The Giving Tree おおきな木 11-2
11-2.
「あの時、私達もすごく不安に襲われてたんだよね。
確かよりによって5月5日子供の日、私たちを捨てたよね?
私覚えてンのよ。
アンタお母さんに向かってまぐろって詰ってた。
相手の女がどんなに魅力的かって言ってたのも何となく覚えてる。
驚いた?
5才の子供だから覚えてないと思ってた?
アンタさ、おまけに女の所へ行ってた時期、一円もお母さんにお金
渡してなかったでしょ。
森下くんに出会ってなかったら私達、3人で川に飛込むしか
なかったかもね。
アンタが出てった次の日、私達森下くんに縋って3人で大泣きしたんだ。
アンタは私ら子供をエロイ女の為に簡単に捨てたけど、お母さんは
自分だけで逃げ出さなかったよ。
私と秀人を連れて歩いた。
不安にさせたことは一度もなかった。
森下くんもお母さんも私達を大切にしてくれた。
じゃまにしなかったわ。
子供心に私も秀人も血の繋がりはなくても父親は森下くんって
決めたの。
ひろみなんてむちゃくちゃ可愛いよ、森下くんの子だもん。
産む時お母さんが、『どっちの子だろう、森下くんの子だと
困ることになるかな』・・って言ったから、『森下くんの子だったら
いいのに』って、言ったくらい」




