The Giving Tree おおきな木 4-2
4-2.
いつの間にか泣いていたンだ。
私はハンカチを受け取らず、その人の胸に飛込んで
『痛い痛い・・とっても痛いの、心がね』と言って大泣きした。
気が付いたら私と一緒に真里奈と秀人もその人にしがみ付いて
泣いていた。
私達親子にしがみ付かれたのは、森下孝蔵という人で彫り師だった。
「月並みだけどさ、何で泣いてんの、しかも親子して」
「聞いてくれるの? 」
「あぁ、聞いてやる」
「ほんと? 重いよ! 」
「俺、軽い話も好きだけど重いのもっと好きよ」
「ハハっ・・うそっ・・」
私が笑って男と話し出したので子供達が不思議そうにしている。
ほんとおかしいよね、私。
『すみませんでした』と謝ってその場を立ち去ろうとしたら
「まだ話聞いてないのにもう帰ンの?」って言われた。
「俺ン家すぐだから、おいでよ。
話も聞いてやるし、焼きそばとタコ焼きもごちそうしてやっから」
見ると、彼は買い物袋を持っていた。
どうやらその中にご馳走が入っているらしい。
「ママ、お腹すいたぁ~」
良すぎる反応をする秀人。
私たちは森下と名乗るその人の家に付いて行くことにした。




