吸血鬼同士の戦い その3
最終手段として飴を食べ、命を削りながらルーゼに襲い掛かる彼。上半身は膨れ上がり、今にも破裂しそうな程にまで筋肉が増量されている。そして額からは2本の角が生えており、いかにも鬼らしい。目は血走っており興奮状態というよりかは狂化状態だ。
「ワガオトウトヲコロシタツミ…ソノミデハラッテモラウ!」
そう言いながら彼は背後に無数の魔法陣を作り上げ、ルーゼに向けてレーザーを放った。その威力は凄まじく、巨大な大木を一瞬で消し炭にしてしまう程の火力だ。
「あんなのまともに食らったら確実に死ぬわね」
そんなものを危なげなく避けていく彼女の姿は、まるでダンスを踊るかの如く美しかった。
そして距離をだんだんと詰め、彼の背後に回りこんで首を切った。
…が
「嘘でしょ?!」
すぐさまに再生され、何もなかったかのように傷が塞がった。
「ハハハ!イマノワタシハ『鬼』ノチヲトリコンデイルカラソウヤスヤストハシナンゾ!」
『鬼』…それは力は人間の100倍あり、どんな傷も再生して並大抵の人では塵紙のように扱われてしまう程の化け物だ。
(私は攻撃系呪文が使えない…もう残っているのがこの策しかないのは悔しいわね)
ルーゼはもう一本の血が入った瓶を取り出し、アイツのことを考えた。
(嫌だけど…やるしかないのよね…はぁ…なんで無理矢理アイツのことを好きにならないと行けないわけ?)
吸血鬼のもう一つの能力、それは好きな相手の血を吸うと普段の効果の10倍の効果を得れるのだ。今ルーゼが持っている瓶の血はアルトの血。これはアルトが無理矢理渡してきたもので「緊急事態になったら使え…まぁ多分無理だと思うけど」と言われたのである。
(アイツの好きなところなんて…なんて…)
ルーゼが思い出すのはアルトと一緒に寝た日、アルトがお弁当を持って来てくれた日…どれも全て内心恥ずかしかったものや嬉しかったものばかりだ。
「っ!ええい!認めるわよ!私は!アイツのことが!好きですよーだ!」
一気に飲み干すルーゼ。効果は一目瞭然で目は赤色に輝き、髪は真紅に染まり、魔力は綺麗に透き通っている。…頬が赤いのは気のせい…もしくは血の生と思いたい。
「一撃で終わらせる!」
「ヤッテミロコムスメ!」
そういうと二つの影は目には見えない早さですれ違い…大きい影の首が落ち…辺りは静寂に静まり返った。
ふとルーゼが上を見上げると満月が顔を出していた。
佇む彼女はまるで一輪の薔薇のように美しく、咲いていた。
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