第16話 決意
こんにちは(゜▽゜)/
白夜です!
更新遅れてすいません!大学のテストが近いため、なかなか思うように執筆できないのです。
テストが終わったらまたいつものペースに戻したいです!
-真っ暗だ-
-何もない暗闇-
-いつか私も、この闇に飲まれて消えてしまうのかな…-
闇に一筋の光が射す。
-あれは……?-
その光の中には葵が立っていた。そしていつもの笑顔を私に向けている。
『由宇』
葵が私を呼んでいる。
すると葵の横に別の光が現れた。その中から声がする。
『…由宇』
黒髪をなびかせた鋭い目をした少女…昴がいた。恥ずかしそうに私を見ている。
また別の光。中には陸がいた。
『由宇!』
力強い陸の声。
『由宇さん』
陸の横から光がいつもの真面目な顔で現れる。
そしてまた新しい光が二つ現れた。
『由宇』
『由宇さん♪』
神子と月だ。神子は微笑んで、月は笑っている。
そして、最後に他の光より一回り大きな光が現れる。
-……あ-
光から少年が歩いて来る。少年は由宇の前まで来ると立ち止まった。少し長めの黒髪が揺れる。
『由宇』
少年、神威は手を差し出してくる。私は迷った。いつかはこの手を離さなければならなくなる。その時、私は堪えられるのか?
『由宇、大丈夫だ。俺達はいつでもそばにいる』
神威が笑う。気づけば周りには皆が集まっていた。
『私は由宇ともっと一緒に思い出を作りたい!』
葵が手を出してくる。頬を雫が流れる。
-そうだ、いつか消えてしまうなら少しでも思い出を作ろう。いつまでも覚えてもらえるように-
二人の手をとる。暗闇が晴れて行く。私の意識はまるで導かれるようにその場から現実に引き戻された。
神威はリビングで朝食の準備を終えて、今から由宇を起こしに行くところだった。
(由宇なら大丈夫だよな…きっと)
階段を上がり由宇の部屋の前に立つ。神威は深呼吸をするとドアをノックした。
『どうぞ』
中から声がしたのでドアをゆっくりと開く。
「由宇、だいじょ………!」
神威は思わず声をかけるのを止めてしまった。由宇は起きてるいた。窓辺に立ち、神威を見つめている。朝日を受けて白い髪が金色に光って見える。そして、その宝石の様な瞳には強い決意をした様子が見える。
「…おはよう」
由宇は微笑みを浮かべながら神威に挨拶をした。
「…ああ、おはよう」
神威も由宇に微笑みながら挨拶をした。
「大丈夫か?」
神威は由宇に確認もこめて尋ねる。
「うん、もう悲しまないよ。人間いつかはいなくなるんだしね。私はそれが少し早いだけ。それなら…私は普通の人よりも沢山の思い出を作るだけだよ」
由宇は力強く頷いてそう言った。
「そうか、それなら俺は何も心配しなくていいな」
神威はもう一度笑うと、由宇に朝食ができてると伝えて部屋を出た。
「うん、もう泣かない!」
由宇は神威がいなくなってからそう呟いた。
それからしばらくしてから葵と陸と昴が来た。
「神威!」
「神威さん!」
陸と光が神威を見て驚く。
「…ふむ」
昴は神威を見て難しい顔をしている。
「陸、光、久しぶりだな。昴は実際に顔を合わせるのは初めてだよな」
神威については神子と月を通じて事情を伝えてある。
「……」
昴は由宇のそばに寄ると腕に抱き着いた。
「ええっ!?す、昴!?」
由宇は顔を赤くしながら慌て始めた。それでも昴は離そうとしない。
「ああ!昴だけずるい!」
そう言うと葵が反対の手に抱き着いてきた。
「ええっ!?葵も!?」
更に顔を赤くした由宇はまるで妹に遊ぼうとせがまれるお姉さんみたいだった。
「まぁ、俺に慣れるまでは仕方ないか」
神威は肩を竦めて陸と光を見る。
「しかし神威、何だか前より大人っぽく なったな」
「…は?」
陸の言葉に首を傾げる。
「そうですね。確かに以前よりも見た目もですが精神的にも大人になられたように見えます」
光までもがそう言うので神威は更に首を傾げた。
「…具体的にどんなところが?」
そう尋ねる神威に陸は笑いながら答えた。
「由宇や昴を見る目がまるで気がきく兄貴みたいに見えた」
神威は顔をしかめた。
「…俺はあいつらと同い年なんだがな」
ため息を吐きながら神威は由宇を見る。由宇はまだ昴と葵によってあたふたしている。その光景に自然と頬が緩む。
「やっぱり兄貴よりも父親みたいだな」
と呟いた陸の頭をとりあえず叩いておいた。
夕方になりこの集まりもそろそろお開きになりそうな雰囲気になった頃、
「ねぇ、最後に乾杯しない?」
と葵が言ってきた。そしてその手には沢山の飲み物が入った袋が握られている。
「おい!葵!この前何があったか忘れたのか?」
陸が葵に小声で囁いた。この前の事とは勿論由宇と昴が酔っ払って暴走した時のことだ。
「大丈夫だよ♪お酒は神子さんの分しか入ってないから」
皆それぞれ袋の中からジュースを取っていく。神子だけお酒である印しがついている。
『一応私は成人だからね』
と言うと人間の姿になる。皆驚いたが神子が神様であることを思い出し、納得していた。
『お姉ちゃん、素敵です!』
月だけは神子の横ではしゃいでいるが……
「それじゃあ!乾杯~!!」
皆が一斉に蓋を開けてジュースを飲んだ。
『……あら?』
袋を覗いて神子が首を傾げた。
「どうかしたんですか?神子さん?」
神子の様子に気がついた光が尋ねる。
『おかしいわね。私は二つお酒を頼んだのだけれど…』
ビニール袋にはジュースだけで酒はもうなかった。
「あれ?おかしいなぁ、ちゃんと確認しました…よ……」
皆が一斉に顔を合わせた。……そう、一人を除いて。
「……ま、まさか」
葵が恐る恐るその人物へと視線を送ると…
「……はれ?…みんら、どうしたの~? 」
と、赤くなった顔で喋る少女は呂律がまわっていない。
もうお気づきだろうが飲んだのは由宇である。
「……あちゃ~」
陸が頭に手を当ててうなだれた。
「陸~?大丈夫~?」
そう言うと由宇は陸を下から覗き込む。そうなれば自然に上目遣いになるため陸は顔を赤くしながら慌てて後ろに下がった。
「だ、大丈夫だ!」
と言ったものの顔は赤くなっている。そんな陸から視線を外すと、由宇は突然髪を結んでいた緑の珠のついたゴムを外した。
「…何だか邪魔~」
すると耳と尻尾が現れた。どうやら神力を全て解いたらしい。由宇はふらふらしながら潤んだ目を葵に向ける。
(な、ななな、何?あの可愛い動きは!?いえ、駄目よ私!早く何とかしないと!)
葵はそう考えながらもばっちり由宇から目を離さないためあまり説得力がない。
(……あんな由宇は初めて見る)
昴は驚きと困惑の入り混じった表情をしている。実際は昴がこの状態の由宇を見るのは二度目なのだが本人は覚えていない。
そして由宇は神威を見つけるとふらふらと近づいてきた。
「………」
神威はどうしたものかという表情である。
「……あ~、その、由宇?大丈夫…」
「…えい!」
神威が由宇に話し掛けた途端に由宇は神威を押し倒した。
「……なっ!?」
「……ええっ!?」
「………!!」
「………は!?」
『あらあら』
『…おお~!!』
上から順に光、葵、昴、陸、神子、月の順である。皆が由宇の突然の行動に驚きの声を上げた。
しかし、一番驚いているのは神威である。
「……お、おい、ゆ、由宇?」
神威が恐る恐る由宇を見ると顔を赤くして潤んだ目で神威を見ている。
「………!?」
神威はその由宇の姿に一瞬ドキリとしたがすぐに正気に戻ると、由宇の体を離そうとするが、
「なっ!?体が動かない!?」
神威は視線だけで他のメンバーを見るがどうやら葵達も同じようで困った顔をしている。どうやら由宇が神力で動きを封じたようだ。
「…神威」
由宇が神威の名前を呼んだ。ゆっくりと目を閉じると、少しずつ顔を近付けてくる。
(…え?おい、まさか!?)
「私、神威のことが……」
少しずつ近くなる唇、あと10cm、9、8、7、6、5、4、3…………
「……ゆ、由宇」
神威と由宇の唇が触れる…………と思った瞬間、由宇は神威の左側にバタリと倒れた。
「………は?」
神威は間抜けな声を出してしまった。慌てて隣の由宇を見ると、
「……すぅ…すぅ」
静かな寝息が聞こえる。どうやら寝てしまったようである。
「………はぁ」
神威は盛大にため息を吐いた。葵達はぽかんとした表情だったが、すぐに笑い出した。
結局、今回も由宇に振り回されたこのメンバーはたとえどんなことがあっても由宇を酒に近付けていけないことを再認識したのだった。
白夜「うが~~!何で世の中にはテストというものがあるんだぁぁぁ!!」
由宇「…何をいまさら」
白夜「だって、テストが近いから私も思うように小説が書けないんだもん!」
由宇「はいはい、いきなり子供口調にならないでね、気持ち悪いわよ?」
白夜「むう~、私はただ純粋に毎日をエンジョイしたいだけなのだがなぁ…」
由宇「世の中そんなに甘くないわよ」
白夜「……はい」
由宇「ほら、勉強しなさい」
白夜「…ちっ、仕方ないなぁ。
そんなわけでしばらく更新ができないかもしれません」
由宇「本当にごめんなさい。なるべく早く次の話を準備しますのでお楽しみに」