から頼まれて、巴さんに似合う物を一緒に選んだけど、似合っていてよかった」
真琴は、ホッとしたようにふわりと笑う。その笑顔には同性ながらも、巴はドキリとしてしまった。
「あ、ありがとう」
そんな巴と真琴のやり取りを見て、剣迩は苦笑する。真琴は、ここでも王子気質を披露していた。
カウンターからその様子を見ていた3人は、真琴の気質を、なるほどと納得していた。
「夏祭りは、どうだった」
「お祭り自体は知っていたけど、いつも店番だったから見て回れて嬉しかった。誘ってくれてありがとう」
真琴は巴の質問に答え、剣迩に礼を言う。
「楽しかったなら、よかったよ」
剣迩は、ふっと笑う。
「ご注文は?」
「本日のおすすめを2つ」
「かしこまりました」
剣迩と真琴を交えて、金木犀はにぎやかになっ
た。
外では、夏至祭りが宵祭りへと姿を変えていく。電燈には明かりが燈され、吊るされたフラワーボールは、昼間とは違う表情を見せている。
金木犀は、透が来るのを待って、早めに店じまいをして、みんなで宵祭りに繰り出した。




