Subordination
私の通う学校は、まあ所謂自称進学校ってやつだ。
本当に賢い連中を育てると言うわけではなくとりあえず有名大学に送り出して学校の評判を上げることが目的の
だから校風もどこか大人が考えた優等生という像を押し付けるきらいがある
別に勉強は好きではないが中学生くらいの勉強ならちょっと予習復習する程度でそれなりの点数が取れるのでこんな高校に進むことになった
進学してからは殆ど勉強も手付かずになってしまったがそう言う性分だからまあ仕方ないだろう
部活の強制というのもいかにもだ
スポーツ全般興味はない
文学系の部で適当にやり過ごそうとしたが学校の連中は私が剣術道場の娘だってことをどこからか聞いて部員総出で勧誘してきた
部活で好成績なら進路で有利だし指定校も貰えそうだと聞いたのでまあ得意なことならと思って入部した
結局退屈で問題起こして幽霊部員と化するまで1年かからなかったが
進学校とはいえ中途半端な成績の連中もたくさん入学する
中にはあまりガラの良くない者もよくいる
そう言う連中にも何度か絡まれたことはあるが所詮は進学校のヒョロガリだ
ちょっと小突いてやれば大袈裟に泣いて先生に訴えるなんて小学生のような振る舞いを恥ずかしげもなくする
おかげですっかり不良のレッテルを貼られたわけだが彼女自身はそんな大層なものとは思ってもいなかった
ちょっとイキってるお利口さんを数人泣かせた程度で別に自分が恐ろしい力を持て余した化け物だなんて大袈裟にも程がある
周りはそう思っていたようで触らぬ神に祟りなしと言わんばかりに私から距離を置いた
舞だけは私と変わらずに接してくれていたけどお陰で彼女も周りから奇異な目で見られるようになってしまった
だから彼女のために彼女から離れようと考えたが出来なかった
そんなことしたらきっと舞は悲しむだろうし怒って殴られるかもしれないし(別にそれは平気だが)、なんだかよくテレビとかで見るありきたりな解決策(解決出来てない)のようだったし...
いや、私が彼女から離れたくなかったのだ
彼女に強く依存していた私が今更離れるなんて行動には移せない
彼女自身が私を本当はどう思っているかはわからない
私にとって舞はもはや恋人以上に大事な親友である
畏怖や妬みなど侮蔑的な目線ばかりが飛んでくる学校内で唯一私に笑ってくれる舞
問題ばかり起こして、それでも愛想も尽かさず私を認めてくれる彼女にべったりだ
甘えだろうか、いやどうでもいい
甘えで何が悪い
お前たちのつまらん物差しで評価するな
物心ついた時から力が強かった
正直こんな腕っ節が強くたって不器用な私には過ぎた力だ
周りから嫌われるだけでいいことなんて特にない
でもあの日、あのクソdqnをぶちのめしてから世界の見え方が少し変わった
周囲や世間に無理に褒められなくったっていい
彼女が笑い続けてくれるために私がその場を提供しよう
ひたすら暴力で整地したその場所で私をひたすら甘やかしてほしい
もう愛情を通り越して堕落した考えだけどその灼熱のような甘すぎる蜜にどっぷり浸かって酔いしれた私は彼女に寄りかかることしか今はできない
いつかはきっと自分の足で立ってあなたと対等に付き合ってみせるから
でもそれまでは私をひたすら救って欲しい
貴方になにが起きようと私が居場所を作ってあげるから
だから、返せよ、舞を
彼女がどこに居ようと、お前たちの臓物をぶち撒けて彼女の居場所を作るんだ
もう、自分の力に嫌悪はない
刀の血を拭いながら次の部屋へ