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第18話 儚い笑顔

 こんにちは、白夜です!


 テストが半分ほど終わりましたので普通に投稿を再開しました。


「あっ!由宇!見て!あったよ!」


 私の腕を引きながら葵は岩がむきだしになっている場所を指差した。


 私達が今いる場所は遺跡の少し下の山道だ。


「綺麗な赤だよ~」


 葵は岩の間から赤い宝石のような石を掴みだした。


「結構大きいですね」


 私の後ろにいた光がしげしげとその石を眺める。


 今葵が掘り出したのは直径が10cmくらいの赤い石である。


「ああ!あそこにも!!」


 葵は新しい石を見つけてはしゃいでいる。


「葵のあんなに嬉しそうな顔見たの久しぶりじゃないか?」


 私の横に並んで神威が微笑んだ。


「俺もそう思う。最近色々あったからな」


 そう言いながら陸も神威の後に続いて葵の方に歩きだした。


『皆楽しそうね』


 私の肩に神子が姿を現した。


「…そうだね」


 私も自然と笑顔になった。


 葵の方を見ると昴が葵に別の色の石を渡していた。顔こそ普段どうりだが、昴も楽しいらしい。









 結局見つかった石は、赤、青、黄色、黒、水色、緑、オレンジの7つだった。


「いっぱい見つかったね~」


 葵は近くにあった涌き水が湧いている場所で泥を落としながら呟いた。


「う~ん、時間もいいしお昼にしようよ」


 私が言うと皆頷いた。


 それぞれ自分の弁当を取り出して食べ始める。


「ねぇ、みんな」


 葵が皆に視線を向けた。


 全員葵の方を向くと葵は話し出した。


「今から一時間だけ時間をちょうだい?」


 葵は顔の前に手の平を合わせてお願いしていた。


「僕達はかまいませんが、何をするのですか?」


「…ちょっとやりたいことがあるの。一時間でいいから時間をちょうだい」


 あまりに必死な葵を見て皆慌てて取り繕った。


 結局、暇な一時間を皆それぞれ別行動として、後でまた葵の場所に集合することになった。


 神威、陸、光は遺跡を見にいくと言って山を登り始めた。昴は葵の手伝いらしく、葵と一緒に作業を始めた。


 私はやることがないので近くの岩場の上に登り、風景を眺めた。


「………」


 自分の街を山の上から眺める。いつもと違った風景。


「………」


 自分の家の辺りを眺める。次に学校を探し、葵の家、葵が入院していた病院を探した。


『由宇、どうしたの?』


 私の横に神子が座っていた。私もその場に座る。


「……街を見てたの」


 私は視線は真っ直ぐなまま答えた。


『……そう』


 神子は優しくそう言うと、人の姿に変身した。


 由宇よりも年上な大人の魅力を持つ女性。長い白髪に優しい瞳。色は由宇と同じで、白い肌とそれに合わせたような真っ白なワンピース。耳には緑の耳飾りをつけた神子の姿。


『由宇は何を考えていたの?』


 神子がこっちを向きながら微笑んだ。


 今の私達を見たら普通の人には姉妹に見えるだろう。


「……ここから見える景色を忘れないようにって」


 私はもう一度街を眺める。


「私が生まれた街を忘れたくないの……私が消えた後もこの景色が変わらないようにって思いをこめてね…」


 神子が由宇の頭をゆっくりと撫でる。由宇は目を伏せて神子に寄り掛かった。


「……神子ってお母さんみたいだね」


 神子は微笑むと撫でていた手を肩に回して抱きしめる。


『私は由宇のことが大好きよ。だから、あんまり無理しないでね?』


 由宇はゆっくりと頷いた。


 二人はしばらくそのまま街を一緒に眺めた。










「できた!」


 葵は満面の笑顔でそう言うと、横に座っていた昴が微笑んだ。


「…葵は凄いな」


 昴はそう言うと葵が握っている物を見た。


「私、由宇にだけ先に渡してくるね!」


 葵は立ち上がると走り出した。










 私は背後から葵の気配を感じて振り返った。


「由宇~!」


 葵は笑顔で私の所まで走ってきた。


「葵?まだ少し時間には早いんじゃない ?」


 私は首を傾げながら尋ねた。


「うん、そうなんだけど…由宇には早めに渡したくて」


 葵は由宇の手を掴むとそっと指にそれをはめた。


「…これって」


 私の右手の薬指には丸くカットされた綺麗な赤い石がついた指輪があった。


「私からのプレゼントよ」


 そう言うと葵はにっこりと笑った。


「…ありがとう!」


 私は笑顔で葵にお礼を言った。また私の宝物が増えた。



 笑顔の二人を離れた場所から見ていた神子は猫に戻っていた。


『……由宇』


 由宇に聞こえないくらいに小さく呟く。


 由宇の笑った顔は綺麗だった。誰でも思わず見とれてしまうほどに。


 しかし神子は気付いた。由宇の笑顔がどことなく儚いように感じてしまうのだ。


『…ごめんなさい』


 神子は小さくそう呟いた。

 テストって神経使うから嫌いなんですが、それに反してやってやる!って思う自分もいるのです。なんでしょうね、この矛盾(^_^;)

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