人を信じるってのは最も愚かな行動なんだよね。そんな聖人がいるわけないじゃん。
…おっと?
なんかでっかい壁がある。そういう街もあるよね。
…戦争から守るための要塞的な街っぽい。…じゃあ中に人がいるんじゃない?
「…壁を貫通させて凍らせちゃってもいいけど…それじゃつまんないよね。壁を溶かしてそのまま行っちゃおう。」
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《いいか!?あいつの姿が見えたら迷いもなく撃ち込んでやれ!》
〈そもそも突破されるんですか?〉
《まあ確かにそうだな!とはいえ、油断するなよ!》
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「まずは壁を凍らせて…今頃びっくりしてるのかな?そんなことないか。」
「…んで…一気に溶かしちゃってもいいけど、どうせならゆっくり溶かしてみよ。」
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《…なんだ!?壁が溶けて
〈まずいです!下側が溶けたことによりバランスが保てていません!壁が倒れてき
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「…あ〜あ。ぐっちゃぐちゃ。私まだ入ってもないんだけど。」
「まあいいや。お邪魔します。」
〔ひいいい!?〕〔わああ!!〕〔いやあ!いやあ!!〕〔やめて!!!こっち来ないで!!〕
「…ええ…こんなゴタゴタすることある?私まだなんもしてないじゃん。」
「まあいいや。君たちは…こうかな。」
〔!?〕
「はい。なんかごちゃごちゃしてて楽しそうだったから、壁で囲ってあげたよ。人がみっちり詰まった空間で、食べ物もないまま暑苦しい空気の中で苦しく死んどいてね。」
「ああいうのはどうでもいいの。もっとなんか絶望感に溢れてそうな人じゃなきゃ。」
「…思ったより何にもない。たまに人はいるけど、みんな許してとか言ってるだけだし。」
「…なんもないや。早くどっか行こ。」
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「…あれ?あそこ誰かいる。なんでだろ。…逃げる気がないのかな。」
「…生きてる?」
[…]
「…死んでるなら体ぐちゃぐちゃに切り裂いて遊んでみてもいい?」
[…やめろ。]
「生きてるじゃん。ねえ。逃げなくていいの?」
[…逃げなくていいんだ…俺は…俺はもう…]
「へえ。強がり?」
[いや…俺が今座ってるこの石…この石は俺の家の土台なんだ…]
[俺の家族が…]
[なあ…]
[なあ…]
「…なるほどね。なんとなく言いたいことはわかったさ。」
「じゃあ足元からゆっくり凍らせてあげる。」
「最後まで味わって死んでってね。」
[…ありがとう…]
「…もう動けないかな。そんじゃ。はい。」
[…は?]
[おい…俺の家族がいる石は…?]
「ん?今私が溶かした。この水がそうなんじゃない?」
[はあ!!??]
「ああ。そういうこと?」
[水だけ残ってたって何になんだよ!!]
「うるさいなあ…ちょっと待ってて?」
「これをもっかい凍らせて…氷の器を作って…ここでこの氷を溶かして…」
「はい。君の家族を器に移し替えてあげたよ。」
[…馬鹿にしやがって!!!!!]
「いらない?」
[黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!]
「じゃあ私が飲んじゃうね。ありがと。」
[おい…!やめろ!!やめろ!!!]
「…うん。まあまあかな。」
[おい!!俺の家族
「安心して。君の家族はいま私の体の中で生き続けてるから。」
[…]
「あ。でもそのうち溶かされちゃってなくなっちゃうかもn
[おい!!!俺の!!俺の!!俺の!!俺の!!お
「あ〜あ。完全に凍っちゃった。」
「なんで私のことを信じちゃったんだろうね。私人類と敵対してる存在なのに。馬鹿じゃないの?」
「そんなもんなのかな。なんか私まで悲しい気持ち。」
〈…ママ!今何時?〉
《今はね〜13時!》
〈13時?〉
《午後一時ってこと!》
〈へ〜〉
〈1日って早く進んでいくな〜〉