それは突然の事につき-⑴
新シリーズです!
あらすじ書くのすっごい悩みました。
うるさかったらごめんなさい。
異世界転移ものです。
最初の方は人がバタバタ死にます。
最後の方少し修正しました。
耳元で鳴る心地よい音楽。
それに合わせるように、子守唄が聞こえた。
おそとで よあそび わるいこさん
よるに おそとに でていたら
わるいこ さよなら ばいばい するよ
まっくら まっくら ばいばい するよ
あれれ ぼくらも わるいこだ
わるいこ わるいこ ────さん
はやく おうちへ おかえりよ
そうで ないと たべられる
わるいこ────にたべられる
見知らぬ男が囁いた。
「必ず、戻ってくる。
必ず見つけ出して見せる。
待っていろ、私の愛しい〈ファブニル〉───」
ハッ……と、弾かれるように目が覚めた。
「どこだ……ここ…………?」
なんで僕はこんな所に居るんだろう。
イクスは戸惑っていた。
なんだか気味の悪い白昼夢から覚めてみれば、周りは全く持って見知らぬ景色だ。
目の前には人が蟲の如くにひしめいていて、僕もその有象無象の中の一人で。
みんな僕と同じ十代前半に見えるけど、大体五百人位だろうか。
少ない人数だと思う奴も居るかもしれないけれども、齢を同じくするであろう少年少女達がこんなにも沢山居るのを見ると、控えめに言ってもかなり気分が悪かった。
僕は人が多いのは苦手なんだ。
そう、齢を同じくする少年少女達、だ。
まあ別にそれが五百人ばかり居たところで、『自分が此処に来る直前の記憶が無い』という事以外はなんの問題も無い。
だが、違和感があるのはこの先だ。
まず、僕がこの場所で目覚める前の最後の記憶は、小学校の卒業式で途切れている。
自慢じゃないけれど受験制の小学校を首席で入学し、そして首席で卒業。
かなりの賛美と注目を浴びたはずだ。
全くもって楽しくはなかったからよく覚えてないけど。
……まあそれはともかく、そこは日本だったはずだった。
なのに此処に居る子供たちの人種は、ざっくり言ってもヨーロッパ系、アジア系、アラブ系。
右斜め前の方で周りに威嚇してる奴なんか、インディアンじゃないかな?
周りから聞こえる会話を聞くに、言語は少なくとも五ヶ国以上。
恐らくは全世界の人間が此処に集められてる。何が目的でどう選ばれてるかなんて露ほども知らないけど。
って言うか、知る気もない。
その時、視界の端に映りこんだものに息を呑む。
「っ、あれは……」
日本人の、服装。
と言うより、日本に居た知り合いが通ってる学校の制服。
全部で三人で、知り合い同士みたいだ。
同郷の者を見つけたことへの安堵と、人混みでそっちに行けないことへのもどかしさからため息がひとつ零れる。
「はぁ……」
一体此処は何処なんだろう。
先程向こうに居た三人組が羨ましい。
例えどんな環境に居ようとも、『仲間』と思える存在が居れば初めの方はかなりの心の支えになる。
……僕にはそれが居ないから。
その時、バチッと音を立てて突然照明が消えた。
喧騒がいっそう大きくなる。
うるさいなぁ。
僕はそう思った。
騒いでも余計な体力を使うだけなのに。
突然暗くなると言うことは、これからこの事態を進展させる何かが起こる可能性が高い。
僕は静かに辺りを眺める。
パッ…と、そんな効果音でも聞こえてきそうな雰囲気で、場の中央辺りをスポットライトが照らした。
その中心に、ポンッと音を立てて、黒いシルクハットと外套を身にまとった男が煙とともに現れる。
恐らくだが、奇術師をイメージしたのだろう。
「ご機嫌麗しゅう、皆様方」
奇術師の男が言った。……全然麗しくないんだけど。
「まあ、こんな所にいきなり連れてこられて、麗しいわけもございませんか。」
ふふふ、と不気味な笑い声を洩らしながら奇術師は続ける。
「無理矢理にでは御座いますが、皆様よくお越しくださいました。
私はハンスヴルスト。
以後、お見知り置きを。
さて、此度皆様方を此処にお呼びしたのは他でもありません。
皆様方には、私の主催するゲームに参加して頂きたいのです。」
…………は。
思わず固まった。
いきなり何を言っているんだろう。
勿論ほかの人たちも同じことを思ったようで、一度収まった喧騒が野次を含んで、より一層大きくなる。
多種多様の言語が入り交じって最早何がなんなのか分からない状態だ。
まぁ、外国語なんてかじった程度だからどのみち何言ってるかなんてほとんど分かんないだろうけど。
「……あれ?」
ぽつりと呟く。
何か違和感のようなものを感じたのだが、それが何なのかは分からない。
「静粛に。」
奇術師は二回手を叩くと言った。
決して叫んでいる訳では無いのに彼の言葉は全員の耳に聞こえたらしく、辺りは静まり返った。
奇術師は満足したように口角をあげるが、顔の上半分が不気味な仮面で隠されているせいで、表情が全く読めない。
「これからゲームの内容をお話します。
まず皆様方には、オートルモンドへ行って頂きます。」
フランス語で〝別世界〟という意味の、オートルモンド。
つまり此処とは違う世界に連れていかれるって訳か。
(どう考えても嘘でしょ)
……と、言いたいところだけども。
こんな法外な集団拉致を行っている時点で、ハンスヴルストはかなりの権力者だという事になる。
って事は、地球以外の星に連れていかれる、なんて事ぐらいは有り得るのかもしれないな。
そう思いつつハンスヴルストの次の言葉を待った。
「ゲームと言えど、ルール自体はそう難しいものではありません。
これから皆様に行って頂く場所で、いわゆるRPGのような課題を達成して、目的に着いて頂ければいいのです。」
簡単。その言葉に、場にいる人間のほとんどが安堵しただろう。
しかし、ハンスヴルストが次に発した言葉に、会場は騒然さを取り戻した。
「しかし、命の保証は致すことができません。
皆さんには、生身でゲームをプレイしてもらいます。」
………………は。何を言っているんだこいつは。
思わずまたフリーズしてしまった。
(命の保証をしないRPGなんてただの死にゲーだろう!)
もちろん周りの奴らも同じ反応だったようで、『ふざけんなよ!』だったり、『そんな事はいいから早く帰して!』だったり、色んな文句が聞こえる。
そんな中、ひとつ異色の声が上がった。
「ハッ!RPGなら得意分野だ!らくしょーでクリアしてやるぜ!」
叫んだのは僕の隣にいる男。
かなり短絡的みたいだ。
(…………あれ?)
またもやあの違和感。
本当になんなんだろう。
一体何に違和感を感じたと言うのだ。
ただただ彼は、自分の得意分野を英語で晒していただけ……
「……!そうか!」
一拍置いて違和感の正体にたどり着いた。
彼は今、〝英語で叫んでいた〟のだ。
つまり、英語圏の人間だということ。
なのに、ハンスヴルストは日本語で話していた。
……少なくとも、僕には日本語に聴こえていた。
別に、叫んだ彼が日本語も使えたと考えるのなら話は簡単だろう。
しかし、ハンスヴルストの言葉は、この場所の全員が理解しているように見えた。
多種多様の言語が揃うこの場所の全員が、だ。
普通、五百人を超える数の年端もいかぬ子供が全員外国語を理解しているなんて、ありえない。
つまるところ、ハンスヴルストの言葉は『自国の言語』に変換されて聴こえている、と考えるのがしっくりくる。
これも普通はありえない話だけど、少なくとも今の状況に説明はつく。
……あぁ、どれもこれもイレギュラーで、頭がパンクしそうだ。
そのせいだろうか、猛烈な頭痛と睡魔が押し寄せてくる。
抗わなくては。
そう分かっているのに、意に反して睡魔はどんどん強くなる。
「あぁ、それと────────」
ハンスヴルストが何かを言っていたが、もはや何を言っているのか分からない程に意識が混濁してくる。
どう足掻こうとも抗えないほどに強い頭痛と睡魔に……
僕は意識を手放した。
いかがだったでしょうか?
少し前から考えていたもので、ようやく区切りが良くなったので出しました。
よかったらブクマ、ポイント評価などお願いします。
追記
SS名刺メーカーって素晴らしいですね。




