アルトは欲張り
クエストが決まった二人はアルトの武器を買いに武器屋に向かっていた。
「今更だけどあんた、弓使いのくせに自前の弓を持ってないってどういうこと?」
ルーゼが顔に怒りと呆れを含ませた表情で言う。
「家で色んな武器を触ってみた感じ、剣と弓が一番使いやすかったから弓使いって言った。剣も使おうと思えば使えるが…正直得意ではないな」
アルトは武器を使えるようになった時、ヨーゼフに頼んで様々な種類の武器を触ってみた。それはもう沢山あって、スタンダードな片手剣から槍、斧、果てはフレイルなんかもあった。
「はぁ…得意武器でなくてあの強さねぇ、こっちが嫌になるわ」
眉間に手を当てながらルーゼが言う。そんなこんなで話しながら歩いているとハンマーの看板がある店にきた。どうやら目的地に着いたようだ。
ドアを開けるとガラガラと言う音が鳴り、店内に客が入ってきた音を知らせる。
「いらっしゃい」
中にいたのは若い男だった。見た目は白髪に黒目、青いつなぎを着ていた。おしゃれをすれば普通にモテそうな人だ。
「好きにみていっていいからね、決まったら私のところに来て欲しい」
「わかりました」
アルトはそう返事すると早速、武器の物色を始める。
そこそこに大きい弓から小さい弓まで、沢山のバリエーションがあった。一つ一つ手にとって強度、馴染みやすさ、サイズなどを考えながら選ぼうとするが…
「…ダメだ、しっくりこねぇ」
アルトは残念そうに言う。
「そんな事言ったって…多少の妥協は必要よ?」
ルーゼはアルトに妥協を進める。
確かにここは一番最初である為、そんなに拘らなくて良いのだが…
「いいや、妥協なんか絶対しないね…バッチリ合う弓じゃないと正確性に支障が出る」
アルトは家で弓を射ってみて分かったのだが、しっくりくる弓だと的の真ん中に100%当たるのだ。だが、少しでも違和感があると少しズレる。アルトはこれが気に入らなかった。
「すみません、ここにある弓で一番いいのを見せて貰えますか?」
遂に店主に一番を聞くアルト。
店主は少し考えると
「少々お待ちください」
と言って店の奥に行った。
15分ほど待っていると奥から店主が二つの弓を持ってきた。
「一番…ではありませんが二つともこの店の最高級の弓です」
一つは青い弓で持ち手の少し上に弓と同じ色の羽があった。とてもシンプルなデザインでアルトとしても中々な弓であると一目でわかった。
もう一つは黒い弓でかなりゴツい弓だった。でも見た目は凄くカッコよくて男心をくすぐられる弓だ。そして性能も良さそうに見える。
「青い方が<ハヤブサ>黒い方が<バレット>です」
(…名前若干厨二臭いな)
と思うアルト。
どちらも性能は同じに見えるが<ハヤブサ>は名前のごとく軽い弓であった。
<バレット>は通常よりは少し重いが弦は強く、早くて貫通性の高い矢が撃てそうだった。
アルトは5分ほど悩んだ結果出した答えは
「両方ください」
ルーゼと店主はその言葉に目を丸くした。
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