第11話 “神威”
こんにちは(゜▽゜)/
最近は疲れが溜まり、夜はベットに倒れてそのまま爆睡してしまうのでなかなか先に進みません。でも頑張りますよ~
「‥お姉ちゃん?」
由香が目を丸くして私を見ていた。まぁそう言いたいのはわかる。昨日まで自分と同じ位の身長だった姉がいきなり10cmも身長が伸びていたのだから。
「やっと男だったころの身長に近づいたなぁ」
と呟いたが結局まだあと10cm足りないので近づいたと言えるのだろうか。
「何だか今までよりも大人になった感じだね♪」
由香は状況を説明するとあっさり納得してくれたけど葵には何と言えばいいんだろう‥いや、違うなクラスの皆に何と言えば‥‥おそらく質問攻めにあうこと間違いし‥‥
「‥どうしよう」
私はそう呟きながら朝食を食べ、ついに登校時間になった。私は“神力”でサイズを合わせた制服に着替えて嫌々ながら家を出発した。
家を出てから数分たってから早速昴と対面した。実は昴のマンションは意外と近い位置にあるのだ。
「‥‥由宇!?」
昴は予想以上の驚き顔だった。
私は事情を説明すると一言、
「‥‥なるほど」
と呟いた。昴は同じ神との契約者であるから話が伝わりやすくて助かった。
「‥‥由宇?遅刻するぞ?」
「‥‥へ?」
話に夢中になっていた私は時間を気にしていなかったが昴が腕時計を指差したので、左手の腕時計を見ると後5分までに教室に入らなければならない時間にまでなっていた。
「ええ!?もうこんな時間!?せめて心の準備だけでも‥」
「‥‥急いで」
「ああっ!もう!」
結局心の準備もできないまま私は教室に行くことになってしまった。
「‥‥うう」
教室の前で私はまだ躊躇っていた。‥だってそうでしょ?休みがあけた月曜日にクラスメートの身長が10cmも伸びていたら驚くに決まっている。なんて言えば‥‥‥
ガラッ
って、おおい!!昴!?何も言わずにさっさと開けちゃったよ!!
「‥お、おはよう」
何とかそれだけ言えた。クラスの皆がいっせいにこっちを見ている。私一人なら何とかごまかすこともできたが今は横に昴がいるのだ。あきらかに昴よりも私の方がでかい。つまりこれはもはや言い逃れのできる状態ではない。
「‥‥えっと」
「「「キャーーーーーー!!!」」」
私が口を開いた瞬間クラスの女子がいっせいに私の周りに集まってきた。
「由宇、どうしたの!?」
「身長伸びたね!」
「カッコイイ!!」
「お姉様って呼んでいい?」
私が口を開いた瞬間クラスの女子に囲まれてしまった。しかもかなり好評なようだ。私はとりあえず安心したがそれからが大変だった。予想通り質問攻めにあってなんとかはぐらかしていると
「皆さん、席についてください。連絡があります」
爽やかで不思議と通る声が教室に響いた。皆が教卓の方を見る。そこにはその視線を受けながら微笑みを浮かべている男子が一人。
「緊急の連絡です。全員教室にいますか?」
彼の名前は巴村光このクラスの風紀委員である。制服をしっかり着こなし、少し茶髪の混じった色の髪は短すぎず、長すぎずの丁度いいながさだ。顔はなかなかのイケメンで爽やかな微笑みを浮かべている。誰にも敬語ではなす姿から密かに人気のある人物だ。
とにかく、彼のおかげで私は助かった。私は心の中で礼を言うと周りを見渡して違和感に気がついた。
「‥‥葵がいない」
私が光に葵がいないことを報告すると、光から微笑みが消え、真剣な表情になった。
「‥‥わかりました。今から重大な話があります。皆さんよく聞いてください」
光が真剣な顔をしているためか教室はすぐに静かになった。
「実は、この近所に逃亡中の殺人犯が逃げ込んだらしいのです」
教室からざわざわと声が漏れ始めた。
‥‥何だろう、嫌な予感がする。
「空野さんが来ていないとのことですが誰か連絡をしてもらいませんか?」
私はすぐに携帯を取り出して光に知らせると光の許可をもらい、葵に電話をかけた。
プルルル、プルルル、‥ガチャ
『‥‥由宇』
葵はちゃんと電話に出たが‥‥何かおかしい‥‥声が震えているみたいだった。
「葵?今どこにいるの?」
『由宇!外よ!』
突然神子が声を出したので私は慌てて外を見た。そこには‥‥‥
『‥由宇、助けて』
確かに葵は校庭にいた。ただし、その背後には見知らぬ男がいて手には何か光る物が握られている。
『‥‥由宇』
その言葉を最後に電話は切れた。
「‥神子、あの男が持ってる物って」
私が小声で呟くと
『ええ、たぶん間違いないわね。長さからして短剣ぐらいかしら。人間なら間違いなく貫けるわ』
私はその言葉を聞いた瞬間走り出した。
「天野さん!?」
光が慌てて呼び止めたが私は止まらなかった。
私は校庭に出るとさっきの人影がいた場所に急いだ。
「確かこの辺りだったはず」
窓から見えたのは確かにここのはずだけど‥‥
「由宇!」
葵の声にハッとして辺りを見渡すと1m位の段差の上に葵はいた。
「葵!大丈夫!?怪我はない!?」
葵は頷くと涙目で私を見下ろしている。
「おやおや、随分と珍しい髪と目だなぁ」
葵の背後から男の声が聞こえた。葵が肩をビクッとさせる。
葵の背後に立った男は顔達は普通で一見優しそうな印象を受けるが手に持っている短剣がその印象を一気に塗り替える。この男は逃亡中の殺人犯で間違いない。
「あなたは誰!?何故葵にこんな事をするの!?」
「何故って言われてもなぁ。警察から逃げてる時にたまたまこの子が歩いていたから人質にしただけさ」
歪んだ笑みを浮かべる男に私は怒りを隠せなかった。何故よりにもよって葵なんだろう。
「葵を離しなさい!」
私は怒りに声を震わせながらも男に叫んだ。
「はぁ‥馬鹿だなぁ、そう言われて離すやつがどこにいるんだい?」
確かにそうだ、そんなことで離すようなやつはいないだろう。私はどうすればいいか必死に考えていた。
「ああそうだ、警察は呼ぶなよ?せっかく振り切ったんだからな。もしも隠れて連絡でもしたらこの子が死ぬだけだ」
「‥‥!」
私は“神力”を使ってどうにかできないかを考えた。すると神子が話しかけてきた。
『まって、由宇。あなたはまだ神力の使い方に慣れていないし、昨日力が強くなったばかりなのよ?無理に使って葵さんが怪我をしたら大変な事になるわ』
(じゃあどうすればいいのよ!)と心の中で叫んだがもちろん状況は変わらない。
その時、背後に気配を感じて振り返ると光が校舎の影に隠れて携帯でどこかに連絡をしていた。考えなくてもわかる。おそらく警察だ。
「さてどうする?可愛いお嬢さん?俺をこのまま逃がしてくれるなら俺は何もしないさ。まぁ、この子はしばらく借りるけどね」その時光が走って来た。
「今警察に連絡しました。大人しく空野さんを離しなさい」
やはりさっきの電話は警察だったのね。しかし、光はさっきの私達の警察に連絡をするなという会話を聞いていないはず。警察がきたら諦めると思っているのだろうか。でもそうだと葵が危険な目に‥‥
「あらら、呼んじゃったのか。駄目じゃないか勝手なことをしたら」
男は笑うと葵の背中を急に押した。
「きゃっ!」
と葵が声を上げた瞬間、葵の脇腹を短剣が貫いた。
「‥‥え?」
葵が訳がわからないような顔をした瞬間男は短剣を引き抜いた。真っ赤な血が葵の制服をどんどん赤黒く染めていく。
私と光は目の前の光景に愕然として声も出せずに固まった。
「‥‥あ‥‥かはっ‥‥‥由宇」
葵は私の名前を言うと同時にその場に俯せに倒れた。
「葵ーー!!」
私は叫びながら葵に駆け寄った。抱き抱えてすぐに男から距離をとる。
「ほら、だから言ったじゃないか。まったく、しょうがないなぁ。どうせ捕まるならこの学校の生徒をあと何人か殺してから捕まろうかな」
男は平然と言うと血がついた短剣を光に向けた。
「次は君かな?」
「‥‥くっ」
光は悔しそうに顔を歪めている。私はどうしたらいいのかわからずにパニックになっていた。このままじゃ葵がもたない。光も危ない。どうすればいいのかわからない。
『‥‥手伝ってやろうか?』
この声は誰?神子じゃない。
『二人を守りたいなら、力の使い方を教えてやろうか?』
私は頷いた。二人を守りたかったから。この声が誰かなんて関係ない。
『決まりだな』
次の瞬間私は真っ白な空間にいた。
「‥‥え?」
私は驚いて周りを見渡した。何もないただの真っ白な空間に一人で私は立っていた。
「ここは?葵と光は?」
二人の姿はなかった。もちろん、あの男も。
「よう、こうやって顔を合わせるのは始めてだな」
「‥‥‥!」
後ろから声がしたので慌てて振り返るとそこには一人の男子生徒が立っていた。しかもその顔に見覚えがあった。
「はじめましてだな、もう一人の俺」
その男子生徒、もう一人の私、神威は笑顔で私を見つめていた。
「‥え?‥何で?何で私がいるの?」
何故男の自分が目の前にいるのかわからなかった。
「実はな、俺が神子と契約した時に神子も気がついてないみたいだが魂が二つに別れてたんだ。一つは俺として、もう一つは由宇として、一つの体に二つの魂が宿ってることになるな」
私は信じられなかった。自分の魂がいつの間にか二つに別れてたことに、そしてそれに今まで気がつかなかったことに。
「‥それで、さっきの力の使い方を教えるっていうのは?」
私は葵達のことが心配になってきたのでもう一人の私に尋ねた。
「まあ慌てるな。この空間は現実では一瞬でしかないから安心しろ。それに俺とお前はもはや別人だ。これからは名前で呼び合うようにするぞ?」
「う、うん」
「よし、まずは“神力”についてだが、由宇が表で頑張っている間に俺は裏で密かに“神力”の特訓をしていた。だから俺と記憶を共有すれば“神力”についてある程度わかるようになるし、戦うことだってできるだろう。ここまではいいか?」
「ええ、大丈夫よ」
「よし、ただし問題がある。記憶を共有すると一時的に二人の精神が混ざり合うから体や精神に変化が起こるかもしれない。それでもいいか?」
私の答えは決まっている。
「もちろん。二人を救えるなら」
神威は笑顔で私を見た。
「ああ、お前ならそう言うと思ったよ。さすがは俺だな」
神威はそう言うと姿を消し、それと同時にこの真っ白な空間も消え始めた。
白夜「はい、お疲れ様でした。新しいキャラが出たのでプロフィール載せます」
巴村光
18歳
誕生日 6月6日
由宇達のクラスの風紀委員。誰に対しても敬語で離すため皆に慕われている。頭もよく勘も鋭い。
白夜「はい、こんなところです」
光「僕は白夜さんのお友達のリクエストから生まれました。彼にもお礼を言わなければなりませんねありがとうございます」
白夜「では次回をお楽しみに~」