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二話 自動小銃で一狩り行こうぜ!

3日目、ひとまず家に設備を整えた俺はそろそろ異世界っぽい事がしたくなってきた。

異世界といえば冒険者だよねという事で、俺は街の中心部にある冒険者ギルドが併設されている酒場に行ってみたのだが…


「あぁん?なんだぁてめぇ?」


謎の怖い兄ちゃんに睨まれている。コワイ!!


「いや、あの…冒険者ギルドに入りたいなとか思いまして」


「あ〜ぁ…お前、地球から来た連中だろ?」


「?えぇ、まぁ」


「ならとっとと帰りやがれ!お前にやる仕事はねぇ!!」


「ヒェーwwwwww」


これ以上酒場の皆んなから睨まれたりはしたくなかったので一目散に家に帰った。




だが、家に帰っても別にやる事がある訳でもない。

俺は和室の畳に寝そべって3Dプリンターを撫でながら何をしようか考えていた…そして、リベレーター君のことを思い出した!


「完成してるじゃん!」


そう、3Dプリンターは出力を終えて既に部品を正面に吐き出していた。

これは嬉しい。早速持ってきた鉄パイプなどの部品と組み合わせて組み立てる。

そして完成したのが自動小銃だ!銃身が鈍く光ってるのがかっこいいね。

ライフリングはまだ無い。夢はライフリングってやつだ。


ライフルでは無いにしても、異世界に持ってくるには強力すぎる武器である事は確かだった。

俺はライフルを使った事はないが、昔田舎に住んでいた頃に猟銃免許を取ってショットガンで動物を狩っていた事があるので大体同じだろうと見込んでいた。


という訳で早速試射だ!

リベレーターを担いで森に向かってずんずんと進み、周囲一帯が樹木だらけになってきた頃、突然脇腹に鋭い痛みが走った。


「いたっ?!」


「ギャギャギャ!!!」


横を見ればそこにはゴブリンっぽい緑色の人型。その手元を見ればそこには…ナイフが、ナイフが俺の脇腹に突き刺さっていた。


「ク、クソ!!!」

「ギャギャ!!」


リベレーターのストックでゴブリンを殴ってとりあえず距離を取る。ナイフはまだ刺さったままだ!


「クソ!!クソ!!!」


俺は引き金を引いた。


バババババ、バババババ。


「ギャギャギャ!!!」


ゴブリンはまだ元気に動き回っている。狙いを定めたかったが痛すぎて集中できない。


「ギャギャギャーー!!!!」


そう叫んでそのゴブリンは腰に下げた剣を引き抜き、俺に向かって突撃してきた!こんな所で死ぬわけには…


その時、某ジョーなスターの言葉が脳内に響いた。


『いいかい?逆に考えるんだ。近づかれちゃってもいいさ、とね。』


「ギャーーーー!!!!」


そう、冷静さを保つのだ。

奴はたった一体。こっちの弾倉にはまだ弾はある。

10m、5m…2m!今だ!!!


バン!!!!!






「クソ…クソッタレ……」

「ギャ………」


どちらの負けなのだろう?判断がつかなかった。

俺の腹には奴の剣が突き刺さり、彼の額には穴が空いていた。

どうやら彼はもう事切れたようだが、俺はまだ生きていた。が、明らかに時間の問題だ。


「クソ…こんな所で…死ぬわけには……」




ザッザッザと砂利を踏む音が響く、そして俺の前で止まった。


「そうね、本当にそう。」


腹から鋭い、ひどく鋭く激しい痛みを感じる。恐らく剣を引き抜かれたのだろう。


「我慢して。回復する前に必要なの。」


その言葉の直後だった。

表現するのが難しいが、腹の表面から奥を通って背中まで、さっきまで痛みを声高に主張していた部位から安心感を感じるようになった。

表現するのが難しい。俺もよくわからない。だが、とにかく安心した。痛みも一瞬で引いていった。


恐らく目の前には人がいるのだろう。俺を助けてくれた人が。


「あ、貴方は…?」


「……ベガと呼んで。」


「ベガ、さ………ん………」

























目が覚めると、知ってる天井だった。

俺の家だ。俺自身は畳の上に寝かされており、台所からは物音がする。

すると足音が聞こえ始め、こちらへ近づいてきた。


襖を開けて現れたのは…綺麗な赤墨色の髪の、長い髪のケモ耳の生えた綺麗な女性だった。


「…全く、家具の一つもないの?生活感がないってレベルじゃないわよ」

「…申し訳ない。まだ越してきてすぐなんだ。」

「というかあなたご飯は食べてたの?食糧庫すらなかったわよ」

「…忘れてた」

「…貴方どうかしてるわ」


そう呆れたように言った彼女は俺から若干距離を取ったように見える。そういえば、さっきのリベレーターは…どこに行った?


「あの、俺の持ってた…なんていうか、白い長い物はどこに行ったか知らない?」

「あぁ、あれね。少し待ってて」


そう言って台所まで歩いて行って、恐らくはそれを拾い上げて持ってきたベガさん。

その手には…ッ?!


「ベガさん、すぐに引き金から指を外して。危ないよ。」

「?…引き金って…何?」


その直後、バンという音が壁に反響しながら部屋に響いた。


「あぁクソ!病み上がりなのに!!」

「ちょ、ちょっと動いたら傷が「こっちの方が危ないよ!!」」


ベガさんから銃を取り上げ、安全装置をかける。これでとりあえずは安心だ。


「…なんなの今の?今の音は…?」


「…もしかして、銃をご存知ない?」


「銃……?」


マジかよ。

その後ベガさんに銃について説明すると…


「…なんでそんな危ないものを?もしかして貴方…スパイ?」


「ちちち違うよ。俺は善良な元日本人だよ」


「ニホン…?まぁいいわ、とにかく、この街で妙なことをしないでよね。折角まだマシな住処を見つけられたのに…まったく」


そう言って部屋の隅に置かれた掛け鞄を肩に掛け、帰ろうとするベガさん。このまま帰られるのは罪悪感がある。


「あ、あの!」


「何?」


「なんというか、お礼がしたくて……」


「……お礼なら、もうされてるわ。」


「?」


「だって貴方、私の貸家の住民でしょう?」


成程、貴方が大家さんなのね。


「じゃあ俺に鍵を渡してくれた銀髪ロングの美少女って...?」


「...あれは、私の...同居人よ。あまり聞かないで。」


「あぁごめんなさい...もし良かったら紹介してもらったりとか「駄目よ」はい...」


「というか、どうしてあんな森の中を一人で歩いていたの?その...銃?の音がしたからあなたを助けられたけれど、もしあのまま死んでたらどうするつもりだったの?」


「いやー何か物を作ったら試してみたくなるものじゃん?」


「...本当には聞こえないわね。どうして本当の理由を隠しているの?」


「...いや、それが本当の理由だよ」


「...まぁいいわ。じゃあ、私はこれで。」


そういって彼女は出て行ってしまった。今度お礼の品でも用意して訪ねてみようかな。

やはり今回の敗因は準備不足だ。今度森に行くときはもっと訓練してもっと装備を整えなければ。

なにより、仲間がいなかったのも大きな理由の一つだろう。誰かを雇って同行させたほうが良さそうだ。

幸い日本と異世界の物価の差から日本では貧しい俺でも異世界では金持ち扱いされる。まだ多少残っている金をこっちの貨幣に換えてもらおう。

そう思い立ち、俺は3Dプリンターにデータを送りもう一丁の銃を作り始めた。

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