5、 図書館の不思議なお伽話
本文の 『』の中の文章は、主人公が知らない未知の言語で、書かれています。
院長さんが、今日は街の図書館に連れて行ってくれるって―― 竜についての本も有るかな? 魔法について書かれた本にも、興味があるし楽しみだなぁ〜
養護院から出て、街の大通り向かい東の方に院長さんと歩いてく――
左手には、小さな公園が右手には、こぢんまりとした住宅街、建物はまるでお伽話に、出てくる様な可愛い見た目をしていた。
童話の中のお家みたい―― かわいい〜
周りの景色を眺めながら、歩いて行くと段々人の行き来が増えてきた。もう少しで、大通りかな?
目の前が開けてきて、見渡す限り人、人、人で溢れている〜 人酔いしそう……
「 ここまで来れば、後もう少しで着きますよ。」
「 すごくひとが、おおいですね。いつもこんなに、ひとがいるのですか?? 」
「 いいえ、もう直ぐお祭りが開催されるので、それ目当てにお客さんが、大勢この街に訪れているのでしょう。」
「 おまつりですか?? なんのおまつりをするのですか。 」
「 この街の近くに在る、聖なる森に由来するお祭りですよ。 ほら、マリン貴女が保護されたあの森です。 」
えぇ〜 あの森 “ 聖なる森“ って言うの!! 夜の不気味な森しか、知らなかった!? 昼間なら、また違った雰囲気になるのかなぁ〜
「 そうなのですね。どんなおまつりなのか いまから、たのしみです。」
「 ふふふっ、とても綺麗なお祭りですよ。今の内に、薬草栽培と採取で、お小遣いを稼いでおくと良いですよ。」
「 はい、さいばいは、ようごいんのおにわで、さいしゅは、うらにあるはやしで、 いいのですよね?」
「 えぇ、それで大丈夫ですよ。」
そんなお話をしながら歩いて行くと―― おっきい建物が、目の前に見えて来た。もしかして、あれが図書館? 凄くおっきい〜
「 さぁ〜 着きましたよ。此処が、この街の図書館です。他の街より、此処はとても大きな図書館なんです。本の蔵書数もかなりのもので、きっと貴方の探している事についてや、お気に入りの本も見つけられるはずですよ。」
院長さんに促されて中に入ると、広々した空間にたくさんの本棚、見渡す限りにみっしりと本が、収まっている。その光景に、暫し圧倒された――
「 此処で、分からない事は、其処の受付に居る司書さんに、聞けばよいですよ。目当ての本を探すのにも、司書さんに聞けば探すのも楽ですよ。」
「 ひろくて、まいごになりそう〜 さっそく、ししょさんに、きいておきます。」
「 私は、少し野暮用を終わらせに行くので、帰る頃まで好きなだけ、本を読んでて良いですよ。」
「 わかりました。院長さんが、もどってくるまで、ここでほんをよんで、まっていますね。」
そうして、院長さんと別れて、わたしは図書館の受付に向かい、司書さんに声を掛けた――
「 すみませ〜ん、ほんをさがしているのですが、せかいやまほうについて、かかれたほんは、ありますか??」
「 あらあら、可愛いお客様。世界と魔法についての書籍でございますね。当館にどちらの書籍も、有りますよ。その書籍が有る本棚は、あちらの通路奥の、ソファーの前の棚に有ります。」
「 おくのソファーの、まえのたなですね。ありがとうございます。」
「 迷子には、気をつけてお進み下さい。」
司書さんに、教えて貰った通路で、目当ての本を探して行く。
わぁ〜 本が綺麗に本棚に収まって、壮観―― タイトルだけ、流し見して行くけど、面白そうなのがあって、目移りしそう〜
魔物図鑑?? そう言えば、この世界には “魔物“ が居るって、院長さんに教わったね。魔物かぁやっぱり、怖いのかな……
「 あそこの、ソファーがししょさんが、いってたところかな? 」
通路の奥にソファーが見えて来た―― ソファーの前の本棚に、あるって…… タイトルを確認しながら、見て行くと少し古そうな、古本を見つけた――
何となく、気になって手に取る―― かなり昔の本なのか、表紙が剥がれ掛けている。
「 すごくふるそうだけど、なにがかいてあるのかな?? ちょっとだけ、よんでみよう。 」
『 忘れ去られた物語 』
あれ、勉強して覚えた文字と、全然違う―― なのに何で、書いてある内容の意味が、分かるのだろう―― ??
―――――――
『 始まりに 星の竜が瞬き 次に 月の竜が廻り そして 陽の竜が照らし 最後に 天の竜が昇り 世界を創世する
数多の生命が 育まれ ある時 愚かなる者達が 深い狂気と呪いで 星の竜を 縛り付けた 星の竜は 全ての生命のために 自身を封印し 長き眠りについた 数千年の長き時が過ぎ去りし
蒼き不思議な星から 海の名を持つ少女が この世界に落ち いつか生まれる 天の小さな皇帝
再び 差し迫った災い まだ 頑是ない天の小さな皇帝 己が全力を持って 星の竜に 掛けられた 古の呪いを 解呪し 解放する そして再び 星の竜が瞬き 星の祝福が 世界に降り注ぐ
世界は 光り輝く 新たな黎明を迎える 』
『 書き手不明 』
―――――――
よく分からないけど、物語なのかなぁ…… うーん、探してた本を見つけようと――