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アオハルインウィディア  作者: ヌベスコ
2/9

1話 『友達になる、そして波乱の予兆』

あれは衝撃だったよ……

 なんて感じでいくつになっても話せそうな始業式を迎えてからもうすぐ1ヶ月となるこの頃。

 ズバリ、ゴールデンウィークですが皆様いかがお過ごしでしょうか。

 仲のいいグループは出来ましたか? え? 出来ました? ……チッ。


 コホン。まあ、それは置いといてかくゆう私は、と言いますとね。


「新崎くん! この服どうかな?」

「イインジャナイデショウカ。トテモオニアイデスヨ」


 地元のショッピングモールにて神崎と一緒に人生初のウィンドウショッピングを満喫……していた。

 


 時は遡ること一ヶ月前、始業式の日の夜のこと。

 広くはないが狭くもなく、最低限の生活家具を取り揃えただけの殺風景な自分の部屋の敷き布団の中で、上下黒のジャージを着た新崎はうずくまっていた。


 その日、スマホゲーム並みに突然の友達申請に、条件反射の拒否宣言をしてしまった俺は、とてつもない罪悪感からそうせざるおえなかったのである。


 いくら宿敵とは言え、あれはないだろぉぉぉがぁぁあぁ……


 神崎はただ純粋に俺と友達になりたかっただけなのにそれを、バッサリ切り捨てちゃうとかさすがに酷すぎる。

 でも、一つだけ言い訳できるとすれば、あれは本当に拒否反応だったんだ。

 神崎に対してと言うよりあの爽やかさに対する……ね……


 だが、一つだけ疑問が残る。


 あいつはどうして俺と友達になろうなどと言い出してのか。

 思い当たる可能性はいくつかあるが……


 まず、一つ目は対策。

 常に自分の後ろに立ち、寝首をかかんとするライバル(自称)を牽制、もしくは弱点を探るため。


 そして、二つ目は向上心。

 いわゆる勉強会、などから俺の勉強の仕方を研究し、自分をより高めようとするため。


 まあ、他にも思い当たることはいくつかあるがあくまで推測なのだから、こんなことでいちいち杞憂してても意味は無い――いやしかし、もしかすると、俺と同じボッチの可能性も……いや、ないな。


 ともかく、あいつが何を考えていたのか。

 明日突き止めないと。


 そう思った俺は後日、学校にて神崎を屋上に呼び出し、こう尋ねた。


「一体、何が目的だ?」

「……えーと?」

「とぼけるんじゃねえ!! 昨日、俺とと、友達になろうとか行ってきたじゃねえか……」

「う、うん」

「なんで、俺と友達になんかなりたいんだよ!? 先に言っとくけどパシリはゴメンだからな!! お金もそんなに持ってねえからな!!?」

「え!? いや、そんなんじゃないよ!! 僕はただ君のことが気になってただけなんだ!」


 え? 告白……?


「入学したばっかりの頃からさ、結構噂になってたんだ。何の変哲もない公立の中学校からここに来たやつがいるって。それで、『嫉妬の天才』とか呼ばれてるって知って。でも、正直大したことないんだろうなって思ってた。だから、余計にびっくりしたんだ。僕は初めてプレッシャーってものをあの一年間で知ったから。それでずっと気になってたんだ」


「………………」

「あれ? えっと……」

「そうか……そういうことか……フフ、そうかそうか……」

 つまり、神崎は俺のライバルになりたかったてことか!!!

 ククク、なるほど。それなら仕方がない、仕方がないよなぁ!!

「おっけーおっけーもう分かった。神崎……これからよろしくな!!」

「え、あ!! うん!! よろしく!」


 ――そして、現在に至る。

「なあ、神崎……もうすぐ中間テストだろ? こんなことやってていいのかよ?」


 外でも基本、上下黒のジャージを着ている俺とは違って、腰巻きやワンポイントアクセなど、THEオシャレみたいな格好の神崎。

 楽しそうに服を見ているこいつと、隣で立ってるだけの俺は周りから見たらどんな風に映るのだろうか……いや、やめておこう。これ以上はいけない。


 にしても、ほんと女子かよってぐらいキャッキャッしてるな。

「うーん、確かにそうだけど、たまにはこういうのもいいんじゃない?」

 ……まじで女子かよ。


「ったく……今度こそ俺が勝っちまうかもしんねーぞー?」

 と、冗談っぽく言ったものの、本心ではかなり本気である。

 常日頃から二宮金次郎もびっくりするぐらいの勉強量を誇る俺からすると、テストってのはもはや自分をどうこうするというより、相手の問題になる。


 つまり、こうやって神崎の勉強時間を削ぐことが出来れば、それだけ、自分に有利になるということだ。


 ククク、今は好きなだけキャッキャッするといい……しかし、最後にキャッキャッするのはこの俺だ!!!


「にしても、新崎くん。さすがにその格好はないよ」

「ん?」

「上下ジャージでしかも黒って……髪も真っ黒だしこれじゃほんと、真っ黒くろすけになっちゃうよ?」

 こいつ……

 次、そんな三流ギャグ言ったら、口縫い合してバッテンマークにしてやろうか。

「別に服なんざ何でもいいだろ。オシャレなんてのはかっこいいやつがやるから意味があるんだよ」

「……よし、決めた」

「決めたって何を――」

「僕が新崎くんをコーディネートするよ!!」

「ああ!?」

「ちょっと待っててね!! よーしやるぞ!!」

「あ、おい! ……おーい……」


 この日、俺は髪の毛遊びまくりのチャラ男みたいになって家に帰った。

 母親にグレるの? って聞かれた……



「ふぅ……まあまあだな」

 最後の教科である数Bを終え、中間テストのある程度の出来を確認していると、神崎が近づいて来た。


「どうだった?」

「んーまあまあかなー?」

 本当は、これ勝ったなって思ってるけどな!!!

「そっかー……あ、今日、放課後空いてるかな?」

「ん? ああ、空いてるよ」

「実は紹介したい人がいるんだー」


 え? 結婚すんの……?


「僕の幼なじみなんだけど、新崎のこと話したら彼女も会ってみたいって言うからさ」

「ふーん?」

 今、さらっと彼女って言ったよなこいつ。

 幼なじみの女の子いるとか何なの? しかも、仲いいんだ、ふーん、へー、ほー。


 しかし、この出会いも又、波乱の幕開けとなるのであった――……

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