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少年イクスはギフテッドにつき  作者: 天時(あまつしぐ)
別世界という名の異世界
5/11

ゲームの中のゲームー⑵

今回もだいたい2000文字と少なめですが、これくらいの量で更新していくことに致しましたのでご了承ください。

「ギフテッド、という言葉をご存知でしょうか。」

「ギフテッド……?」

「……確か、“神様からの贈り物”という意味で名づけられた、『天才児』を表すはずだ。」


 カイトが答えた。

ハンスヴルストに聞き返しているライトと違い、カイトは知識量が多いようだ。


 ……なるほど、そういう意味があるのか。

僕もギフテッドが天才児を表すことは知っていたけど、神様からの贈り物(ギフト)だから、『ギフテッド』だという意味合いは知らなかった。


「その『ギフテッド』である事が、皆様が選ばれた理由でございます。」


 ──それはつまり……。


「つまり、僕たちが“神様からの贈り物”である天才児ってこと?」

「えぇ、そういう事です。」


 ……かなり半信半疑な問いだったのに、あっさりと肯定されてしまった。

本当のことなのかは分からないが、少なくとも僕たちが“それ”だとハンスヴルスト(向こうがわ)に判断されている、という事ははっきりしたな。


「さて最後は、この『ゲーム』について、でございますね。」


 みんなが押し黙ってハンスヴルストの言葉を待った。

恐らくそれが、カイトのした質問の中で最も重要なものだったからだ。


「まずこのゲームは『達成(クリア)』さえすればどのような形で実施して頂いても構いません。」

「え……?何か硬い縛りがある訳でもなく……?」

「えぇ、その通りでございます。」


 ──こいつらが何をさせたいのかますます分からなくなってきたな……。


 まあ言ってることの意味がわからないのは今に始まった事ではないけれど、質問したことによってむしろ謎が増えてしまった事にも間違いは無いだろう。


「このゲームで達成して頂く課題(クエスト)については、各地にある教会で確認することができます。」


 ハンスヴルストは続けた。


「達成して頂く課題はひとつではございませんが、全て達成していただければ元の世界へ帰還することが可能になります。

 ……帰りたければ、ですが。」


 ……最後の一言がやけに意味深だ。

引っかかるところが無いわけではないが、これは聞いておかなくては。


「絶対に達成不可能な課題が提示されることはあるの?」

「“絶対に”、という事は万が一にもございません。

不可能に見えても必ず突破口がございます。

課題は、周りの人間の力を頼ることができるからです。」


 ……つまり、ひとりで試みては埒が明かない可能性があるわけだ。

ゲームをせずには元の所には帰してくれないんだろうな……。


「あとひとつ残っていましたね。」


 ハンスヴルストは言った。


「ここに集められている皆様方“より上位の天才児(シニアギフテッド)”は、全部で五百人。

殺し合いも許容される世界ですので、どうぞお気をつけくださいませ。」


 ──サラッと物騒なことを言って行ったな。


 まぁこれで、なんとかなるかもしれな……


「待った!あとひとつ!」


 突然、ライトが言った。


「持ち物用の鞄、くれないか?」

「鞄?……あ!確かに!」


 持ち物を入れる用途の鞄がなければ、“冒険物語”の世界なら生活できない。

流石この界隈に詳しいライト……。


「鞄ならもちろん用意しておりますが、その装丁や機能などに要望はございますでしょうか。」

「もちろん、異空間式無限収納機能かな。

そして意識すれば自由にお取り寄せできる機能。

柄とかは特に要望ないけど。」


 ──ちょ、専門用語が……。

ライトってかなり詳しいんだな……。


「かしこまりました。」


 まるで予想内かとでも言うかのように、ハンスヴルストは言った。

そしてパチンと指を鳴らすと、その瞬間ポンッという音とともに四つの鞄が現れた。

全部違うデザインだが、サイズはさほど変わりない。


「もはや魔法レベルだよな……。」


 カイトが、ぼそっと呟いた。

そこにハンスヴルストが反応したのだ。


「ええまさに、魔法でございます。

冒険物語と聞いて想像致しませんでしたか?」


 まさに意外、というような雰囲気でハンスヴルストが言う。

……そう、それが僕が聞きたかったことだ。

冒険物語系RPGと言えば『剣と魔法の世界』というのがよく聞くものだろう。

だからこそその“オートルモンド”とやらに魔法が存在するのか気になっていたし、聞く手間がひとつだけでも減って助かったというものだ。


「……魔法、僕たちが使えるようになることはあるの?

周りがあんたみたいにばんばん魔法を使うのに僕らは使えなかったら、かなり大変だと思うんだけど。」

「……確かにその通りだな。

使えないんならかなり割に合わないぞ。」


 カイトが賛同してくれた。

たとえギフテッドと呼ばれようとも、僕たちが何の変哲もない子供であることに変わりはない。

ましてやそこに住む住人とも違い──RPGと聞いたため『住人』も存在するものと判断している──、オートルモンドに関する予備知識も無いのだ。

特別な力なしに生きていくことは叶わないだろう。


 固唾を呑んでハンスヴルストの返答を待つが、その答えは思いがけずあっさりとしたものだった。


「もちろん、習得可能でございます。

ステータスバーを入手された時点で、皆様はオートルモンドの住人として魔法を手に入れる資格を与えられました。

そこにある薬を飲んでいただければ、皆様の体にはオートルモンドの住人と同じようにラヘルが流れることになります。」

「「「「ラヘル……?」」」」


 ……今まで聞いたことの無い単語に、今まで黙っていたみんなも思わず聞き返した。

こういった専門用語を知っていないと、恐らくのちのち大変な目に遭う。

“聞かれたことにしか答えない”のなら、聞いておくのが吉だろうな。

自分で読んでもとってもキリが悪かったです。

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