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morning moon/evening sun  作者: 希望の魚雷
32/35

S-12『神→ネ申→ネア』

※に見えるんじゃないかと最近思い始めた

背中に女の子が密着してると考えると、とても落ち着ける状況ではなかった


「5大とか7大とかよく言うじゃないですか、ジャンルはそれと同じですよ、後付け設定のうえにひとつひとつが守備範囲広いっすけど」


否、ジェラルドが背負っているものはアンチマテリアルライフル、鉄の塊である。しかしただの鉄ではない、変幻自在な鉄なのだ




今朝、目覚めた瞬間にショタっ子が奇襲かけてきた時は少しだけ死を覚悟した(テクノブレイク的な意味で)




「基本的には水、土、風、火の4つです。細かく言うと豊饒とか時元とかありますけど、通常は陰陽五行の出来損ないと考えてください」


その陰陽五行とやらを知らないのだが


家を出てからずっとネアが説明しているのは4大元素という単語だ


何気なく『なんでテルノアさん苦手なん?』と質問したらなぜかこうなった


「4大と大きく割り当てても所詮は後付け設定ですから、『4つに分けた方がわかりやすい』程度で、幅がとんでもなく広いんですよ。簡単に表すと、わたくしニャルラトホテプの属性は『じめん・いわ・くさ・はがね・どく』みたいな」


最強だ


「後はそうですね、ルルイエさんちのCthulhuちゃんとかは『みず・こおり・エスパー・ドラゴン』です」


「なるほどわからん」


「あははは」



すごい爽やかに笑い飛ばされた


というかその牛が遠吠えしたような名前の人はどんなだろう



「要するに相性の問題ですよ、フシギバナはリザードンに勝てない」


「そういうもんなの?」


「そういうもんです」


いきなり話がシンプルになったが大丈夫か?


話しているうちにクトゥルフ邸まで到着、大きそうで大きくない少し大きい扉を開いて中に入る


かなり静かだ、おそらくいつも騒がしい連中がいないのだろう


……全員じゃないかそれ


「相性順に並べると土>風>水>火>土となります。ただ完全に絶対ていうものでもなくてですね」


「ヒトカゲはフシギバナに勝てないんでしょ」


「察しが早くて助かります」




話をまとめると、テルノアはほのおタイプなのだそうだ




「じゃあ、あの子も人間じゃない?」


「そういう事になりますね。あの忌ま忌ましい火炎ニート女はフォーマルハウト製のプラズマ球、属性としての本質が万物のアザトホートにもっとも近いイレギュラー的存在、その名もク……」




事務室のドアを開ける


本人テルノアがいた




「…………」


「………………………………」


クってなんだ、クってなんなんだよ


完全にただのライフルと化してしまったネアを見て溜息を吐き、全長140cmのそれをデスクに置く。それからジェラルドはテルノアのもとへ


なぜかクトゥルフ専用社長席に座っている。あの隊長はどこに行ったんだろう、まさかこんな朝っぱらから出かけるほど彼女は大人らしい訳でも無し


「おっはー」


「おっはー」


テルノアの真横で停止する



横に椅子2つほど並べて、クトゥルフが膝枕で寝ていた


「ゆっ百合イベントキターーー!!!!!!」


「?」


赤髪サイドポニーの膝に明紫髪が散らばって規則正しい寝息を立てている。基本子供な性格だが、寝顔は完全に子供だ。いつもの嘲笑顔が無いためランドセル背負ってても違和感なさそうだ


ジェラルドの本能は叫んでいる、「俺もまぜろ」と


「そのフラグはどこで手に入れた!!」


「ごはん」


「ごはんだと!?どこの地名だ!!西か!?東か!?」



ゴヅッ!!



「……痛そう」


「うん、痛いです」


カランカランと特大マズルブレーキが床に転がる


「…………」


「…………………………………………」


沈黙しつづけるライフルをしばらく見つめた後、適当な椅子に腰掛け、マズルブレーキをデスクに置いた後取り出したのは綺麗なフキン


「おなかすいた」


「家政婦さんがいなかった?」


「いない」


よく冷えた洗浄液をマズルブレーキに投下する




「ひぅ!!」




「……ひう?」


「鳥の鳴き声でも聞こえた?」


間髪入れずにフキンでごしごし攻め立てる、今度は笑い声が漏れ始めた



掃除してはみたものの汚れは一切無い。マズルブレーキとは銃口の先端にくっつけて出てくる爆風を反対に偏向して反動を軽減するためのもので、その性質上銃身と同レベルの汚れやすさを誇る。だが今手元にあるこれは火薬を使わない上に不定形な代物なので……そうなるとマズルブレーキ自体が必要無い訳だが



しかし


実質的女の子の肌をなでくり回している。なんか興奮してきた




「クッキーあったはずだけど食べる?」


「いただきます」


部屋の隅から隣の部屋へ侵略して突き出した給湯室まで移動し、棚からクッキー缶を入手した。ちなみにこの給湯室改築のせいで隣部屋の床が軋んでいるのは家主の黒歴史に刻まれていたりする


ついでに飲み物、コーヒーと紅茶があるが、ここはあえてサイダーを取り出してみた。戦場と炭酸は意外に似合う、日本軍は三矢サイダー、米軍はコカコーラだ、最近の国家軍隊はペプシを持ち歩いているようだが


「はーいビール(の代替品)ですよー」


「わーい」



マズルブレーキはひとりでに定位置へと戻っていた、残念



「かんぱーい」


カツンと瓶を鳴らす


そして一気に煽る


「ぶふッ!!!!」


「おおぅ!!」


最後にテルノアが吹き出す


フキンフキンフキン


「なに……これぇ……」


「砂糖水イン二酸化炭素」


初体験だったようだ。家無しというのは根本的に生活方法が違うんだろう、軍に優先配給としても砂糖はそこまで高くない故



とにかく家主が起きる前にこの惨状をどうにかせねば



















シグルトが出勤すると、エレンが台所で慌てふためいていた



「どうしたんですか今日は」


「あー…ちょっとまた寝坊しちゃってねぇ……」


前回寝坊した時はトースト2枚で済ませていたが、今回は食パンが無いんだろう、キャベツを千切りしつつコンロで鍋が2つ熱せられ、オーブンも作動中という超並列作業である、主婦恐ろしや


何を作ってるのかと臭いを嗅いでみる、大豆の臭いがした


「あんまり時間ないし、手間が少ない東の方の料理にしたんだけど」


「ミソスープ?」


「スープと照り焼きとキャベツ」


なぜキャベツ


火にかけられている鍋のうち片方の蓋が開けられ、一気に湯気が立ち昇った。同時に充満したのは醤油成分


程なくして魚の切り身が皿に盛られる


「ブリの照り焼き」


「いただきます」



完成から2秒で箸が伸びてきた



「待て待て」


出来立てを満喫しようとする赤髪サイドテ少女を引き止め、椅子に座らせる。テルノアさんは不満な顔だ


「まずお前の嗅覚はどうなってるんだ」


「警察犬と同等、ただし食用可能なものに限る」


「さっきまでどこにいた?」


「あそこの部屋」


「所持金は?」


「唯一無二の絶対的な数値」



素直にゼロと言え



「アルバイトからでもいいから仕事してみたらどうだ?放浪するにしろ無一文は厳しいだろ」


「大丈夫」


何が


後方でドアの開く音がした。視線を向けると見えたのは銀髪で、出てきたのはW.C。出勤自体は一緒にしたのだ、例のアレの駆除もあったし


しかし室内は酷かった、足の踏み場もないとはああいう事を言うのだろう。片付け+掃除しないことにはGKBR退治などできようはずもなく、今朝は1時間で断念、とりあえずスモークを焚いてこっちまでやってきた


「……箸の使い方は?」


「一般常識」


馬鹿な、こんな東洋の棒切れが一般常識なんて道理は


テーブルから違う箸を拾ってテルノアの持ち方を真似してみる。保持するだけで手一杯だった


「で、何が大丈夫?」


「ついさっき内定もらった」


「え、どこの?職種は?正社員?……おおうっ…」


後ろから手が伸びてきてテルノアと引き離された


後ろにいたのはフィリーネ、少し離れてジェラルド、さらに後ろでふらふら歩いてるのはクトゥルフと思われる。確認している間にフィリーネは手を離してシグルトとテルノアの間に割り込み、そこにあった椅子へ着席


「どうしたよ」


「……」


無言。表情はぶすっとしているので不機嫌なのはわかるのだが、シグルトはエスパーじゃなければカウンセラーでもないので無言から何かを察する能力はない。そして我関せずとばかりに箸を手繰り寄せる当人


何の問題もなく扱っている。武器の性能を確認するようにカチカチと2回開閉させ、テーブルへ戻す。一目でわかるほどに手慣れていた


「いつ使い方習った?」


「一般常識」


主張者が2人になった、まさか自分が間違えているというのか



「ナンパの結果はどうだったんだ?」


「は?ナンパ?」


「後ろから見る限りはそういう風にしか見えなかったんでな」


と、定位置の椅子へと移動するクトゥルフからの質問である。意識ははっきりしていたがまだ心なしふらついていた、眠いらしい


「まぁそういう話に口出しはしないから好きに青春を謳歌するがいい我が息子よ」


「俺にそんな甲斐性はないよ母さん」


とりあえず一番近くの椅子、フィリーネの隣に腰掛ける。あんな棒切れ2本で食事できる気がしないのでフォークを手配


照り焼きに引き続き味噌汁も完成を見たようで、明るい茶色のスープが人数分のお椀に注がれた。そして千切りし終えたキャベツはテーブル中央にどかんと配置、食物繊維補充用だろう、きっと


最後にオーブンに入っていた鉄釜が外へ出され、開いたコンロに置かれる。蓋を開けた瞬間、淡泊した香りが照り焼きの残り香を駆逐する


「ご飯」


「オーブンで白米!?」


「オーブンの汎用性ってすごいんだよ?」


「いやそれはわかる気もするけど……」


茶碗によそられこれも人数分。照り焼き定食が完成した


「…………」


テルノアがこっち見てくる


「…………」


どうぞ、とジェスチャーで返すと、咳を切ったように箸を動かし始めた


「……それで隊長、今日の仕事は…」


「ぐ」


「寝るな」


突っ伏しているクトゥルフを揺すって起こす


「お…おうおう…大丈夫だ問題ない……」


水上がりの子犬よろしく首を振って眠気を払拭


「くぎゅぅ…」


できず


「起きろー」


「っは……だだ大丈夫起きてる起きてる痛い痛い」


抵抗されたので頬を離した


「今日は無し」


言ってスプーンを持つ。それで味噌汁の味を確認しつつブリの切り身を切断


「だが、そうだな、少し会議をしようか。間もなく大きい作戦がある」


「どんな」


「The moon disappears in morning. However it is there.」


「?」


照り焼きを一口、租借し飲み込んでからスプーンで白米を掬った


「年端もいかない少年少女は潜入調査に最適だったりするのだよ」


「ああ、そういやそうだな。小学校中学校高等学校大学校バランスよく揃ってるしいだだだだだだ!!」



紫色の小学生と銀色の中学生が反乱を起こした





----------

-------

----



「始めに聞いておこう、船酔いしやすい奴挙手」


ジェラルドが手を挙げた


飛行機は大丈夫なのに船酔いするのかと思ったが、離着陸時を除けば爆撃機や輸送機はほとんど揺れないので、常時揺れ続ける船の方が酔いやすかったりもする


「ふむ……一番面倒な所だな」


「いきなりなんだよ、上陸戦でもやるのか?」


「ああ、といっても占領目的ではないがな」


エレンが紙製の筒を持ってきて、端をクトゥルフに持たせる


ばーっと、巨大な地図が広がった


「喜べ、3回目にしてようやく真面目な指令が届いたぞ」


なかなかに厚みのある紙束を見せ、それを地図の上に置く。真っ先にフィリーネが取って読み始めた


横から覗いてみる









『戦術作戦下令書』


宛 SG第666小隊代表クトゥルフ・L・リトル

差 クロスフロント陸軍大本営及び海軍司令部


作戦コード 『クアート・アクアディンケン』


主目標

艦隊決戦にてヴァラキア海軍を撃退し、ヴァラキア首都『ブラックロックス』を奇襲、一時的に占領した後撤退する


投入戦力


陸軍

第8師団第4連隊

・3002名

SG第2連隊

・2810名

第46航空師団

・F6−A

第104航空師団(新設)

・B29−A

第105航空師団(新設)

・B29−A



海軍


第1艦隊

 第1戦隊

・アムルタート級戦艦『アムルタート』

・同『ハルワタート』


 第7戦隊

・ワール級重巡洋艦『ワール』

・同『ローヌ』

・同『ロアール』

・同『レナ』


 第6機動戦隊(新設)

・ローレライ級正規空母『ローレライ』

・マラトン級軽空母『ミレトス』

・同『メンデス』


 第15水雷戦隊

・モンブラン級軽巡洋艦『モンブラン』

・ガーベラ級駆逐艦『DD68〜80』


 第16水雷戦隊

・モンブラン級軽巡洋艦『ナロドナヤ』

・ダンディライアン級駆逐艦『DD35〜47』


 第17水雷戦隊

・ブランカ級軽巡洋艦『ホイットニー』

・ローズ級駆逐艦『DD100〜112』



第5潜水艦隊

・トゥラン級潜水艦『U12〜17』

・ベーリング級潜水艦『U38〜43』

・マデイラ級潜水艦『U89〜94』


第88輸送艦隊(新設)

・アシュランド級ドック型揚陸艦『LSD1〜15』

・ストーンヘンジ級戦車揚陸艦『LST1〜15』


海兵隊第70連隊

・3240人


海軍航空隊第1特務師団(新設)

・B29−C−hrs










まず敵領海洋上において敵艦隊に対し攻勢をかける。この際同時発動する作戦『トゥルーマジック』により敵地へ侵攻、沿岸部へ列車砲を搬送する。これと陸軍航空隊の協力を得て敵主力を撃滅する。なお戦闘予定海域で敵軍旗艦『デウス・エクス・マキナ』が停泊中である、撃沈すれば大打撃を与えられるが、優先目標は首都への上陸である


敵艦隊撃破を確認した後、列車砲は撤退させ、陸から離れる。大回りして向かう事になるため、中立国を刺激しないよう注意すること


なお、攻勢をかける前に一部の部隊を偵察として上陸させ…………













あ、まずいこれガチだ




「まず戦力を2分する。シグルト、フィリーネはこれに参加、船酔いジェラルドは居残りだ」


「じゃあ、自動的にネア……」


カシャン


安全装置の外れる音がした


「…ンデルタール人…も居残りか」


テルノアをチラ見する、奇妙な単語を出してしまったが特に疑問は抱いていなさそうだ


「ん、まぁそのへんについては追い追い。あと参加組は……私か」


「え、いつも家でごろごろしてばっかの隊長が!?ネトゲに参加するのとは違うんですよ!?」


「私が朝から晩までぐうたらしてると思うなよ息子ぉ……」



読み終わった指令書をフィリーネが放る。出発から帰還まで事細かに書かれ、さらに味方の装備、性能まで記されたそれは2cm近く厚さがあり、今までの紙っぺらがどれだけふざけていたのかがよくわかる


テーブルに着地した瞬間、最後のページがめくれて見えた




『未成年兵士大募集!君も偵察員にならなイカ?』




最後の最後で余計な事を





「主な仕事は事前調査だな、首都の情報はスパイが送ってくるが、逆スパイがいないとも限らん」


「簡単に言うと?」


「クルージングして市内観光」


とんでもなく簡単に言ったものだ


「実際それだけなのだよ、メインの戦闘は正規軍がやるというし。若さで選んだという所か」


これが割り当て、と指令書のページをめくる


上陸予定である浜の調査、司令部偵察、駐屯地偵察、破壊目標の位置特定


「何か緊急事態でも発生しない限りはただの観光、なんだがな」


「……じゃあもう片方のチームは?」


「違う作戦に参加する、だいぶハードな方な」


ジェラルドに視線が注がれる


残りを集めるとなると、そっち側はジェラルドとメイ、うち片方はパイロットなので、実質的にはたった1人


「……この戦力激減状態で何しろって言うんです?」


「まぁまぁそう慌てるなちゃんと考えてある」


言って、クトゥルフが立ち上がった


「ここで分隊2つ作れるレベルで人を増やそうと思う」


「何人」


「2人」


ギッリギリ分隊2つですね


「1人は地上戦要員だが、もう1人は航空要員だ。そっちはまだ決まっていないのでいいとして」


説明しながらクトゥルフは歩き、テルノアの後ろで停止


そうして一瞬ネアを見た


さっきから壁に立て掛けられて沈黙したままだが、たった今不穏な空気を感じ取ったらしい、安全装置が外れたままスコープに光が入る


対するクトゥルフ、完全にいつもの嘲笑顔だった


もう十分だ、その2つ以外に情報はいらない


シグルトの脳内で聞いたばかりのセリフが再生される



ついさっき内定もらった



ついさっき内定もらった




ついさっき内定もらった






「紹介しよう、新隊員のテルノアくんだ」



駆動系に火が入った



「ふおおお……ッ!!」


ギュィィィン!!とか鳴り始めたネアを引っ掴んでジェラルドが全力疾走を開始


「…………」


「……私けっこう強い」


「そうか、それはまぁなんとなくわかるよ」




窓の外をレーザーが走り抜けていった


対物とか対戦車とかそういうレベルのものじゃない、5秒照射したら戦艦が真っ二つになるような勢いだ。たぶんあれが全力なんだろう、本当に恐ろしいライフルである




「もう終わりでいいか?」


「む……まぁいいだろう、細かい事はそれを読め」


何かまだ言いたい事があったようだが、いいらしいので立ち上がる


「よし、帰って掃除の続きするぞ」


「ん……」


対GKBR用品を買ってからだが


ただ瞬間的に絶滅させても奴らには無意味な訳で


となると


「……」


「………?」


玄関


『いけるな?貴様』とか言いたげに子猫が待ち受けていた



「新人ー!テルミドール借りるぞー!」









































部屋の用意のためにテルノアとエレンが階段を登っていった直後、ライフルがショタ系美少年に早変わりした


「何を…考えてやがる…んですか……!!」


「そういうお前はどうして息が上がっている」


「うっせーですね……さっきのフルバーストで…燃料が……」


どうやらあの極太ビーム砲は自身の魔力をすべて使って撃つらしい。15回の爆散から復活できる量を一気に放出したとなると、工場の壁に大穴が開いただけで本当によかった


もうすぐ事切れそうな勢いでふらつきながらシンクへと歩み寄り、コップに水道水を注ぐ。それを一気飲み


ついでにと思ったのか味噌汁の味見を始めた


何やってるのかと思いクトゥルフへ視線を投げる


「……身体の構築から筋肉の伸縮まですべて魔力で賄っているからな、自然回復で物足りなければ食事でもして補充しないといかん」


「食物で魔力補充とか聞いたことないけど、種族の違い?」


「変換効率の問題だよ、入れるにしろ出すにしろ損失が非常に少ない。"お前"と"我々"の違いはそれだけとも言える」


我々、ね


「ちなみに一番栄養価が高いのは人間の血肉」


怖いなおい




「ふぅ……戦力なんて私1人で十分ですよ、この程度ならお釣りが来ます」


言って、指令書を指差す。そのネアは白米と味噌汁を1人分器に移して着席した


「保護しておく必要がある」


「何のために」


箸で白米を摘んで放り込む。あれで魔力補充するのはわかったが、残った栄養はどこ行くんだろう


「核の材料にされるのは避けたいからな」


「…………」


反論をやめた


核とは例の噂が立ってる大量破壊兵器の事だろうか、あれはウラニウムだか何だかを使って町ひとつを滅ぼすと聞いた。何にせよ今の技術力では実現不可能らしいが



あと核といえば、何らかの物質の中心に当たる部位



「で、私は何すりゃいいんです?」


テルノアの件については諦めたらしく、作戦に話題を変える。ネアについては追い追いと言っていたから、何か別の役割があるんだろう



いやその前にだ



「ネアさん」


「はい?」


「その格好でしゃべるなら一人称は『ボク』の方が萌えると思います」


「あ、そうですか……」



空気が微妙になったが、構わず話を続ける



「ここ」


巨大地図の一角が指差された。そこはこないだ奪還した港町ノーフォークの西側、陸から攻め込むには少し遠い、いやかなり遠い


海に隣接してはいるが沿岸部を線路沿いに大行進しなければならず、しかも間に中継基地がひとつ


「ここに80cm列車砲を運び入れる」


「なるほど列車砲……ちょっと待った何センチて?」


「はちじゅう」



80cmというのは人類が今までに作った大砲のうち2番目、実戦参加した中では最大の砲である。ひとたび発射されれば4.8トンの砲弾が50km近い距離を飛び、着弾点に縦横10mのクレーターを穿つ。本来なら要塞に叩き込むべき兵器だが、クロスフロントは対艦用の砲弾を作っていると聞いたことがある


指向性付けた爆薬を使って衝撃波を撒き散らすとか




「まずガンシップを使って途中の基地まで侵攻、そこでテルノアを降ろす」


「んなことしたらその基地消えて無くなりますよ」


「そうなるだろうが、失敗する訳にはいかんのだよ」



なんか恐ろしい事言ってるな



「ちなみにこれがガンシップ」


飛行機の写った写真を出す


中型の低翼配置、奇妙な形の尾部をしており、少し専門知識を持っている人間が見たら『なんだこのふざけた機体』と言われてしまいそうだ



とりあえず爆撃機としての常識を完全無視しているのは確か。実際、ハァ?みたいな顔でネアがそれを見つめている



「基地が片付くまでこれで列車を援護する。武装は56mm砲1門」



通常、爆撃機というものは腹に爆弾を収納するために高翼配置とし、機内容積を増やして多く積めるようにするのだが



なんというかこれ、すらっとしていた



「…………まぁ…飛びはするんならどうにでもなりますが……その後は?」


「お前はこっち来い」


「労働基準法違反で訴えますよ」


まさかの両方参加ときた


「無理か?」


「いや、どうせ拒否権無いんでしょ?」


でかい溜息を吐いて、食べ終わった食器を片付ける。あれでどれだけの量を吸収できるんだろう、まさかあれで満タンとか



「帰りましょう」


「あ…うん」












































「よしわかった猫買ってこよう」


「ッ…!!ッ…!!」


目の前のフィリーネが首をぶんぶん振っている


横に


「いやこの威力見ろよ丁寧に1匹ずつ探して持ってきてくれるんだぞ」


「持ってくんなし!!その場で処理しろし!!」


「でもな、そうしたらアレをおいしく頂いた口で手とか顔とか舐められるんだぞ」


「どっちにしろ噛んでるから!!」


「お、ほら3匹目」


「に゛ゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」



ああもう本当可愛いなこの子とか思いながら、引っ付いてきたのを引きはがす



「ほら、半年間堕落し続けた結果をしかと目に焼き付けなさい」


「ひっ…!!」


帰ってきてからまったく休まず仕事してくれているテルミドールさんだが、スモークの効果で死滅したGKBR達は新鮮じゃなかったらしく、こんなん見つけたでー褒めてやー的にその黒光りを持ってくるのである


もう既に3匹、玄関口で山を形成している


「掃除しような」


「うん……」


「訓練された猫もしくはそれに準ずるもの飼おうな」


「はい…………」




と、甘やかしすぎはよくないと思ったので教育してみる



 



「よし、じゃあ片付けるか」


「ぅ……」


「大丈夫大丈夫怒ってない怒ってない」


頭を撫でつつ柔らかく押して部屋に入れる。どうせアレが出てきた時点で反省しているだろうし、何もしなくとも自力で対策しただろうが、フィリーネの場合的外れな事やりそうな気がしたので


パキャッ


とりあえず今必要なのは掃除だ、室内を占拠するガラクタ達を処分しなくては……何だ今の音?


「…………あ」


「…?」


GKBR踏んでた


「何……」


「いや何でもないさっさとやるぞ」


隠そう、とりあえず隠そう、なにせシグルトに踏んだ覚えはないのだ、つまりそれはそういう事だろう


持ってきたチリトリを高速で動かして潰れたアレを捨て去る。テルミドール先生が4匹目を持ってきたのでそれも回収


証拠隠滅した後はガラクタ処理に移る訳だが


「…………すまん、俺には全部ゴミにしか見えん」


「ゴミじゃないし…」


散乱しているのは大部分が金属製、一部に木材とかガラスが混じっている。形を見ると、筒とか、箱とか、金属片とか


「……これは?」


「三八式の銃身」


「…………これは?」


「MP40の機関部」



全部火器関係かよ




「何作る気だよ?」


「アサルトライフル」


「……すまん何だって?」


「突撃銃、連射機能付きライフルの銃身切り詰めて短小弾薬使って取り回しやすくしたやつ」


「……なぜ自分で作ろうと?」


「そもそも今のライフルに連射機能なんて付いてないし」


なるほど、そりゃ先進的な考え方だ


「……」


ぶっちゃけそのへんに対してシグルトは無知だ、銃身やら何やら言われても全部鉄の塊にしか見えない


「これは?」


「それはゴミ」


「これもゴミ?」


「違うそれ撃針」



よくわからん



「オーケー、仕分けは全部任せた」


「ん……」


とにかく全部外に出して、シグルトはゴッキーナ殲滅に専念しよう、大屋さんに許可は貰ってある


換気を良くするために窓を開け、ついでにベランダを確認。隣部屋との仕切りはとうの昔に破壊されているためいいとして、特に目立った点は無い、洗濯物等はエレン丸投げのため必要なものすら無い



「…………ん?」


500m先の道路をジェラルドが歩いていた


向こうの作戦会議も終わったのか自宅に向け歩いている。ネアは背負っておらず手ぶら、まさか置き忘れか


代わりに1人の男…いや男?……たぶん男だろ、中性的外見の少年が一緒にいる。別に出張している訳でもなく生活圏内なので友人以外の何物でもないだろうが、ジェラルドの友人といえばスリムなメガネか脂身たっぷりなぽっちゃりしか記憶になく、あんな美少年など見たことが無い


などと思いながら見ていると、途中で立ち止まった


美少年の方が何か気付いたらしい、別れの挨拶もそこそこに海岸方面へ走り出す



「何してんの?」


「いや、美少年がちょっとね」



追うのをやめてガラクタに目を戻した。SAN値が若干低下した



「なんで弾薬箱の底に帽子とかあるかねえ」


「貰ったはいいけど使わなかった、それだけ」


「使わねえの?」


「欲しいならあげる」


いや女性物貰っても


9mmパラベラム弾の下から出てきた帽子である。種類はニット帽と呼ばれるタイプで、細かく言うとワッチ、スキー場でよく見るものだ。なんというか高級っぽく、10000円下らないと思われる


いらないなら捨てるのもありだが、それはそれでもったいない。クトゥルフに被せてみようか



とか思った瞬間、風が吹き込んだ



「あ……」


帽子をさらった


窓から出てった



「……探してくる…」


「いや、別にいいし」


「庶民のMOTTAINAI精神侮っちゃ駄目ですよお嬢様」


廊下に出て、放置してあった対G兵器を押し込んでおく


そこで5匹目を運び込むテルミドール先生と遭遇


「……後よろしくなー」


鳴いた


ドアを閉める




「え、何マジで行くつもりぃやあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
























「ふぉ?」


鉄臭いニット帽が落ちてきた


「1934.9.25 Happy Birthday……」


裏にそう書いてあった。ブランド名はアルメリアの政府ご用達高級店


誰かが手放したものには間違いないだろうが、今それを交番まで持っていく余裕は無い、かといって砂まみれもどうかと思う


ので、とりあえずかぶっておく


「アルメリア、高級ブランド、ニット帽、9月25日が誕生日……まさかねぇ」


砂利を踏む音がしたため、コンバットナイフを逆手に、後ろへ向かって刺突


黒に近い紫の肉体に突き刺さった


回転しながら胸を斬り開いて、そこに左手のスティレットを追加する


間違いなく脊髄まで届いたが、これではまだ足りない、刺さったままの2本を捨てて間合い1mまで後退



「ふッ!!」



のっぺらぼうの首が飛んでいった


その場に残った夜鬼の身体は粒子化して消え、砂浜に一旦静寂が戻る


これで3匹目だが、まだ終わりではない。夜鬼とは違う何かがいる、気がする



「とうとう昼夜関係無しになりましたか」


刃渡り70cm程度の太刀を肩で担いで、砂浜に誰もいない事を再確認する。見られた時点で大騒ぎだ、それは避けたい、ネアにとっても政府にとっても


そもそもこのくらいじゃどうにもならないのは既にわかりきっているというのに、もはや完全に嫌がらせだ、水際阻止させられるの誰だと思ってる



気配はある、しかし姿が見えない。ということは思いもよらない何かに擬態している訳なのだが



「…………」


放置されたボート、違う


「…………」


落ちてる岩、じゃない


「……リ…」


海に何か浮いてもいなく


「……ケリ…」



蹴り?



「テケリ……」


「………………テケリ・リ…」


「テケリ・リ」


「テケリ・リ」


「テケリ・リ、テケリ・リ」


「テケテケテケリ・リ」


「テケリテケテケテケリ・リ」


「テケテケテケ・リテケ・リ・リ」






 
















シグルトが帽子探しに出かけてから5分が経過した


目撃者の証言により海に向かって飛んでったそうなのだが、沈没してたらどうしよう。そもそも何で浜辺は常時海向きに風が吹かなくてはならないのか、昼夜逆でもいいじゃないか


なんて言っても海の保温特性は変わらないので心に留める


「……いつ来ても誰もいねーなー…」


レジャースポットとしての能力を持たない砂浜は隣接する工場がゴウンゴウン言ってるのみで、散歩にすら使われていない。やはり汚い印象が強いんだろう、実際、汚くはないものの綺麗とも言えないが




ざっと見渡して、異物が落ちていないか確認




「テケテケリ・リ・テケリ・リ」


「テケテケリリリリテケリリリ♪」




なんぞあれ



 





「テケリりぃぃぃぃぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」


飛んだ


さっきジェラルドと一緒にいた美少年だ、いま綺麗に放物線を描いている


理由は砂浜にある、いきなり盛り上がったのだ。ボコンボコンと泡立ちつつなおも蜂起中



「うおっ!!」


一足先に片刃のブレードが落着、シグルトの目の前に突き刺さった


持ち主は……いない、見失ったようだ




「だっしゃああああああああああああああ!!!!」


いや見つけた


バカでかい両刃剣を砂の山に叩き付けている


何と言うか、分厚い鉄板を切り取って柄だけ付けたような無骨以外の何物でもない剣である。『斬る』というより『潰す』の方が正しいかもしれない


そして潰された方、衝撃で砂が取れて本体が現れた。無数の口と目が集合したアメーバ状の生物と思われる。全長10mを軽く超え、沸騰したようにボコボコぐちゃぐちゃしている。当然だが自然界にそんな気色悪い生物が存在する筈も無く、視認した瞬間、シグルトは1D10のSAN値を失った


「成敗!成敗!!成敗ッ!!」


ガッ!!ゴッ!!バジュッ!!


追加で正気を持ってかれそうだ




それから1分間ほど殴り続け、途中喰われそうになったり実際喰われたりしつつもそれを補って余りある大剣の暴れっぷりが飲み込みを許さない。勢いからしてスプラッタ映画の撮影でもしてるんじゃないかと思ったが、あたりにカメラは見えず


「闇に吠えろぉぉぉぉぉ!!!!」


トドメが入った


瞬間、風船が破裂したようにアメーバが爆発し


最初から何も無かったかのように砂浜に静寂が訪れる



虐殺終了、美少年はやり切った顔だ



「…………」


いつもなら見なかったことにするのだが


頭に付けてる帽子、どう見てもアレだよな



という訳で








「すいません……」


「へっ?」


いきなり話し掛けたためか少々驚いている。自身の身長を超える大剣は砂浜に突き刺し、道路との境界線にあるコンクリにもたれ掛かって休憩していた。近くで見ても美少年だ


「うわっ…あ…いや、なんだ、よかった」


何がよかったのか安堵の表情を浮かべている。さっきの化け物は見られちゃいけないものとかそんなのだろうか、それならヒキガエルとかライフルとかで見慣れているが


「落とし物です」


「あ、ご丁寧にどうも」


まず太刀を返却する


手渡した瞬間、大剣ともども消失してしまった。ゲームのバグなどでよくあるような、1フレームで消え去るエフェクトのようである、次の瞬間には影も形も無くなっていた


で、後は


「もしかして、この帽子ですか?」


「うんそう」


ニット帽を脱いでひらひら振って見せる。間違いなくベランダから飛翔していったものだ、茶色で、少々埃っぽい


「…いやー、運命とか信じねーと心に決めてましたが……」


呟きつつ帽子の中を除き、何か感心



 



「もしかして、あいつと知り合い?」


ジェラルドの知り合いなのだ、フィリーネとも顔見知りである可能性もある。暇さえあれば(シグルト部屋で)ごろごろしてるお嬢様ではあるが


「あー…いや、うん。知らないってことにしときましょ」


「……そうか」


にへっと笑いながらニット帽を差し出してくる


「でも、まぁ、そうですね。お兄さんのことは知ってますよ」


「俺?」


「メルセ村最後の生き残り」


「お……」


どこかで会ったかと少々考えてしまったが




ああ、そっちの話か




「なんで知ってんだ?」


「ちょっと特殊な情報筋がね。わた……いえ、ボクの事一般人とは見てないでしょ?」


「そりゃな」


一瞬での武器の出し入れ、化け物退治。少なくとも『ただの住人』という選択肢は排除されている


当の美少年はかわいらしい笑顔から変わって不敵な笑みになっていた。帽子を受け取りつつ、可能性を模索


関係者?



「なんか知ってんの?」


「まぁいろいろと」


言って、コンクリ壁に飛び乗った。そして自分の頭をつつく


質問には答える、という意味らしい


「……じゃあ一応聞くけど、あれにはどういう意味があったんだ?」



話が長くなりそうなのでシグルトもコンクリにもたれかかる


掃除中だが、少しくらいはいいだろ



「変わってますねお兄さん、普通は最初に犯人が誰か聞きません?」


「何のために」


「復讐とか」


「むぅ…」


あの事件は一瞬のうちに起きて、気が付いたら自分以外の全員が死んでいた。あまりに突然すぎて当初は実感が湧かず、しばらくしてからどうしようもない喪失感


あれから半年、未だに憎悪はやってきていない


「実際に会うまでわかんねーよ。何のためにアレが必要だったのかまだ知らない」


「……やっぱ変わってます」


変わってると言われても


「理由は、そうですね…陣取り合戦です」


「誰と誰の」


「しょうもない連中ですよ、他人なんて石ころ程度にしか思ってません。実際、そんな事件があったとかもう覚えてないかもしれない、少なくとも主犯は。実行犯の方は何か成し遂げたい事があったみたいですが」


「へえ」


「まだ怒りませんか?」


「んー……やっぱ会うまでわかんねえな、どこにいるかも知らないし」




美少年の笑みが一層深まった




「案外、近くにいるかもしれませんよ?」



それはまるで断言するかのような


近くにいる、と言っている。疑問符がついていようがいまいが関係ない、そういう意味で放たれた言葉だ、今のは



身近にいる




「……君とか?」


「そうですねぇ、間違いではありません。間違いではないけども違います、主犯でも実行犯でもない」


「なんだそりゃ」


「止めようと思えば止められた、でも止めなかった、そういう意味です」


まぁどのみち結果は変わらなかったでしょうけども、と付け加え、次の質問をジェスチャーで要求してくる。解答はするが、真相まで話すつもりはないようだ、なら突っ込んだ質問は無駄


「じゃ、最後にひとつ」


「はい」


「仮にこの街に犯人がいるとして」


いや、いるのは確実だろうが


「俺はそいつを捕まえられるのか?」


「不可能です」



即答だった



「絶対に」


「……今の力じゃ無理ってか」


「そういう意味じゃないですよ、物理的にはむしろ容易い」


「ふぅん?」


「少なくともお兄さんの思考回路では思い付きもしないでしょうけど」


「…………」



思想の問題か


そうなると、もう聞くべき事は無い。元より積極的な事柄ではなかったし、後は自分で考えるしかない


そろそろ帰ろう、あまり遅くなるとお嬢様に蹴倒されるだろうし


コンクリから背中を離す


「そういや、名前は?」


「燃える三眼」


「……そうか」



まぁ、また会うこともあるだろう、知り合いの知り合いだし


とりあえず、今日のお礼


「……帽子いる?」


「いやあんたここに来た意味なんですか」


「実際本人がいらない言っててな」


「アルェーー?」



腑に落ちない顔をしたが、差し出したニット帽は受け取り、再度頭にかぶせる。顔が整ってる上に中性的なため女性用でも違和感なく似合っていた



「どうです?」


「いいね」


「えへへへ」


喜んでいる




プレゼントもしたし、後は帰るだけだ


手を振りつつ砂浜から離れ






---

--

-







「さて、だいぶヒントは与えましたが……」


シグルトがいなくなった砂浜で、黄髪の少年がコンクリから飛び降り



「どうなりますかねぇ」



橙髪の少女は、楽しそうに笑みをこぼした

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