K-6『話を聞こうじゃないか』
光の球の中をぬけて屋敷に帰還したルカ達は美海を医務室に運んだ。
「この度は助けてくれてありがとう。感謝してもしきれない」
「いや、当たり前の事をしただけだよ」
今は美空の肩の処置を終え、美海の眠っているベッドの横で美空とルカが話している。
ゼオン達は戦場の後始末をしにアカリが渋々作り出した光の球で再びサイビアに向かっていった。
「……姉上の容態はどうなんだ?」
「アカリが言うには目を覚ます確率は五分五分だって」
「そうか……」
この後数分、沈黙が続いた。
しばらくの沈黙の後、ルカが口を開いた。
「あの…さっき聞こうとしたk「おにぃちゃーん!!お帰りなさぁーい!!!」
ルカの質問はまたしても美空に伝わらなかった。
ルカの言葉を遮り、医務室に入ってきたのはもちろんレミア。
レミアは勢いよくルカの胸…でなく、躓いて鳩尾に飛び込んで来た。
「ゴフッ!!……レミア…医務室では…おとなしくしてよう…な……」
「はーい!…あれ??お兄ちゃんどうしたの?」
レミアの頭を撫でた後、ルカの意識が飛んだ。
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「ん…うぅ…はっ!!」
目を覚ましたルカ。
背伸びをしようとするが…
「ん?………なっ!!!」
両脇でレミアと美空が寝ていた。しかも二人共ルカの腕にがっちりと抱き着いている。
「ふふふふふ二人共なななな…なぁぁぁぁ!!!」
思わず叫んだルカ。見事にラブコメ感が抜群な展開だ。
「うにゅぅ…あ、お兄ちゃんおはよう…」
「…ルカぁ…ん……はっ!!…ぁ……ああ……」
ルカの叫び声で目を覚ました二人。レミアはにこにこしてさらにルカにくっつき、美空は顔を真っ赤にして少しずつ離れていく。
「ふふふ。お兄ちゃん」
さらに擦り寄るレミア。
「すすすまない。これは…ち、違うんだ!レミアがあまりにも気持ち良さそうにルカの隣で寝てるから羨ま…じゃなくて、ただどんなもんなのかと試しただけで……」
美空はごまかそうと必至だ。ごまかしきれてないのだが…
「むにゅぅ…」
医務室から居間に移動したルカ達。
ルカはやっと美空から話を聞くことができるのだが…
「…真面目な話をするのにその体勢はなくないか?」
「ご、ごめん。ほらレミア降りて」
「いやぁ。レミアここがいいの~」
テーブルを挟んでルカの向かい側に美空。ルカの膝の上にはそしてレミアが座っていた。最初の声は頭を撫でられたレミアの声だ。
「仕方ない…眠って貰おう」
「え!?」
その瞬間目の前から美空の姿が消えた。
「にゅっ!!……スースー」
「ええ!!?」
そしていきなりレミアが寝息をたてはじめる。
「さて、話を始めようか」
「えええ!!!?」
いつの間にか美空はルカの隣に来ていた。
とりあえず眠っているレミアはソファーに寝かせたようだ。
「ちょっ!!一体何したの??」
「ああ、安心しろ、体に危害は加えていない。少しこれで刺しただけだ」
美空は毛ぐらい細い針を持っていた。
「さ、刺した!!?」
「これは針を使った治療法…を応用したものだ。2時間ぐらいで起きるだろう。……さて、どこから話そうか…」
美空が話し始めるにあたり、ルカは真剣な顔になった。
それを見た美空の頬は赤くなった。
「え、え~と…そうだな。とりあえず要点だけ言っておこう。私…いや、私達は…
父の仇を探しに来たんだ」