【2-3】ヘルガってば、優しいんだから!(1)
ようやく、待ち合わせの大通りに着いた。邪魔が入ったとはいえ、ヘルガを待たせちゃうなんて、私のバカ!
「ヘルガーー!! お待たせーー!!」
きゃーー!! ヘルガの私服姿、本当にかっこいいーー!! この一瞬を閉じ込めて、額縁に入れて飾りたいっ!! 彼の姿を独り占めしたいわっ!!
「おう、アルタ――」
……あ、しまった。窓ガラスを突き破ったせいで、腕が血まみれだったわ。
「ちょっ、おまえ!! 何だよ、その傷!?」
「大丈夫よ。ちょっと、ワイバーンに引っかかれちゃっただけだから」
「ちょっと引っかかれた傷か!? 俺には重症に見えるけどよ!!」
ヘルガってば、そんなに慌てなくてもいいのに。傷なんて、騎士団ではよくあることよ。
「と、とにかく!! まずは止血するぞ!!」
「ヘルガ、優しい……」
「いや、当たり前だろ!!」
ヘルガはポーションが売られてる店に入って、治療用の包帯と軽めのポーションを買ってくれた。一般兵のお給料なんて大したことないのに、わざわざ私のためにここまでしてくれるなんて……。これはもう、「相思相愛」って言うんじゃないかしら!?
「ありがとう、ヘルガ」
「ったく、ちょっとは気をつけろよ?」
ヘルガはニコッと笑って、私の手を引っ張る。その笑顔も、本当にかっこいい……。