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22話

 改めて水着のマリアを見る。


 マリアが選んだのは黒のビキニ。露出は当然のように多いが、マイクロビキニを選んでこなかっただけ真っ当だと思う。


 この位なら湘南とかに行けば普通に居るし。


 ただ、ブロンドヘアで清楚な見た目と黒のセクシーなビキニという相反する属性が混じったことで破壊力が尋常じゃないけど。


 ほんとうにどうしてこんな美人がこのクソデブを愛しているんだろうな。この世はよく分からん。


「凄く綺麗だよ。黒い水着とブロンドヘアの相性が良いんだろうね」


 ここで恥ずかしがっていてはマリアの思うつぼなのは分かっているので、しっかりと答えた。語彙力はないけど。こういう時の適切な言葉が分からないからね。


「そうですか、嬉しいです!」


 俺に褒められたマリアは嬉しそうに笑っていた。


「うん、良かった。じゃあ試しに——」


「エリック様、私だけではなく、リシュリュー様とリザ様にもですよ」


「え」


「当然じゃないですか」


 マリアはそういう人だった。


「さあ!」


 ここまで言われたら流石に逃げられない。ちゃんと褒めないとな……


 まずは師匠。


 真っ白なワンピース型の水着。先程のマリアとは違って露出度は低めで、上は半袖で下はひざ下まで布で隠れている。


 赤髪ショートだから明るいとか陽気といったイメージがあったのだが、真っ白なワンピースと合わせると落ち着いた印象を受ける。


「すごくいいと思う。清楚って感じ」


「ありがとう」


 俺が軽く褒めると、師匠は少し恥ずかしそうに顔を赤らめていた。


 多分用紙を褒められることに慣れていないんだと思う。



 そして問題はリシュリュー。


「なんですか?エリック様」


「いや、その、ね……」


 リシュリューは忍者っぽい格好をしていた。だから着用する水着が戦国時代等、昔の日本を連想させる和に寄った格好になるのは予測可能な範囲である。


 ただ、海女さんが漁師の時に着る真っ黒なウェットスーツは予測できるか。なんでだよ。


 その全身を覆うタイプは忍者が居る時代には無いんだよ。


 忍者が居た時代の海女さんはそんなもの着てないよ。なんなら何も着てないんだよ。


「ほら、褒めるのです。この素晴らしい機能美を」


 リシュリューさん、自信満々に胸を張って見せつけてくるんじゃありません。それは着用して可愛いとかそういう類のものではない。機能性に全振りした結果美だけを失ったタイプの服なんだよ。


 機能性に全振りしたとしてもまだ水泳選手が使うような水着とかだったらさ、カッコいいねって言えたかもしれないよ。


 でも、それを見て素直に褒められるほどに俺は訓練された人材ではないんです。


「……ごめん、それ機能はあるけど美はないです」


 俺は嘘で褒めるのは良くないと思い、正直に伝えた。


「なっ!!!」


 リシュリューは相当ショックを受けたようで膝から崩れ落ちていた。


「どうしてそれでいけると思ったのかな」


 そもそもリシュリューの私服センスは悪い方ではない。寧ろウチの使用人の中でもトップクラスに良いんじゃないかというレベルだ。


 それなのにどうして……


「機能的であるということはカッコよさがある。体のラインを見せているということは妖艶さがある。黒色と私は非常に相性が良いので似合う。つまり完璧だと断定しました……」


 なるほど。リシュリューは要素の数で服を選んでいたのか。


 確かにリシュリューが言っていること自体は間違いではないかもしれない。機能的なものはカッコいいし、体のラインが見えれば妖艶だし、黒色とリシュリューの相性は良い。


 ただ、それはそういう場合が多いってだけでイコール正しいってわけでは無いんだ。


「エリック様、それでも褒めないと駄目ですよ?」


 見かねたマリアが俺にそう文句を言って来た。


「流石にこれを褒めるのはリシュリューの将来に良くないと思う」


 褒めたことを間に受けて他の人の前にこれで出たら悲惨だろうが。確実に株が下がる事間違いなしだぞ。


「そうですかね……?」


「そうだよ。で、とりあえず目的を果たそうよ」


 これ以上リシュリューの水着に触れるのは色んな意味で良くないと判断し、話をぶった切って本題に入ることにした。


「う、うん。そうしよっか。コツは水に沈む前に足を上げることだよ」


「簡単に言わないでね。人間は普通出来ないんだから」


 俺はそこまで超人じゃないんだよ。



「おおー!新鮮だね!!!!!!もっと速く走って!!!!」


「危ないから無理だよ!!!」


 何故か海を簡単に走れました。チートって凄いね。


 ただ足で水を蹴らなければいけなかったので、尋常じゃないレベルの水しぶきが周囲に立つことに。


 そのため巻き込まれたり吹き飛ばされたりする可能性のある駕籠は危険と判断し、三人を背負って走ることに。


 つまり三人に直接触れることになった。


 しかし、駕籠の時よりは緊張することはなかった。


 なんならダイエット初期に師匠を背負って走った時の方が緊張したよね。


 何故なら今回触れるのがリシュリューだけで済んだから。


 走りながら3人が落ちないように気を遣うと水に沈むと判断したリシュリューが、二人が飛んでいかないように代わりに支えていてくれたのだ。


 形としては俺がリシュリューを背負い、リシュリューがその上で二人を背負うというもの。


 走る為の体勢としては不安定だけど、マシマシの俺からしたら大した影響は無かった。


 ウェットスーツ分厚いから体温を感じないし材質が肌とは程遠いから人感が無かったよね。


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