1、曇夜の中で 〜???side〜
はじめまして、初投稿です。
はじめて書くので、とってもゆっくりめの
更新になると思います。
どうぞよろしくお願いします。(>人<;)
鬱蒼とした森の中ただ、そぞろ歩く――
暫くの間そうしていると、木々のざわめきの中、微かに声が聞こえる。
こんな森の奥であり得ない事だが、確かに聞こえる。しかも、まだ幼い子供の泣き声の様だ。
何故こんな場所に、子供が居るのか??
声が聞こえる方へ向かった――
暫く草木を掻き分けて歩み進めると、森の木々が疎らになり、開けた場所に出た。
今宵は、生憎と曇夜で咲いてないが、とある花の群生地だ。その真ん中で蹲って、泣き噦る六、七才くらいの幼い少女が一人だけ――
その少女の身なりに俺は、瞠目した何故なら、この世界では見られない衣服を、その身に纏っていたからだ。
これはまた……同情を禁じえないなぁ……
極稀に、この世界とは違う場所から、異次元を超えて迷い込む人や生き物がいる。
この子供もそうだろう。
元の世界と此方では、何もかもが違うだろうし、この世界で、生きる上での知識を、身につけるのにも、街の養護院に預けるか。
子供の行く先を決めて、さっきから泣き噦っている少女に声を掛けた。
「 君は、俺の話してる言葉が、分かるかな? 」
少女は、一瞬ビクッとして、恐る恐る此方を振り返り――暫しの間少女は呆然とした。
俺は、少女の顔の前で手を振りながら、もう一度問い掛けた。
「 えっと、聞こえてる? 言葉分かる? 」
少女は、ハッとして俺と眼を合わせ、たどたどしく話し始めた。
「 あのね―― おうちにいたのに、おへやのドアをあけたらッ―― おそとだったの―― 」
話しながら、だんだんと眼に、涙を溜め――
「 たくさんあるいたけど、おうちに――かえれなくてッ―― だれ――ヒック、だれもッ―― いなくて、ヒック―― 」
遂には、泣き出してしまった。
俺は、少女に近づきその小さな頭を、落ち着くまでそっと撫でた。暫くしたら、落ち着いたのか――
「 えっと、ごめんなさい。」
「 どうして君が、謝るんだ? 」
「 だって、おにいさんをこまらせたから―― 」
その言葉に、俺はもう一度頭を撫でた。
「 困って居たのは、君の方だろう? いつまでも此処にいる訳には、いかないから近くの街まで送ってあげるよ。」
少女と話している内に、雲間が晴れて、月明かりが辺りを、照らし始めた。
硬い蕾が、月光を浴びて、少しずつ咲き乱れて、瞬く間に、辺り一面を覆い仄かに光り輝く。
少女は、唖然とし、
「 きれい―― 」と呟いた。
「 月星花――月明かりの下でしか、咲くことがない珍しい花だよ。」
「 えっ、あのっ、ちが、いえ、っと 」
何やら狼狽え始めた。顔も少し赤くなって、熱でも出て来たのだろうか?
少女に近づき、そっと抱き上げ街の方角へ、歩き始める。森の中進んでいると、知った気配が近づいて来る――
木々の間から、緑髪を靡かせて、細身の青年が現れた。俺の姿を見咎めると――
「 陛下、この様な所に何用ですか。執務を放って置いて―― 」
俺の腕の中に、抱き上げている少女を見て、物の見事に固まり――
「 何処から、攫って来たのですか?! 」
「 お前は、俺をなんだと思っているんだ。この子は、世界渡りをした子だ。」
「 ッ!! 」
こいつが、ここまで驚くのは珍しいな。まぁ、世界渡りも七百年ぶりぐらいか??
前の時は、何かの生き物で人ではなかったから仕方ないか―― 何処かの国が、保護したらしいがどうなったかは、分からんし――
「 それで、どうするのです? このまま連れ帰る訳にも、行かないでしょう。」
「 この近くの街に、養護院があるだろう。其処に、この子を預かって貰おうと、今向かってる所だ。」
「 それが、無難そうですね。」
「 彼処なら、多少の融通が効くからな―― 」
「 彼処の院長は、引退した “ 天空の旅人“ でしたね。確かに彼処なら、この子を預けるのに問題無いはず、念の為にこの子の境遇を、話しておきましょう。 」
「 それが、終わったら直ぐに帰りますよ。まだ未処理の書類仕事が、残っているんですから!! 」
「 急ぎでは無いから、大丈夫だろう? 」
「 いいえ、急ぎで無くても仕事しっかり終わらせておくものです。 」
相変わらず、融通が利かないなぁ―― こいつだって、曲がりなりにも竜王だろうに―― 俺を探す時間があるのか??
「 大丈夫ですよ。ここ何日かの仕事は、粗方終えてますので―― 」
「 俺はまだ何も言って無いだろう。スフェノス 」
スフェノス・グリューナ・アパティーツこの男は、当代の嵐竜王―― 何この子いつの間に、こんなに要領良くなって、末恐ろしいなぁ……
まぁ、頼もしい限りだが――
そんな話をしている内に、森を抜けていた。後は、街に在る養護院に、この子を預けるだけだ。
ゆっくりめですが、頑張ります。
(´ω`)