ゲームの中のゲームー⑶
ぎりぎりセーフです!
二日に一度にできるように頑張っています。
(願わくば一日一度)
「だいたい2000文字企画」なので短めかもしれないですね。
「“ラヘル”って、いったい何?」
……これが一番無難な聞き方だろう。
多分みんな聞きたいと思ってる…………っていうか聞かなきゃ終わってるから、これで正しいはずだ。
「“ラヘル”とは、あなたがたの言う“魔力”の事でございます。
この世界における魔力の概念については、まぁそこにある本でも読んでいただければ分かるでしょう。」
ハンスヴルストが指さす方向を見ると、そこには棚があった。
──あそこに棚なんてあったっけ……?
……いや、無かったはずだ。
棚は、まるでハンスヴルストが指をさした瞬間に現れたように見えた。
その棚には、あかがね色の絹の装丁の一冊の本が置いてある。
割と分厚くて、ページが多そうだ。
「本ってそれのこと?」
僕が指をさしたのは、もちろんそのあかがね色の本のこと。
「ええ、いわゆるルールブックのようなものです。
その本はこの部屋から持ち出すことはできませんが、ステータスバーからも閲覧することができます。」
──それ本を用意する意味あるの……?
まあ『本を読めば分かる』という事は、口頭では説明しにくいものなのかもしれない。
──そろそろ聞きたいことも少なくなってきたかな……?
「……ねぇ、あと少しいい……?」
突然口を開いたのは、ミオだった。
「ええ、もちろ……」
「干し肉とかの携帯食糧系のものが欲しいの!あと武器とか!」
──さ、遮った……!
見事にハンスヴルストの言葉を遮って勢いよく言葉を発したミオに、その場のみんなが固まった。
おそらくだが男子勢の心の声が見事にシンクロしていたことだろう。
無謀というかなんというか……。
これには流石のハンスヴルストも驚いたようだ。
ミオはいわゆる『天然』というやつなのかもしれない。
「え、ええ、携帯食糧と武器でございますね。
もちろん用意させていただいております。」
やはりハンスヴルストは飄々と答えた。
驚いていても少しどもるだけだとはやはり流石、と言うべきであろうか、ハンスヴルストには既に動揺は見られなかった。
……頭に“天然VS余裕”の戦闘構図が浮かびかけたが、頭を振って揉み消す。
今度はハンスヴルストが、指を鳴らすのでは無く、床を指さした。
「そこの床下にございます。
どうぞご確認ください。」
……よく見ると、床にくぼみがあった。
「……これが床下か。」
カイトが床にはまっていた板を持ち上げると、そこには何枚かの干し肉とパンに四つの水袋、そして確かに『武器』と見て取れるようなものたちが並んでいた。
もうひとつずっしりと重い袋も置いてあったのだが、それが何だかは分からない。
「それは魔法で出さないんだな。」
カイトが言った。……確かにそうだ。
鞄は魔法で出していたのに、これらは『床下にある』と教えただけだ。
それに何か意味はあるのかな……?
「『飲食料』と『武器』と『金銭』は生存において必要事項と判断していましたので、たとえ質問されなくとも皆様方に提供するることに致しておりました。」
──金銭……?
もしやと思い重たかった謎の巾着袋の紐を解いて横に倒してみると、中から数十枚の銅貨がじゃらりと出てきた。
「……!これ、お金か……?」
「これがオートルモンドの通貨っていうことか……。」
……やっぱり予想どうりだけど、金銭価値が僕らの知っているものと全く違う。
「……その通貨についての説明も、『本』とやらに書いてある?」
僕は聞いた。
まあ十中八九書いてあるんだろうけど。
今までのハンスヴルストの対応の仕方からして、いろんなものが『予め』用意されている可能性が高い。
「その通り、詳細は本をご確認ください。」
……大事なことはあらかた本に書いてあるとみた。
それなら、今度こそもう聞くことは無いかもね。
「では皆様、質問も出尽くした頃でありましょうから、そろそろおいとまさせていただきます。」
……僕らに何か言う隙を与えず、ハンスヴルストのホログラムは消えた。
「一体何がなんなのか……。」
そう呟くカイトの顔には、焦燥感が滲んでいる。
「……ねえ、私ほとんど理解できなかったんだけど、どういうことなの……?」
静まりかえってしまった場で言葉を発したのはミオだ。
そこにライトが“俺も”と賛同した。
「……じゃあ、状況整理をしようか。」
「そうだね。」
カイトを中心に、状況整理をする事になった。
まず必要なことは、本を開くこと。
……まぁ当たり前だ。
「じゃあ、開くよ。」
そう言うと共に恐る恐る本を開くと……。
「「「「え……!?」」」」
思わず絶句した。
──これ何語!?全然読めな……
読めない文字だった…………筈なのに、一瞬にしてそれが識別できるようになった。
……つまるところ、日本語に変わったのだ。
それこそ“魔法”をかけたように、一瞬にして変わった。
まるで僕らが見間違いでもしたかのようだった。
「……今、見たことない言語だったよな……?」
「うん、確かに見たことがなかった。」
……みんなで、目をぱちぱちと瞬かせた。
「……これも、ハンスヴルストが何かやったのか……?」
「もともと読めなかったのを読めるようにしてくれたのかも。」
「「「なるほど。」」」
……この線が一番有力かな。
さて、驚くのもそこまでにしていいかげん状況整理をしなくちゃね。
「……じゃあ、始めようか。」
よく確認してないので誤字あったら報告お願いします。