第二三話 談話タイムと洒落込みましょう
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「……え、何で急にこんな人通り」
ワカが慌てたように言うと、二人はきょとんとした。
「いや、ずっとここはこんな人数だけど」
「待って。その前に君はハバモンド様とどんな関係なのかな?」
お付きA……違う違う。比較的赤い人が言おうとしたところを、比較的青い人が止める。
「わ、私はお父様……ハバモンドの娘で、ワカ・ユーミィ・ハバモンドと申します。えっと、こんにちは?」
「「……娘ぇっ?!」」
そこに反応するか。
げんなりしたワカは、とりあえず追加。
「はい、娘です。と言ってもホムンクルスなんですけどね」
「「……ホムンクルスぅっ?!」」
あれ、そこにも?
わたわたわたわたと慌てる二人を見ながら、こいつらどうしよーかなー。などと思っているワカの笑顔はどこまでも素敵だった。
その後しばらく二人からワカはたっぷりと説明を喰らい、軽く異世界のお勉強。
まず二人の内比較的赤めの人はミト・クティルさん。比較的青めの人はチャルスシュナイヴル・カル・ラトヴァイアさんだと解った。異世界の人は総じて面倒くさいお名前なので勝手にワカはミトさんとチャルスさんと呼んでいるが、別段二人はこれといった拒否反応を起こさなかった。もしかしたら普通にこう呼ばれているのかも知れない。まあ、名前ならワカも人のことは言えないし。
ワカが納得いかなかったのはホムンクルスの説明の時。
「え……っとお、まず何でそんな認識なんですか」
ホムンクルスのこの世界での認識は、何か悪いことさせられているというイメージ。
「だって……なぁ」
「ホムンクルスは主人と王と研究者に絶対服従。それに結構高価だから買えるのは貴族や有力商人だけに限られると来たら、もう後は……ねぇ」
お互い重要なところの説明はしたくないと言うような態度に、ワカはプチ切れた。
「貴族って悪者なんですか?」
表面上はにこにこと人の好さそうな笑みを浮かべておいて、はらわたはそろそろ美味しく煮込まれている。
「大多数はね。かく言う僕のところも貴族だけど、まあ内部は酷いもんだよ」
ふう、とため息をつきながら耽美な青年を演じてみるチャルスだが、場所が廊下では少々締まらない。
「そうか?飯は上手かったけど」
能天気にミト。
「何気なくうまいの字が違う気がするんだけど、それは気のせいかな?」
「え、だって美味くは無かったもん。不味いとは言わないけど、見た目程は無かった」
「まあ、そこは見た目重視ってことで。ほらうちの料理人三代目だからあまり腕が」
「そこは言ってやるなよ」
「ああ、ミトのところのご飯が羨ましいよ」
「……あのぉ、ラトヴァイア家の裏事情はもうお腹いっぱいですから本題に」
「「本題ってなんだったっけ」」
ワカはさすがに怒ってみても、いいかも知れない。
「ああ、貴族は悪者かって話ね」
美味しそうに煮えるワカのはらわたの音を聞いたのか、少し青ざめた顔でそう話題を繋ぐチャルス。比較的青い、がどう見ても青い、に変わっているが、まあそれはそれで。
「まだ一言しか有用な解答は得られていませんので」
それ以外はたくさん頂いたがな。
ワカはそろそろ笑顔が引き攣ってきた。
「庶民から見るとそりゃあ悪者だ」
ふっ、と不敵に笑いながらミト。それは良いがお前の容姿を考えろ。
クール系(あくまで系)のチャルスに対し、ミトはどう考えても子犬系だ。
喋り方を見ると成程それなりに年は食っているようだが、チャルスと同期だと考えると変声期は終わったのだろうか、それでも何かやたらと高い声は少年と言ったほうが良いような気もする。
やたら赤いところも含め、庇護欲を掻き立てられるような。
「そうだねー、ミトのところはかなり割を食ってるから」
「あのときの貴族の横暴な振る舞いは」
「続きはカットでお願いします」
「……」
あ、しゅんとした。ぺったりとさっきまで跳ね回っていたアホ毛もしなびている。
まあ可哀想とか思わないで行こう。一々付き合わされていたらそれこそ夜までかかるだろうから。
……あ、そうだ。そういえば二人の仕事は大丈夫なのだろうか。
そう思ったワカが二人に質問してみると、
「仕事なら大丈夫だよ。僕たちは今日は非番なんだ。さっきの王様の横暴を抑えにかかったのも評価されて」
と返って来た。
抑えにかかっただけで、「抑えた」では無くても評価が貰えるところが王様の性格を良く表しているだろう。
「でも、そんななのに付き合って貰って良いんですか?」
「「だって喋るホムンクルスって珍しくって」」
「そこ含めて詳しい説明をお願いいたします」
ホムンクルスってどんな珍獣扱いなんだ。
「や、だってホムンクルス喋らないし」
「それに主人の命令がないと動かないしな」
「てかワカちゃんが特殊なんだよね」
「それは主人の命令なのか?」
「……や、その」
喋ったら喋ったで、非常に五月蝿い。
しどろもどろになったワカに、二人はさらに畳み掛ける。
「実はスパイだったりして」
「でもハバモンド様の娘ってのは語れないだろう」
「今日いきなり飛び込んできたもんね」
「そもそも本当にホムンクルスか?」
「ね、ちょっと証拠とか見せてくれない?」
「……証拠、って言っても」
「ほら、『変身』だったっけ。合ってる?ミト」
「合っていると思うぞ。それをしてみてくれないか」
「え、それは、その」
キラキラの目が非常に何か罪悪感。
「あ、そうだ。服は生成できないって聞いたことあるなぁ」
「じゃあこのマントを羽織ってはどうか」
「あれ、ミト何でマントなんか持ってるの?」
「……あ」
「……ああああああ!」
唐突に二人が驚愕の声をあげた。
「「これ、王様のだ!」」
トラブル様のご襲来です。
久し振りにれっつトラブルメイク
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