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【4話-1】現代のねずみ小僧騒ぎで大パニック!

早朝6時。まだまだビル全体が暗闇に包まれまどろんでいるなか、とあるフロアでは朝から多くの人間の悲鳴と怒号が飛び交っていた。


「契約書はどこだ!」


「探せー!」


「社長が出社する前に見つけ出すんだ!」


周りで必死に走り回る上司や同僚を傍目(はため)に、俺はひとり静かに冷や汗をかいていた。長年取引のある会社から受注した何億円規模の大型案件の契約書。正直、このブラックな会社が存在しつづけられるのも今なお紙の契約書で取引するような古い体制の残る同類(どうるい)の企業との長い信頼関係があるからだ。その契約書が、今朝こつぜんと上司の机の引き出しから消えたという。


「くそっ、犯人を見つけたらただじゃおかねぇ」


低く唸る上司の目が血走っているのは、万年(まんねん)寝不足(ねぶそく)状態だからという理由だけではないらしい。手にはなぜかハサミを握りしめている。…それはハサミを鳴らしながら探し物をすれば見つかるというおまじないのために持っているんだよな?決して犯人を断罪するためではないよな?


「おい山田!お前もなにか見ていないのか!」


くるりと振り返った上司がハサミの切っ先をこちらに向けて、問いただす。危ねぇ!もう少しで腕に刺さるところだった。上司の手の中できらりと(にぶ)く輝く刃が俺の首元の近くで開閉する。


「犯人が分かったら、半殺(はんごろ)しにしてやる」


やっぱり、おまじないのためじゃなかった!確実に犯人を(しょ)すために持っていた!


「い、いえ!見ていません!」


嫌な選択肢の方の確信を得て、恐怖で上ずった声で答える。まずい、今日で俺の人生が終わりそうだ。ハサミを光らせながら嵐のように去った上司の背中を見送り、心の中で大量の冷や汗をかく。なぜなら、その大型案件の契約書は――


「まじかよ…」


今朝、なぜか俺の机の中に入っていたのである。

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