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今度、海を見るときは  作者: アルタイルⅢ
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delete revival



「お前はクビだ」


低いズンとした声が社内に響いた。



私は「今までありがとうございました」と無表情で社長に伝え、会社を後にした。



もともと、やりたい職業でもなかった。

親に決められて入った会社だ。

入ってからも身が入らず、転々と部署を移動した挙句に大きなミスをしてしまい、クビになった。



(取り敢えず有休消化で1ヶ月はゆっくりするか)



帰り道のコンビニでお酒と生ハムとポテサラを買って誰もいない家に帰る。


もう31歳になるというのに彼氏の1人もできたことがない。そりゃあ、頭もフケがついてて、メガネもフケと指紋がついてるし、髪もボサボサ、顔も体もアトピー皮膚炎で乾燥している。おまけに産毛程度のヒゲと猫背で丸々した体。おまけに常にネガディブオーラ。


というようにこんなに絵に描いたような不潔根暗女を誰も好きになってくれるはずがないどころか、人すらも寄ってこない。


家に着くと一気に体の力が抜けて、同時に涙も出てきた。


仕事に身が入らないとは言ったが、人に迷惑はかけたくなかったので、それなりに一生懸命に覚えようとした。でも好きでもないものを覚えるのは難しくて、頑張っても。それに反するように会社でのミスは増えていった。


何度も会社辞めようと思った。


でも辞めた時に誰かの負担になるかもしれないと思って言い出せなかった。いい機会だったのかもしれない。



あったかくなる前のコタツに体を入れ、ぼーっとしていたら、2、3時間は過ぎていた。


テレビをつけると、成人式の子供たちがインタビューを受けているニュースがやっていた。


(私はどこから間違えたんだろう)


ふと、過去の色々なトラウマが頭をよぎる。


(そうか、生まれてきたこと自体が私の負担になっていたのか、なんだ、それなら簡単なことじゃないか)


そう思った私は自殺用に置いていた薬に手を伸ばして、2、3錠飲んで机の上に頭を乗せて目を閉じた。


「おやすみ、世界」






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