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第12話 “目覚め”

こんにちは(゜▽゜)/

最近なかなか書き出せなくて少しペースが落ちてますが頑張ります。

 ゆっくりと目を開く。目の前には血を流して倒れている葵がいた。傷にそっと手をかぶせて集中する。自分から少しずつ力を流すと傷口の出血は止まった。しかし傷は治らない。すぐに手当が必要だ。

立ち上がり振り返るとそこには一人の男子生徒、巴村光がいて向こうからは短剣を片手に歩いてくる男が見えた。


「まずは君からだな、まぁ運がなかったと思って諦めなよ」


男は冷たい笑顔でそう言うと短剣を深く握りしめ、光に向かって駆け出した。


「‥‥!」


体が咄嗟に動いて光と男の間に入ると全力で男を蹴り飛ばした。


「‥‥なっ!?」


光は驚いた顔をした。女子高生が大人の男を蹴り飛ばしたのだから無理もない。男は5mほど吹き飛ぶと地面をしばらく転がって止まった。


「‥‥これ以上“俺”の友達に手を出すな」


由宇はゆっくり目を閉じて再び開く。その目は両目が真っ赤に輝いていた。まるで瞳の中で炎が燃えているようだった。由宇はゆっくりと緑の髪飾りを外した。これは“神力”を無理に使わないようにする、いわば制御装置だ。


「‥‥いてて、やってくれたね。しかし驚いたよ。まさか女子に蹴られるとはね」


由宇は静かに男を見つめる。


「やっぱり最初は君かな? 」


男は由宇を見ると短剣を構えて走り出した。


「‥‥フゥゥゥ」


由宇はゆっくりと息を吐くと“神力”を右手の先に集中させて鋭く尖ったイメージを作る。


「死ね!」


男が短剣を振り下ろすと同時に由宇は左下から右上へ斜めに 腕を振った。


「‥??」


男は驚いていた。短剣は目の前の女子高生を確かに切り裂くはずだった。しかし手応えがない。ふと視界の端に光る物体が地面に刺さるのが見えた。


「‥‥な!?」


それは短剣の真ん中から剣先にかけての部分だった。手に持っている短剣はきれいに真ん中から切断されていたのだ。


「な、何なんだ、お前は!」


男は目の前の少女に思わず問いただす。少女は真っ赤な瞳で男を睨みながら一言、


「“神”」


と言うとありったけの力をこめた拳を男の顔面に叩きこんだ。男はそのまま6mほど離れた所にあるコンクリートの壁まで飛んでいき、激突するとその場に倒れた。


「‥‥‥」


由宇は自分の手を見つめて小さく、


「‥‥ありがとう、神威」


と呟き、急いで葵に駆け寄った。止血はしているが放置しておくわけにもいかない。


「巴村くん、救急車よんで。あと保健室に葵を連れて行くから先に行って先生に連絡しておいて」


「え?あ、はい!わかりました」


光は由宇の声に我に返ったように返事をして走り出した。

由宇は葵を抱き抱えて保健室に向かった。丁度背後からパトカーのサイレンが聞こえてきた。






それから3日がたった。あれから学校は一週間休校になり、私は毎日葵のお見舞いのために病院に来ていた。


「ねぇ、お姉ちゃん?葵さんの意識はまだ戻ってないの?」


由香が私を見上げながら言った。

実はまだ葵の意識は戻っていない。だから私は毎日病院に足を運び葵の様子を見ているのだ。


病室に入ると巴村光が椅子に座っていた。


「おはようございます」


光は微笑みながら挨拶をしてきた。


「おはよう、巴村君もお見舞い?」


「ええ、彼女が怪我をしたのは僕が原因ですから」


光は自分のせいで葵が怪我をした事を気にしているようだ。


「そんなに気にしないで。私がもっと早く対処できたらよかったんだから」


あの時、私が神威の力を借りなくても対処できたらそれが一番よかったのだろう。


「‥‥天野さん、あの時は一体何をしたんですか?いつもと口調や目の色も違っていたし、何より短剣を素手で切断するなど人間技ではありません」


聞かれると思っていた。そして私は光には私の事を話そうと決めていたのだ。ただし‥


「もう少し待って、もう一人話したい相手がいるの」


私が丁度そう言った瞬間ドアが開き、陸と昴が入ってきた。陸は寝ている葵に一瞬目をやると私を見た。


「‥‥話って何なんだ?」


私は由香と昴に視線を送ると二人は無言で頷いた。


「何から話せばいいかな‥‥まずは私の正体かな」


陸も光も私をじっと見ている。私は決意したように一度大きく息を吸うと、


「私は‥‥一般的に“神様”と呼ばれている存在と契約しているの」


「‥‥‥」

「‥‥神、ですか」


二人ともまだ信じられないという顔だった。無理もないだろう。


「まぁ信じられないのも無理はないけどね。‥‥神子、お願い」


『わかったわ』


返事と同時に神子が私の中から姿を現した。白いなめらかな毛並みに二本のふわふわとした尻尾、由宇と同じ色の瞳、そして耳についた緑の耳飾り、その姿はいつ見ても綺麗だと思う。


『はじめまして、陸君に光君。私は神子、由宇のパートナーよ、よろしくね』


そう言うと笑顔で二人を見つめる。


「‥‥なっ!?」

「猫が喋った!?」


二人ともこれには驚いただろう。


「ちなみに葵はこの事を知っているわ。あとは妹の由香と昴もね」


二人は由香と昴の方を見る。由香と昴は頷いて肯定する。


「ああ、そうだ。昴も私と同じ神様との契約者なのよ?」


さらに二人は驚いて昴を見た。私が視線を送ると昴は小さく


「‥‥月」


と呟いた。すると、


『はいは~い♪呼んだかな?』


という声と同時に月が姿を現した。


『二人ともはじめまして♪私は神子お姉ちゃんの妹で月で~す♪よろしくね!』


月はその場でくるりと宙返りをした。黒いサラサラとした毛並みに柔らかそうな尻尾がフリフリとゆれている。


「‥‥あ、ああ、よろしく」

「‥よ、よろしくお願いします」


二人は目の前ね出来事に驚きを隠せないようだった。


「さて、じゃあ葵を起こそうかな」


私は葵の隣に立って葵の顔を覗き込んだ。


「‥葵を起こす?」

「‥‥どうするのですか?」


二人は不思議そうな顔をしていた。私は二人に視線を戻すと再び話し始めた。


「私は神子と契約してから“神力”という力が使えるの。巴村君は見たことあるでしょ?」


光は納得したように頷いた。


「陸は知らないかもしれないから“百聞は一見にしかず”ってことで、今から見せてあげるね」


そう言うと緑の髪飾りを外し目を閉じるて集中する。


『神威?力を借りるよ』


心の中で神威に呼び掛ける。


『わかってる。いくぞ』


ゆっくりと目を開くと両目が深紅に輝いた。光以外は初めて見るためか驚いた表情だ。


「今から葵を起こすために少し葵の精神に潜ってくるから昴は俺に何かあったら頼むね」


昴は少し驚きながらも頷いた。それを確認すると俺は葵の額に手を乗せて目を閉じる。そして俺の視界は真っ白になった。






辺りを見渡しても真っ白な空間があるだけで他には何もない。神威と向き合った時を思い出したら何となく笑みがこぼれた。


「さて、葵を起こさなきゃな」


俺は目をこらして周りを見渡すと遠くに葵が浮かんでいるのが見えた。


「発見!」


近くに行くとすやすやと寝息を立てて葵は寝ていた。


「お~い葵?起きろ~」


そう言って顔をぺちぺちと叩くが葵は起きない。


「‥‥‥ふふ」


俺は悪戯っぽく笑うと葵の額にデコピンをした。バシッという音が響いた瞬間、


「いたっ!!」


と言って葵が飛び起きた。葵は驚いた顔で辺りをキョロキョロと見渡している。何だかその光景が面白くて俺は思わず笑ってしまった。


「‥‥あれ?由宇じゃない。それにここどこ?」


葵は俺の存在に気がつくと特に慌てた様子もなく話しかけてきた。


「ここはあなたの心の中だよ。俺はただなかなか葵が起きないから起こしに来ただけ」


葵は首を傾げた。


「起こしに来た?‥‥ああ、力を使ったのね?でも何だか雰囲気が違うけど?」


俺は今までのことを話した。勿論神威のことは隠して。


「‥なるほどね。そんなことになってたんだ‥‥」


葵は俯いて申し訳なさそうに呟いた。


「気にしないで、それより皆が待ってるからそろそろ行きましょ?」


葵が頷くとそれに反応するかのように真っ白な空間は消え始めた。






「終わったよ」


私は髪飾りを着けながら言った。


「‥‥‥んっ‥‥‥うーん」


葵はゆっくりと目を開けて周りを見渡した。そして一言、


「‥‥ただいま」

と呟いた。私は笑顔で返事をした。


「‥‥おかえり」

白夜「お疲れ様でした~」


由宇「ああ~疲れた~」


光「そうですね」


白夜「最近疲れが溜まっててなかなか進まなくて困ったもんだよ」


由宇「それは仕方ないでしょ」


光「それくらい自分で何とかしてください」


白夜「酷い!何で誰も慰めてくれないの?」


光「甘えないでください」


白夜「ひ、酷い」


光「では、皆さん次回をお楽しみに」


白夜「ああ!俺の台詞取るなよ!」

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