1ー8
えー……っと、昨日載せるはずやったんやけど、色々とくだらないワケがありましてですね…
いつも携帯で書いて、パソコンの方で編集して載せるって流れなんですけど、パソコン立ち上げるのが面倒やったと……はい
そんなわけで物語スタート!
時は遡ること数時間前。
ノールが姉であるセラにテレポートで優と離されたあとのことである。
「は~い、到着~」
「到着……じゃなくて! 優は!?」
周りを木に囲まれた大きな屋敷の前でノールはセラの腕を掴み、揺する。
そこで──。
「まあまあ。落ち着いて、ね?」
「落ち着いていられないわよ! 優は異世界から私に召喚されて、この世界のことが何も分からないのよ!」
──優が異世界から来た人だと簡単にばらされていた。
「……異世界?」
セラが急に真面目な顔になり、それにノールが『しまった!』と今更ながらに気づくが、もうばれてしまっているので誤魔化しようもない。
「……そう。異世界から来たって言っていたわ。だけどこれ以上は私も知らない」
「大丈夫! ノールちゃんの言うことは信じるよ!」
また先程までの明るい顔に戻るセラ。それ以上深く聞いてこないことにほっとするノール。
「さて、お父さんたちも待っているし、早く家の中に入ろう?」
「うん」
そしてノールはセラの後に続いて家の中に入っていく。……優を置いてきたことを忘れて。
ロアールとノアが屋敷に入ると奥から引き締まった身体にイケメンフェイスのおっさんが走ってやってくる。
「おかえりぃぃぃぃぃぃ!」
そして二人に向かって飛び込んでいき──。
「へぶっぅ!」
──氷の壁に勢いよく顔からぶつかっていく。
「あ、ありがとう。姉さん」
「ノールちゃんのためだからね!」
二人には顔を強く打ち、床でのた打ち回っているおっさんは眼中にないようだ。
「あらあら、あなたったら。またいつものように突っ込んでいったの?」
奥からさらに淡い水色のドレスを来た女性がやってくる。
「「お母さん!」」
今度は二人がその女性のところへ飛び込んでいく。
その女性は先程のセラ見たいに拒んだりはせず、優しく二人を抱きしめる。
「お帰りなさい。セラ、ノール」
「「ただいま!」」
「話したい事もあるでしょうし、お茶の準備も終えてあるから行きましょうか」
「「うん」」
そして三人で手を繋いで奥へと行ってしまう。
「あ、まって。わしも連れてって」
床に転がって寂しそうにしながら見ていたおっさんは最後までスルーされ続け奥に行ってしまった三人の後を慌てて追いかける。
「はぁ……はぁ……。……ふぅ」
ノールは今、広い庭に生えている芝生の上で横になっている。
あの後、ノールは久しぶり……と言うほど会っていないわけではないが、家族で楽しいときを過ごしていた。話すことも話し、自分の部屋に戻ろう。と席を立ったときに、使い魔である優を忘れていたことを思い出し、姉がお願いを聞いてくれないため、母親に頼み戻ってみたがすでにいなかった。
そこでノールは昨日、優を召喚してマイペースで自由だった性格ということも考え、『どこかで生きていると思うし、いいか』という結論にいたったため、エフィーにやっておいて欲しいことを一緒になって聞いていた内容を思い出し、庭を走っていた。
「……なかなかに辛いわね」
そう呟いた後に横に体を起こし、右手で杖を持ち、左手の人差し指に意識を集中させる。
十秒ほど経ってから、ロウソクの火より少し大きめな火がノールの右手に灯る。
ノールは人差し指に灯った火はそのままに中指を立てる。しばらく経ってから人差し指と同じくらいの大きさをした火が中指に灯る。
……が、すぐに二つの指に灯っていた火は消えてしまう。
「なにがいけないのかな?」
しばらく俯いて考えていたがノールは杖を置いて立ち上がり、また走り始める。
──十五キロある池の周りを。
☆☆☆
目を開けると髭を生やしたおっさんの顔があった。
「なんじゃ。起きているのなら早く起きればよかろうに」
「うるさい」
ベッドから降りて身体を伸ばす。硬いベッドで寝ていたからか、身体からパキパキと音が鳴る。
「ほれ、頼まれていたものは出来ているぞ」
「ああ、ありがと」
エガースから鞘に入った刀を受け取る。一度、鞘を抜いてみると黒光りする刀身が。
「……ほんと、いい腕だな」
「はは、そうだろ」
「ま、いいか。俺は行ってくるよ。ロアールはもう来ているでしょ?」
「ああ、行ってこい」
「うん……あ、“今回のこと”についてだけど、面白いことを考えたから期待していてね」
そう伝えるとエガースは頬を引きつらせるが、ロアールを待たせているので早く行かなくては。
「刀、ありがとね」
「…………」
最後にもう一度、礼を言ったけれど固まったまま動かない。
ま、いいか。
「おまたせ、ロアール」
外に出ると昨日と同じ格好をしたロアールがいた。
「大丈夫。そんなに待ってない」
「そっか。それじゃさっそく迷宮に行こう」
「ギルドで依頼を受けなくてもいいの?」
「ん? ああ、今日はまだいいよ」
それに、昨日のこともあって気まずいのもあるし。
「……分かった。どこの迷宮に行きたい? ……って聞いても優には分からな──」
「最古の迷宮」
「……………………え?」
ロアールの出しかけていた足が止まり、振り向いて俺の顔を見つめる。
「ん? 聞こえなかった?」
「ええと……最古の迷宮?」
「よかった、ちゃんと聞こえていて」
俺の声が小さいのかと不安だったよ。
「それじゃ、行こうか」
ロアールの手をとり、テレポートで最古の迷宮の前に移動する。
最古の迷宮の見た目は土で出来た円柱に人が一人入れるほどの大きさがある扉が付いているだけだ。
「え? ……え?」
「おー。これはまた大きくなって」
隣でロアールが固まっているがそれはおいといて、迷宮のすぐ近くに生えている木を見上げる。
本来なら、縦横高さが五メートルもあれば足りるがこの木は軽くその十倍以上ある。
当然、木の実の数も百や千では足らないほどに。
「さて、入ろうか」
そうして一歩、前に足を──踏み出せなかった。
「落ち着いて。優」
後ろからロアールに服を引っ張られたからだ。
「ここには。ここだけは絶対に入っちゃいけない」
「大丈夫だいじょ──」
「──大丈夫じゃない!」
ここまで声を荒げるなんて、何か悪いことでもしたかな?
「この……最古の迷宮は五百年前、あの黒でさえ立ち寄らなかったの。優も強いのは分かっているけれど、ここだけはダメ。三百年前にも他の種族と協力したのに失敗したし……」
……あー。五百年前は”面倒”だったのと“必要なかった”から寄らなかっただけなのに。
「うん、大丈夫。俺は死なないから」
ロアールの頭を撫でたあと、優しく服を掴んでいた手を離す。
──さあ、入ろう!
「あー、君君。ここに入っちゃダメだよ」
期待を込めて行こうと思ったら、衛兵に止められた。
でも相手するのも面倒だし、このまま抜けるか。
「うん、そうだねー。あ、ロアールはここで大人しく待っていてね」
相槌を打ちながら一人、歩いて衛兵の横を通り過ぎ、迷宮へ入っていく。
☆☆☆
始めはただの好奇心だった。
“仲のいい”ノールとエフィーが使い魔の召喚に成功した。
エフィーの使い魔は探せばいるような下級精霊だった。だけど今まで魔法を使えていなかったから使い魔を召喚できて私も嬉しい。嬉しい……けど、それよりもノールの召喚した使い魔が人であることに興味をもった。
本当はすぐにでも声をかけたかった。
昔はよく一緒に遊んでいた。年を重ねるごとに遊ぶ回数はだんだんと減っていき、今では私から挨拶したら返事をしてくれるだけになってしまった。
学校での私は天才として褒められ、崇められ、尊敬され。ノールとエフィーの二人は落ちこぼれとして同い年であるはずなのに哀れみ、侮蔑、などの目を向けられていた。
私は今でもノールやエフィーと昔のように楽しく過ごしていきたい。
だけど周りがそうさせてくれない。
今回は召喚後すぐに模擬戦がある。そこで他の生徒にやられていない限り、近くで会えると思っていた。
飛ばされた私はすぐに森の中を歩きながらノールとエフィーの気配を探った。
途中、何度か他の生徒と遭遇したりしたが、同じチームである二人が倒してくれるので私はノールとエフィーを探すのに集中できた。
模擬戦で残っている生徒も残り少ないのに魔法を使って探してもノールとエフィーが見つからない。
……もう、他の生徒に倒されてしまったのかもしれない。
最後のチームを倒したと思ったら森を抜けた平原にノールとエフィーを見つけた。
歩いて森を抜けると、泣いている二人の姿が見えた。……泣いている?
泣いている姿を見て、対応が遅れた。
同じチームである、赤髪ショートヘアのミュンヘン・スノーバルが二人に向けて魔法を放っていた。
もう間に合わない。ノールとエフィーが傷を負ってしまう。たとえすぐに治るとしても見ていられない。
と思っていたらノールが召喚した使い魔の少年が二人の足を払い、自身も身体を屈めて避けたのだ。
そして、先程まで二人が見つからなかったのはこの少年が何かをしたのだと思った。
その前に昨日借りたと思われる服を返しにいく。いつもは寝ていても誰かが近づいてくれば目が覚めるのに、寝ていた私が起きないように服をかけるなんて普通ではないと思う。
どうやって気配を消していたのかを聞くと、黒い長方形のようなものを見せてくれた。
三人までなら見えなくなるように出来るだとか。
先程の動きもあり、少年への興味が強くなり、その黒い長方形のものを壊してみることにした。
見た感じだとそれほど硬そうに見えない。ファイアーボールで十分に壊せると思い、無詠唱でそのものの位置にファイアーボールが出来るようにする。それで手に火傷は負うかもしれないが、壊せればいいかな、と思っていた。
結果、ものは壊せず、手に傷を負わせることもなかった。
まだ余裕そうに見えたからそのまま他の属性も混ぜて色々と放った。
バカみたいに正面から、でなく。避けるほうを予想したり、不意をつくために地面からや曲げたりしてみた。最終的にはどれもかすり傷すら負わせることが出来なかった。
最後に油断させてから、“私の姉さん”でさえ手加減をしていたらかすり傷を負う魔法を仕掛ける。
またもやそれを無傷で避けたことで、私の頭の中は少年のことでいっぱいだった。
模擬戦を終えた後、久しぶりの家に帰るために転移魔法を使わずにクリムの背に乗ったのは本当にただの偶然だった。魔法が使えることはなんとなく想像がついていたから質問に答えてくれたときはそんなに驚きはなかった。そのままクリムの背に乗り、一緒に街に行って入るときに少し問題があったが、無事に入り、ギルドに登録をして、一緒にお茶をしたのはとても楽しい時間だった。
武器屋に行きたいと言われ、例の場所に連れて行ったのはなんとなく、だった。
優だったら何かあると私の中にあった。
その武器屋の店主は五百年前に英雄となった黒と一緒に旅をしていたうちの一人だといった噂がながれている。
その噂がなぜ流れ始めたのかは分からないが。
だが、武器屋の店主は優のことを見て『黒』と、はっきり言った。
あの後、優と分かれたが深くは聞かないでおいた。
久しぶりに友達というものが出来た。だからいつか、話してくれると信じている。
次の日、いきなり迷宮に行くと言われて驚きを隠せなかった。しかも行く場所が『最古の迷宮』と呼ばれる、誰も攻略が出来ないとまで言われているところだったからだ。
そもそも、あれほどまで木の実を取り、難しさを上げてしまったのには――理由がある。
異世界者の方、書こう思ってたけど寝ちゃったんよね…今から少し頑張ろう
ってことでまた次回〜