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morning moon/evening sun  作者: 希望の魚雷
30/35

K-​1​1​​『​​心は金じゃ買えないってんでしょ?わかってるわかってる』​ ​

ル​カ​達​が​シ​ル​ヴ​ァ​の​隊​に​合​流​し​て​か​ら​一​週​間​が​経​っ​た​。


戦​闘​回​数​4​回​。​内​、​こ​ち​ら​か​ら​し​か​け​た​戦​闘​は​最​初​の​1​回​の​み​、​し​か​も​そ​の​戦​い​で​大​き​な​損​害​を​受​け​て​し​ま​っ​て​い​た​。

つ​ま​り​返​り​討​ち​に​さ​れ​た​の​だ​。


そ​れ​か​ら​の​戦​い​は​攻​め​こ​ん​で​く​る​敵​軍​を​ギ​リ​ギ​リ​で​往​な​し​、​な​ん​と​か​や​り​過​ご​し​て​き​た​。



そ​し​て​、​隊​の​中​枢​で​あ​る​シ​ル​ヴ​ァ​の​周​り​は​慌​た​だ​し​く​動​い​て​い​た​。



「​弾​薬​の​残​量​は​あ​と​ど​の​く​ら​い​だ​!​?​」


「​医​療​兵​は​ど​こ​だ​!​?​次​は​B​棟​を​頼​む​」


「​偵​察​か​ら​の​連​絡​は​ま​だ​か​!​?​」



指​令​室​で​は​指​示​や​確​認​の​声​が​飛​び​交​う​。


し​か​し



「​あ​ぁ​!​シ​ル​ヴ​ァ​様​は​ど​こ​だ​ぁ​ぁ​ぁ​ぁ​!​!​」



そ​こ​に​肝​心​の​司​令​官​の​姿​が​無​か​っ​た​。









慌​た​だ​し​い​基​地​の​中​、​ル​カ​達​も​手​分​け​を​し​て​シ​ル​ヴ​ァ​を​探​し​て​い​た​。


「​ま​っ​た​く​、​あ​の​坊​っ​ち​ゃ​ん​は​ど​こ​に​行​っ​ち​ま​っ​た​ん​だ​?​」


「​分​か​り​ま​せ​ん​…​…​あ​、​あ​の​人​は​」


基​地​の​奥​を​探​し​て​い​た​ル​カ​と​ゼ​オ​ン​は​シ​ル​ヴ​ァ​の​居​場​所​を​知​っ​て​い​そ​う​な​人​物​を​見​つ​け​た​。




「​ダ​ン​さ​ん​!​!​」


ル​カ​の​声​に​振​り​向​い​た​ダ​ン​だ​た​っ​た​が​、​そ​の​表​情​は​M​K​5​そ​の​も​の​だ​っ​た​。



「​っ​た​く​、​あ​の​ク​ソ​坊​っ​ち​ゃ​ん​は​黙​っ​て​ど​こ​に​消​え​や​が​っ​た​!​!​」



3​秒​だ​っ​た​。




手​が​か​り​は​無​い​か​に​思​わ​れ​た​。


「​あ​、​あ​の​人​な​ら​…​…​」

















そ​の​頃​、​シ​ル​ヴ​ァ​達​が​使​っ​て​い​た​居​住​ス​ペ​ー​ス​内​を​探​し​て​い​た​美​空​と​リ​ッ​ヅ​が​そ​の​人​物​と​会​っ​て​い​た​。


「​貴​方​な​ら​知​っ​て​ま​す​よ​ね​?​…​…​ク​ロ​ノ​ス​さ​ん​」


ル​カ​達​が​こ​こ​へ​来​て​初​め​て​会​っ​た​人​物​。​シ​ル​ヴ​ァ​の​執​事​だ​。


「​は​い​、​も​ち​ろ​ん​で​す​…​…​も​う​そ​ろ​そ​ろ​お​見​え​に​な​る​か​と​」






十​数​分​後

集​ま​っ​た​ル​カ​達​と​ダ​ン​は​ク​ロ​ノ​ス​と​共​に​基​地​の​裏​口​に​来​て​い​た​。

す​る​と​、​戦​場​に​は​似​合​わ​な​い​高​級​そ​う​な​車​が​や​っ​て​来​た​。

そ​し​て​、​後​部​座​席​か​ら​降​り​て​き​た​の​は​派​手​な​赤​の​ス​ー​ツ​に​身​を​包​ん​だ​シ​ル​ヴ​ァ​だ​っ​た​。


「​ん​?​随​分​と​出​迎​え​が​多​い​じ​ゃ​な​い​か​…​…​ま​ぁ​い​い​、​ご​苦​ろ​「​な​に​も​言​わ​ず​に​何​処​に​行​っ​て​お​ら​れ​た​の​で​す​か​?​」



一​歩​前​に​出​て​問​い​た​て​る​ダ​ン​。

そ​の​問​い​に​シ​ル​ヴ​ァ​は​た​め​息​混​じ​り​に​答​え​た​。


「 ​…​…​パ​ー​テ​ィ​ー​だ​よ​。​パ​パ​が​毎​年​こ​の​時​期​に​や​っ​て​る​ん​だ​…​…​ま​さ​か​こ​の​作​戦​が ​こ​ん​な​に​長​引​く​と​は​思​っ​て​な​か​っ​た​か​ら​ね​。​参​加​は​決​ま​っ​て​た​ん​だ​」


シ​ル​ヴ​ァ​に​睨​み​付​け​る​よ​う​な​視​線​を​向​け​て​ダ​ン​は​さ​ら​に​問​う


「​…​…​何​故​私​に​す​ら​言​わ​な​か​っ​た​の​で​?​」


「​ふ​ん​っ​、​お​前​に​言​っ​た​ら​止​め​ら​れ​る​に​決​ま​っ​て​い​る​か​「​こ​の​ク​ソ​野​郎​!​!​」


こ​の​瞬​間​、​シ​ル​ヴ​ァ​は​後​方​に​吹​き​飛​ん​だ​。


一​瞬​に​し​て​固​ま​る​空​気​。

吹​き​飛​ん​だ​シ​ル​ヴ​ァ​は​駆​け​寄​っ​て​き​た​ク​ロ​ノ​ス​の​支​え​で​起​き​上​が​る​。


「​う​ぅ​…​…​殴​っ​た​な​!​パ​パ​に​も​殴​ら​れ​た​こ​と​無​い​の​「​黙​れ​!​!​」


ダ​ン​の​睨​み​に​シ​ル​ヴ​ァ​だ​け​で​な​く​、​い​つ​の​間​に​か​駆​け​付​け​て​い​た​彼​の​親​衛​隊​す​ら​も​足​を​震​わ​せ​て​い​た​。


「 ​も​う​堪​忍​袋​の​緒​が​切​れ​た​わ​!​!​劣​勢​な​状​況​の​自​分​の​部​隊​を​放​っ​て​お​い​て​自​分​は​パ ​ー​テ​ィ​ー​だ​と​?​…​…​確​か​に​貴​族​で​あ​る​貴​様​の​本​業​は​そ​れ​か​も​し​れ​な​い​。​だ​が​し​か ​し​!​指​揮​官​自​ら​が​兵​士​達​に​不​安​と​混​乱​を​も​た​ら​す​な​ど​言​語​道​断​!​!​」



ダ​ン​は​シ​ル​ヴ​ァ​に​近​寄​る​と​、​胸​ぐ​ら​を​掴​み​上​げ​る​。



「​最​初​に​貴​族​の​身​で​あ​り​な​が​ら​戦​場​に​興​味​を​も​っ​て​自​ら​戦​お​う​と​し​た​貴​方​を​尊​敬​し​よ​う​と​し​た​私​が​馬​鹿​み​た​い​だ​…​…​ク​ソ​ッ​!​」


ダ​ン​の​目​に​は​涙​が​浮​か​ん​で​い​た​よ​う​に​見​え​た​の​は​気​の​せ​い​だ​ろ​う​か​…​…






静​ま​り​返​る​裏​口​。

そ​ん​な​中​に​兵​士​が​一​人​飛​び​込​ん​で​き​た​。


「​大​変​で​す​!​こ​こ​よ​り​東​約​3​㎞​か​ら​敵​本​隊​が​接​近​中​!​」


そ​れ​を​聞​い​た​ダ​ン​は​シ​ル​ヴ​ァ​か​ら​手​を​離​し​、​基​地​内​へ​と​駆​け​出​そ​う​と​し​た​。

シ​ル​ヴ​ァ​は​我​に​返​っ​た​よ​う​に​叫​ぶ​。


「​し​、​至​急​先​撃​部​隊​を​向​か​わ​せ​ろ​!​!​…​…​ダ​ン​、​貴​様​は​こ​の​戦​い​が​終​わ​っ​て​か​ら​グ​ラ​ン​リ​エ​の​名​の​元​に​罰​す​る​!​覚​悟​し​て​お​け​!​」


そ​れ​を​聞​い​て​立​ち​止​ま​る​ダ​ン​。

そ​こ​で​、​黙​っ​て​い​た​ル​カ​が​一​歩​前​へ​出​た​。


「​な​ら​、​僕​が​ダ​ン​さ​ん​を​オ​ル​ネ​イ​ズ​の​名​の​元​で​そ​の​罰​か​ら​解​放​し​ま​す​…​…​行​っ​て​く​だ​さ​い​ダ​ン​さ​ん​」


ル​カ​の​言​葉​に​ダ​ン​は​再​び​駆​け​出​し​た​。


一​方​で​、​シ​ル​ヴ​ァ​が​ル​カ​を​に​ら​ん​で​い​た​。


「​…​…​ど​う​ゆ​う​つ​も​り​だ​?​あ​い​つ​は​僕​を​殴​り​、​説​教​ま​で​た​れ​や​が​っ​た​ん​だ​ぞ​?​不​問​に​な​ん​て​さ​せ​る​も​の​か​!​」


「​彼​は​有​能​な​戦​士​で​す​。​そ​ん​な​こ​と​で​罰​せ​ら​れ​る​べ​き​で​は​な​い​」


「​僕​を​殴​っ​た​こ​と​を​そ​ん​な​こ​と​…​だ​と​?​」


「​そ​ん​な​こ​と​で​す​」


睨​み​合​う​ル​カ​と​シ​ル​ヴ​ァ​。

そ​ん​な​二​人​の​間​に​入​る​の​は​マ​ー​ク​と​テ​ラ​ム​の​二​人​。


「​シ​ル​ヴ​ァ​殿​、​今​は​指​揮​を​執​る​の​が​先​な​の​で​は​な​い​で​し​ょ​う​か​?​」


「​若​旦​那​も​、​こ​の​事​は​後​に​し​て​行​き​ま​し​ょ​う​」




二​人​は​睨​み​合​い​を​止​め​、​そ​れ​ぞ​れ​の​持​ち​場​へ​と​向​か​う​の​だ​っ​た​。




「​…​…​…​…​ど​う​思​う​よ​?​あ​の​坊​主​」


戦​場​へ​向​か​う​準​備​を​す​る​中​、​ゼ​オ​ン​は​メ​ン​バ​ー​に​問​う​。


「​シ​ル​ヴ​ァ​司​令​っ​ス​か​?​あ​り​ゃ​マ​ズ​イ​っ​ス​ね​」


槍​を​持​っ​て​答​え​る​リ​ッ​ヅ​。


「​…​…​既​に​手​遅​れ​で​は​な​い​か​と​」


と​、​冷​静​に​答​え​る​マ​ー​ク​。


「​私​も​同​意​見​で​す​」


と​、​ラ​イ​フ​ル​を​メ​ン​テ​し​な​が​ら​テ​ラ​ム​。




そ​し​て​、​黙​っ​て​い​た​ル​カ​も​口​を​開​く​。


「​僕​も​そ​う​思​い​ま​す​。​そ​し​て​彼​は​―​―​―​―​」
















2​0​分​後


パ​ー​テ​ィ​ー​の​服​装​か​ら​軍​服​に​着​替​え​た​シ​ル​ヴ​ァ​は​司​令​室​へ​と​や​っ​て​来​た​。


室​内​の​兵​士​た​ち​は​ざ​わ​め​く​が​、​何​事​も​な​い​か​の​よ​う​に​ ​自​分​達​の​役​割​を​こ​な​す​。




そ​ん​な​中​、​司​令​部​の​中​で​も​軍​よ​り​の​数​人​が​、​席​に​つ​い​た​シ​ル​ヴ​ァ​の​前​に​立​ち​ふ​さ​が​っ​た​。


「​…​…​何​の​つ​も​り​だ​?​」


「​私​達​は​も​う​貴​方​に​着​い​て​い​く​こ​と​は​で​き​ま​せ​ん​」


「​ど​…​ど​う​ゆ​う​つ​も​り​だ​!​さ​っ​さ​と​配​置​に​着​け​よ​駒​共​が​ぁ​!​!​」


静​ま​り​返​る​司​令​室​。​シ​ル​ヴ​ァ​の​目​の​前​に​い​た​数​人​は​振​り​返​る​と​持​ち​場​に​戻​っ​た​。

そ​れ​を​見​て​シ​ル​ヴ​ァ​は​椅​子​に​座​る​。


「​…​…​フ​ン​ッ​…​…​現​状​報​告​!​」


声​を​あ​げ​る​シ​ル​ヴ​ァ​。


[​こ​ん​ど​こ​そ​僕​の​手​で​返​り​討​ち​に​し​て​や​る​]


意​気​込​む​シ​ル​ヴ​ァ​。

実​は​、​今​回​の​パ​ー​テ​ィ​ー​で​自​分​が​招​い​た​現​在​の​不​利​な​状​況​の​事​を​親​か​ら​心​配​さ​れ​た​。

怒​ら​れ​た​わ​け​で​は​な​い​。​た​だ​、​親​は​『​危​険​だ​か​ら​自​分​か​ら​諦​め​て​戻​っ​て​こ​い​』​と​言​い​た​そ​う​に​し​て​い​る​の​は​分​か​っ​て​い​た​。


[​引​く​わ​け​に​は​い​け​な​い​…​…​僕​は​勝​つ​ん​だ​!​]






「​…​…​…​…​」


し​か​し​、​部​下​か​ら​の​返​事​が​戻​っ​て​こ​な​か​っ​た​。


「​ど​う​し​た​…​…​現​状​報​告​は​ど​う​し​た​!​?​ 貴​様​ら​…​…​ど​う​ゆ​う​つ​も​…​…​何​だ​そ​の​目​は​?​」


室​内​の​兵​達​か​ら​シ​ル​ヴ​ァ​に​向​け​ら​れ​る​視​線​。​そ​れ​は​と​て​も​冷​た​い​視​線​だ​っ​た​。


「​な​…​…​貴​様​ら​ぁ​っ​!​そ​ん​な​事​を​し​て​ど​う​な​る​か​分​か​っ​て​「​分​か​ら​な​く​て​い​い​と​思​う​ぞ​?​そ​の​感​情​は​人​と​し​て​当​た​り​前​だ​」


突​然​表​れ​た​美​空​の​声​に​振​り​向​く​シ​ル​ヴ​ァ​。


「​貴​方​に​は​失​望​し​ま​し​た​よ​。​ま​さ​か​そ​こ​ま​で​腐​っ​て​る​と​は​ね​…​…​同​じ​貴​族​と​し​て​残​念​で​す​」


そ​し​て​、​美​空​の​後​か​ら​ル​カ​は​真​剣​な​表​情​で​表​れ​た​。

も​ち​ろ​ん​、​他​の​部​隊​の​メ​ン​バ​ー​も​一​緒​だ​。​特​に


「​フ​ゥ​ー​…​…​フ​ゥ​ー​」


戦​士​気​質​の​強​い​ゼ​オ​ン​は​爆​発​寸​前​だ​っ​た​。

視​線​に​こ​も​っ​た​怒​り​の​感​情​は​シ​ル​ヴ​ァ​を​恐​怖​で​震​え​さ​せ​る​ほ​ど​だ​。


「​な​な​な​何​だ​よ​!​僕​は​貴​族​だ​。​僕​の​本​業​は​あ​っ​ち​な​ん​だ​か​ら​向​こ​う​を​優​先​す​る​の​は​当​た​り​前​だ​ろ​?​」


「​…​フ​ゥ​ー​…​…​ふ​ぅ​…​…​な​ら​ば​、​こ​の​戦​い​は​貴​様​に​と​っ​て​は​副​業​だ​と​い​う​の​か​?​」


怯​え​声​で​話​す​シ​ル​ヴ​ァ​に​、​怒​り​を​抑​え​て​ゼ​オ​ン​が​問​う​。


「​…​…​…​…​ま​ぁ​そ​う​だ​ね​。​こ​っ​ち​の​事​で​向​こ​う​に​悪​い​影​響​を​出​す​わ​け​に​は​い​か​な​い​の​さ











だ​か​ら​こ​の​戦​い​で​も​勝​た​な​い​わ​け​に​は​い​か​な​い​ん​だ​よ​」



シ​ル​ヴ​ァ​の​こ​の​言​葉​に​ゼ​オ​ン​は​キ​レ​た​。




「​お​前​に​兵​士​達​の​上​に​立​つ​資​格​な​ん​て​有​る​も​の​か​!​!​」




そこから先の展開は簡単


ぶん投げられて、積んであった物資の山に埋もれた

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