1話 即死
僕の名前は小林 春斗。至って普通の高校生だ。
”あること”を除いては・・・
4月3日
「春~、おきなさい!春!」
いつも通り家中に響く聞き慣れた声。僕の母親だ。
「うるさいなぁ。分かってるよ。今起きるから!」
小林は制服に着替えてリビングへ行き、いつも座っている椅子に座る。
「あんた、いい加減、自分で起きれるようになりなさいよ!ったく
もう。」
「分かってるけど、体が反応しないの!」
そんなくだらないやり取りをしながら、朝ご飯を食べ、学校へ行く準備をする。
「いってきます。」
(うーん。自分で起きろか。そんなことすぐ出来たら、苦労してない
んだよなぁ。)
そんなことを考えてながら、いつもの通学路を歩いていると背後に強い衝撃が襲った。
それと同時に、同じ制服の男子生徒が話しかけてきた。
「はーると!」
「うっわ。ビックリした!なんだお前かよ、太一。いつも言ってるだろ?後ろから思い切り押
してくるのやめろって。」
「いや、癖なんだよなぁ。そんなことよりお前さ、いっつも考え事してるよな!
バカのくせに(笑)」
「うるさいな。お前はいいよな、能天気なくせに勉強だけはできるんだから。」
「ははは。ホント親に感謝だわ(笑)」
彼は、国枝太一、僕の幼馴染で幼稚園のころから一緒の親友だ。
太一は頭がよく、テストでも毎回1位だろうし、
全国模試でもTOP10には確実に入っている。幼馴染なこともあり、
太一が物凄く努力家なのも知ってる。
そういうとこは本当に尊敬している。
「なぁ。春斗、俺らそろそろ進路決めた方がいいんじゃね?二年だ
しさ」
「そうだな。僕はまだ、決まってないな。太一はどうすんの?太一
ならどこでもいけそうだけど」
「うーん。俺もまだ決まってないかな。」
「そっかぁ。って太一!?」
太一が赤信号のはずの横断歩道に飛び出していった。その先を見ると、5歳くらいの少女が真ん
中に立ち、しゃがみこんでいる。
そこへ、トラックが突っ込んでいった。
「きゃぁぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!!!」
「太一ぃ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
目撃した女性の悲鳴と一人の少年の叫び声がいつもなら静かなはずの場所に響き渡る。
トラックのクラクションがした後、嫌な衝撃音がした。
太一は少女をかばい、トラックのタイヤの下敷きになった。
僕は真っ先に太一のもとへ駆け寄った。
「太一?おい、太一!太一!」
僕は、今、何が起きているのかをしばらく、考えることができなかった。
少しして、警察と救急車がきた。布をかけられる前、ちらっと見えた
無残な姿の太一を僕は一生忘れることはないだろう。
その後、太一のいる病院へ行き、太一の母親と話した。
即死だったそうだ。
「・・・・・太一。」
読んで頂き本当にありがとうございます。
初心者ながら、これからどんどん投稿していこうと思います。
気になる点とか、不快な点があったらストーリーの展開にもよりますが、修正したり、取り込んでいったりしたいです!