ヨーグルト
甘い、酸っぱい、いじましい。
いつからかこんな捩れた感情が胸を支配していくようになった。
誰をどんな風に羨ましいとか妬んでいるとか、そんな難しいことは理解らない。
ただ全てが今よりもより良くて、より素晴らしい。
ただそれだけ。
あてもなく形さえ曖昧なものに憧れて羨ましがっている自分が時々やるせないのは、若さゆえの暴走だと甘やかす事にしている。
そんなに若くもない癖して・・・なんて母は嘲笑しながら、私の憧れを捻りつぶそうとしてきた。
だけど、
もう何年も寝かされて、温めてきたこの感情を今更捨てることなんて出来るはずもない。
むしろ、愛しくさえ感じてきているのだから仕様がない。
そう思えるのも、「そんなに若くない」証拠なのだろうか?
遠い思い出、甘い夢、苦い記憶と噛み砕けきれていない過去。
いつまでこんな『荷物』を背負っていくんだろう。
いつか、この『荷物』を分かち合って、共有できる相手が現れたらいいなと思う。
でも、その相手にはそれ相応の基準をクリアしていてほしい。
そう思い続けて、信じ続けて、願い続けて、そんな思いに比例するように私のこの発酵したものは順調に成長を続けて、いまや私自身を侵略しようと目論んでいる。
近い将来、私ではなくてこの『発酵しているもの』が私を支配する日も遠くない。
その前に少しでも、一瞬でも、自分自身で「幸せ」を味わいたいと思うのは傲慢なのだろうか。