第6話 転校生は人気者!?
こんにちは(゜▽゜)/
そろそろ一話ごとの内容を長くしようかなと思っています。そのため更新のスピードが落ちるかもしれませんが、頑張りたいです!
窓からの日差しに思わず目を細めて私は窓の外を見ていた。外は綺麗な青空が広がっていてチュンチュンと雀も鳴いていた。
「雀かぁ‥‥」
私の目は雀をじ~っと見たまま怪しい光を宿していた。
「‥‥お姉ちゃん!!ねぇ!!お姉ちゃんってば!!」
由香の声で我にかえり振り向くと、由香は何やら不機嫌そうに腰に手を当てて私を見ていた。
「さっきからずっと呼んでるのに何にも反応しないんだから!!ご飯冷めちゃうよ!?」
それだけ言うとさっさと部屋から出ていった。
私は制服を来てリビングに入り椅子に座るとため息をついた。
『ねぇ、由宇?まさかと思うけどさっき雀を見て捕まえたいとか思ったんじゃないのかしら?』
そう言われてみるとそうかもしれない。
『‥‥って、やばいじゃん!!余計に猫に近づいた気がする‥』
はっきりいってこれは大変な事だ。もしも学校で猫みたいなことをした日には全校生徒から大注目だろう。
その後朝食をすませるとまだ30分ほど時間があまっていたため、由宇はテレビをつけニュースを見ていた。
「ねぇ、お姉ちゃん?」
由香が話しかけてきたので首だけで振り向くと‥‥
由香はまたねこじゃらしをふりふりと揺らしていた。
「‥あっ‥‥あぁ‥‥‥」
由宇は無意識に体ごと由香の方を向くと飛び掛かる態勢になる。
「お姉ちゃん!!我慢よ!!これは慣れなきゃいつか大変な目にあうわよ!!」
そう言う由香は半分おもしろそうに見えた。
「‥‥あぁ‥も‥もう無理‥‥あぁ‥」
由宇は目をとろんとさせて体をうずうず させている。耳はぺたんと垂れて尻尾はせわしなく動いている。
「‥‥じゃあ今日はここまでね♪」
と言うと由香はねこじゃらしを隠した。
「‥‥あっ!!」
由宇は正気に戻ると、今自分は何をしていたんだろうかと恥ずかしくて少し顔を赤らめた。
学校にいつものとうり登校すると、玄関前の掲示板に凄い人だかりが見えた。
『あら?何かしらね?』
神子が興味があるのか『行ってみましょうよ』と言うので私は仕方なく近くに行こうとすると、突然腕を引っ張られた。
「こっちに来て!!」
この声は葵?きちんと葵であることを確認すると質問をする。
「葵‥どうしたの?」
すると葵は急に振り返り困った顔をした。
「それがさ‥昨日の事故の現場に写真部の人がいたみたいでね。学校中に由宇のうった写真が記事にされて張り出されてるのよ」
「ええ!?」
耳を疑った。まさか昨日のことがここまで大きく広まっているとは‥
「ほら、これよ」
と一枚の紙を差し出した。それは校内新聞で、見出しには『美少女転校生男の子の命を救う!!』と大々的に写真付きで載っていた。
「‥‥‥‥」
私は開いた口が塞がらずにいた。
「さらに由宇は可愛くて綺麗だからね。今回の事件でファンクラブまでできたみたいよ?」
「‥ファンクラブ!?」
更なる追い打ちを受けて私はもはや言葉も出なかった。時間もないのでコッソリと玄関を通り抜けて教室に入ると予想どうりあっという間に囲まれてしまった。
「天野さん!!凄いじゃん!!」
「カッコイイ!!」
「俺と付き合ってくれ!!」
等など、最後のはいささか引いてしまったがこれでめでたく私の学校での知名度は最大になってしまった。
それからが大変だった。休み時間になるたびに私はファンクラブの人達に追いかけ回された。必死に逃げ回っていたがこれでは拉致があかないので昼休みに体育館で集会を開く事になった。
「それでは天野由宇ファンクラブのための交流会を開会します!!」
司会は友人代表で葵に頼んだが‥なぜだかいつもとキャラが違うような‥気のせいだろうか‥‥
「では!!本日の主役の登場です!!」
その言葉を聞いて私は渋々とステージ袖から出てきた。体育館には入りきらないぐらいの人がいて、私は一瞬驚いたが、
「えっと、天野由宇です!!今日は短いですが皆さんとの交流を含めてこの集会を開かせていただきました。最初にお願いがあります。私はファンクラブを作るのは構いませんが休み時間に教室まで押しかけてくるのはちょっと‥‥私は普通に生活したいので。たまにこのような集会を開くのでそれで勘弁してください」
ファンクラブの人達はまあそれならと納得してくれた。
「じゃあ次に質問コーナーに移ります!!」
葵がそう言った瞬間半分ぐらいの人が手を挙げた。
「彼氏はいますか?」
「えっと‥今はいません」
男子が何人かガッツポーズをとっている。いつか告白されそうで恐いな‥‥
「その髪は地毛ですか?」
まあ白髪に染める人はいるが地毛の人はまずいないだろうし‥‥
「はい、地毛ですよ」
「その目も本物なんですか?」
「ええ、本物です」
等と質問は時間ぎりぎりまで続いた。
放課後、葵に屋上で休むと言って教室を出ると、旧校舎に入り階段を昇って屋上のドアを開けた。この時、神力で鍵をかけておけばよかったと後で後悔した。
ベンチに腰掛けて朝からの出来事を思い出していると盛大にため息がでた。
『あら、お疲れ様、大変だったわね』
神子がどこか楽しそうに言った。
『はぁ、こんなに疲れたの生まれて初めてだよ‥‥ふあぁ』
朝から忙しかったことに加えて最近精神的に疲れる事ばかりだっため、ベンチに寝転ぶと屋根を見上げながら私はゆっくりと意識を手放した。
教室で葵は自分の荷物を整理すると、由宇を探して旧校舎に向かっていた。
(由宇ってなかなか可愛いところがあっていじめたくなるのよねぇ♪)
階段を上がりドアを開けるとベンチに由宇が横になっているのが見えた。
(あら?寝てるのかな?‥‥まぁ今日は忙しかったし‥‥せめて寝顔だけでも‥)
そう思って顔を覗き込んだ葵は固まった。
「‥‥え?」
思わず声がでた。由宇の頭には普通の人間にはないものがあった。
「‥‥‥み‥耳?」
葵が最初に口にしたのは“何で?”といった言葉ではなく、
「‥‥か‥可愛い」
という言葉だった。由宇の顔を見ると、どうやらぐっすり寝ているようでそう簡単に起きないように思った葵は、恐る恐る耳を触ってみた。
(ほ‥本物だ!!)
感触が本物であると確信した葵は更に耳を触りだした。
「‥‥ん、うん‥」
触るたびに由宇がくすぐったそうに身をよじるため葵はそれが面白くて不意に手に力を入れてしまった。
「痛っ!!」
由宇は痛みに驚いて飛び起きるように頭を上げると覗き込んでいた葵と盛大に“ゴンッ”と頭をぶつけてしまった。
「「‥~~~!!」」
二人とも声には出さないが痛みに顔を歪めてうずくまった。
「‥‥え?葵?」
由宇は驚いて葵を見た。葵はまだ額を押さえて涙目になっている。
『‥神子‥もしかして‥見られた?』
由宇は青ざめながら神子に話しかけた。
『‥‥ええ、ばっちり見られたわね』
『‥‥どうしよう』
由宇は未だにうずくまっている葵を見ながら途方に暮れるのだった。
最近疲れがたまってきました(汗)
でも投稿はできるだけしていきたいので応援よろしくお願いします。
では、次回をお楽しみに~