知は血に勝る。どんな状況でも、自分は諦めない。
青山『よし。あと少しで辿り着くはず。自分の計算通りだ。』
大都『まだか?迅速な対応が政府の方針だというのに。こんな無駄な時間使いやがって。』
『政府の言うことなんか誰も聞いてないでしょ?自分たちと違って政府には現場感が無い。経験もなしに上から適当なこと言ってるだけの馬鹿どもの話なんて無視でいいよ。』
『…やっぱりお前は嫌な奴だな。』
『うるさいなあ。あ、そうそう。データ収集のために君の陸軍を少し借りてるから。』
『は?いまさら何を収集するってんだよ!勝手なことを!』
『大丈夫。動員したのは精々50人くらい。特に問題はないよ。』
『そう言う問題じゃ無いだろ!資源を無駄にするなとか言ってた奴がそれでどうすんだよ!』
『君と同じにしないでもらっていい?陸軍のみんなにも監視カメラを装着してもらったから、リアルタイムで情報が来るの。有意義な使い方をしてると思わない?』
『…まあそれならいいが…』
『あとちょっとなんだから。もう少し我慢しな。』
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「…なんか景色が変わり映えしないんだけど…もう少しなんかこうさあ…ね?ないの?別に諦めてくれるならそれはそれでいいんだけど。」
「…あ、なんかいる。お久しぶりに見た気がするね。人。」
…
…
「とりあえず凍らせとこっか。話はそこから。」
『お。気付いたみたい。ここで自分の秘策が発動するのさ。陸軍のみんなにつけといた監視カメラから、小型GPS装置を発射!…命中確認。これでいつでも位置を確認できるってわけ。』
『…なんか近づいてきてるぞ。勘付かれたんじゃないのか?』
『んなわけ。』
「…さて。いつもなら全身を凍らせて終わりとしたいところだけど…気が変わった。今から一人ずつ、ゆっくり私の手で殺す。」
『…やっぱりばれてる?大丈夫かな?』
「だから顔だけ出させてあげたの。私は気づいてるから。君たちの服に監視カメラがつけられてるってね。」
『…そっちか。ならいっかな。』
『よくは無いだろ。情報を下手に渡すのは危険だぞ。』
「よくこんな小さいの用意したね。そこだけは褒めてあげるよ。」
「…さて。始めようか。楽しみにしてるよ。君たちの断末魔をね。」
『…なんだ?俺の陸軍に何をするつもりだ?』
「…さて、頭上を見上げてみな?」
『…ああ。そういうこと?なら君は見ないほうがいいかも。』
『は?俺の陸軍だぞ。俺が見なくて誰が見るんだよ。』
『…そう。自分はもう分かってるから黙っとくね。』
「見えた?今君たちの頭上には氷柱がセットしてある。これ、すごい鋭くてね?ヘルメットとか頭蓋骨とか全部貫通して突き刺さっていくの。」
「…で、これを私は自由に落とすことができる。もう分かったね?」
『…』
「じゃあ、実際に一本落としてあげる。」
グサッ
《…ああ…ああああああ!》
「どう?目の前で仲間たちが見るも無惨に死んでいく光景。血飛沫が飛び散って綺麗じゃない?」
《やめろ!やめてくれ!俺たちの仲間にそんな
「無理。」
グサッ
《ああああああああああああああああああ!》
《誰か!!まだ死にたくない!!》
《お母さん!お父さん!助けて!!》
「…はあ。惨めだね。大の大人が。訓練されてきた大人が。こんな喚いちゃって。」
「君たちに言っとかないといけないことがあと一つあった。私は順番とか考えてないから。心の準備なんてさせないよ。そのほうがよりいい発狂をしてくれるからね。」
《この悪魔!!外道!!》
「なんとでも言って。私は別に構わないから。」
『…よくも…俺の陸軍に…!こんなことをしやがって…!』
『あーあ。だから見ないほうがいいよって言ったのに。』
『こんなことをされて黙ってていいのかよ!薄情者が!』
『あーあ。まんまと嵌められてる。早期終戦のために指揮官の精神を壊す作戦なんて定番なのに。』
『君はもう出てって。あとは自分が見張っとく。』
「…おめでとう。君は最後の一人。私からなんかプレゼントできるわけじゃないけど、なんか聞きたいことがあったら聞いてもいいよ。」
《…こんなことをして、なんとも思わないのか…!》
「感想?感想なら楽しかった。とか満足した。とかでいい?」
《違う!こんなことをして、良心は傷まないのか!!》
「全然。私は君たちのためにやってあげたんだから。」
《…何が俺たちのためにだよ!!人を殺しときながら悪びれもせずに!!》
「いや。君たちのために、だよ?君たちはどうせ死んでたんだから。」
《は?》
「君たちはどうせ戦争で死んだ。それを私が代わりに殺した。ついでに、私は君たちが戦争から脱出するきっかけを作ってあげた。どうせ死んだ君たちの命で、守れた命があるんだよ?名誉じゃない?」
《…戦争をしていても死んだかはわからない!俺たちは生き残って
「無理でしょ。少なくとも、君たちじゃあね。私はずっと君たちが諦めてくれるならこんなことをしなくていいって言ってるんだけど。でも君たちは全然諦めない。なら戦争も根絶やしになるまで諦めないでしょ?生き残れるわけないじゃん。」
《…》
「もういいよね?ばいばい。」
グサッ
「パーカーが血まみれになっちゃった。あとでなんとかして洗お。」
「…さて。どうせ見てるんでしょ?私のこと。」
「君たちのために言っといてあげるね?手を引くなら早いほうがいい。今ので分かったでしょ?私はこの世界を簡単に滅ぼせるって。君たちが手を引かない限り、無駄な犠牲者が増え続けるだけ。国民のことを、人類のことを大切にするなら、まずは君たちだけでも降伏しといたら?そしたら犠牲者も増えることなく、平和な世の中になる。君たちが冷静なら、ここで手を引くべきだよ。」
『…なかなか口が動くようで。その腹立つ顔を真っ赤に染め上げる瞬間を楽しみにさせてもらおっかな。すでにお前は自分の掌の上。どう転がしてやろうか。ちゃんと考えてやるから。自分たちは諦めない。知は血に勝る。たとえどんなに追い詰められても、最後に笑うのは自分だ。』