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Beset

確かに現実離れしたいかにもな雰囲気の場所だがなんでここに舞がいるのかなんて論理的な根拠は何一つない

ただこの奥に彼女がいるという確信できる勘が働いた

明らかに願望ではないまるで脳に直接電波を送り込まれたかの如く、そしてそれを確かに感じたのだ

きっといる

どの道進むことしかできないのだから


穴を抜け、また広間にたどり着く

誰もいない

周りを警戒しながら歩みを緩めずに広間の真ん中までたどり着く

やられた いや、そういう仕組みなのか

眼前には赤い敵

左右に青、そして後ろにも多分赤

はぁ

その場にいる全員が瞬時に大地を蹴る

いきなりフルスロットルで飛びかかる

先ずは目の前の赤!

放たれる一閃など構うことなく懐に突っ込んで腹を抉る

敵の獲物は頬を掠めて空を切る

刹那一香の正面が真っ赤に染まり視界が覆われた

確かな手応えを感じたまま力任せに振り払えば串に刺さった物体がポーンと飛んでいくかのような感触

すぐに振り返り目を瞑ったまま右斜めに転がり込む

ビュンと重なる風切り音から逃げるように数歩走り振り向きザマに顔を拭う

青が体制を立て直している一方で赤は既にこちらに歩を進めている

腰を落とし刀を八艘に構えて赤に向かって駆け出す

赤も心得たりと迎え撃つ

が、飛び込んでくるナタを振り払いながら赤の脇を通り抜ける

その先にいるのは体制を整え直したばかりの青

突然の目標変更に対応できないのだろうかナタを盾のように構えてしまう青の脚元を振り抜けば、派手に血飛沫を上げながら崩れ落ちる

倒れた青に一刀を叩き込む...と思いきや突如振り向きながら平突きを放つその先にもう一体の青

動けない敵は後回しに背後に迫る敵に突如繰り出すカウンター

敵は空中に飛び出しており加速もついて一切の挙動を変えられずに自ら刺されんとばかりに飛んでくる

これで3体

一香がそう確信した瞬間、右腕が突如痺れんばかりの衝撃を感じ刀が羽上げられたのと赤が眼前に飛び込んでくるのを同時に確認した

幸い刀は弾き飛ばされてはいない、まだ彼女の手の中

それを認識すると同時に地面を蹴り上げ空を回りながら後ろに飛ぶ

カッコつけて人生初のバク宙を決めたわけではない

空中から地上を確認する必要があった

特に、先ほど足を切った青の位置を

奴を斬ってからまだ数秒も経過していないのだから当然予想通り同じ場所にいる

そして着地位置も目論み通り

刀を逆手に持ち替え着地と同時に青の頭を突き刺した

足元に飛び散った血飛沫を一瞥するとすぐに刀を抜いて青眼に構える

二対一

ここまで僅か10秒も経ってはいないのに息が乱れ...

いや余り乱れてない

アドレナリンが出過ぎて疲れを感じてないのだろうか

その思考をすぐにやめて二体の敵に集中する

足元の死体が邪魔だな

横にすっ飛ぶとすぐに地を蹴って懐に飛び込む

二つのナタが放つ銀閃を拒む

がその程度で止まるはずもなく続け様に閃光を何度も放つ

真っ向、水平、袈裟、逆袈裟

体中の筋肉を総動員して銀の雨を叩き込むが流石に二体相手は無理がある

攻撃の閃光はやがて防御に偏っていく

だんだんと押されてそれでも必死に喰らいつく

が、ついに一香の刀が追いつかなくなった

致命的な刃を警戒していたが一瞬の隙をついた赤の左手が勢いよく一香の右頬目掛けて炸裂した

視界が急にブラーを起こす

それでも斬られまいとノールックで二の太刀を弾くが今度は腹部に強烈な鈍痛が襲う

更に朧げになる視界で見えたものはおそらく地面

崩れ落ちる

意識も消えかける

頭上に感じる鋭い死

そいつは強い衝撃へと変換された

わずかな意識を振り絞って頭上に持っていった刀がナタを受け止めて、その衝撃で再び意識が覚醒する

もやが晴れた視界に現れたのは青い...

視界が光ったと思ったら一瞬真っ黒に

思いっきり顔面を蹴っ飛ばされた

ぼやけているが赤い線みたいなのが宙を舞っているような

腹を殴られ俯いて、蹴り上げられて仰け反って、随分忙しく体を動かしてきやがる

けど、私の意識も感覚もハッキリして

ニヤリと笑った

左手に感じる感触

迂闊に蹴りなんかだすもんじゃねーよ

親父がそんな事いってたような

左腕を思いっきり振り上げれば青い敵は宙を舞う

いや放り出される

これで一対一

間髪入れずに赤に一刀を叩きつける

何発も何発も

今度は敵が追いつかなくなる

一瞬の隙をついて拳を叩き込んでやれば首が捻じれて180度回転

側から見ればホラーだが一香から見れば絶好の好機

力任せに刀を振り回せば瞬時に4等分

激しく血潮をぶちまける

同時に自由落下を終えた青が地に落ちた

すぐさま立ち上がりナタを構える青に歩いて近寄るとナタが降り上がる前には既に首筋に一振り入れられていた

そのまま一瞥もする事なく現れた穴を通る


フンッと鼻を噛めば勢いよく噴出される血液

ぶん殴られるなんていつぶりだろうか

流石に顔を蹴られたことはなかったし少し堪えた

まだ鈍痛は響くがもう支障はない

地に汚れた制服を気にしながら歩を進める

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