1ー7
テスト勉強しないでなにやってるんだろう…
あと2日で終わるんやけど明日のテストにまだ、何も手をつけていないという事実
異世界ヤンデレ物語の題名は、次の話を載せた時に変えよう思ってる
でわでわ物語スタート!
──迷宮。
又はダンジョンと呼ばれるものがこの世界にはある。
詳しく解明されてないが、国や街、村などの人が多くいるところにはできず、最低でも十キロは離れたところに突如としてできる。できた後に人がその近くに住んでも消えたりはしない。
その形は様々であり、見た目は普通の一軒家、塔、洞窟、さらには大きな岩の陰などもある。なぜ迷宮の場所が分かるというと、その迷宮の近くには必ず同じ一本の木がなるうえ、その周り十メートルはくるぶしまでの小さな草しか生えていない。そこが砂漠のような砂しかなくても。海の中でも。草が生えず、岩しかない山でも。
迷宮は入り口の空間が捻じ曲がっているからか、入った場所が小さな一軒家だったとしても中はだだっ広い草原だったりすることがある。見た目と中が一緒であることは稀。そしてそれぞれの迷宮にもまた難易度があるが、それは近くに生えている木に生っている実の数で決まり、多ければ難しくなっていく。が、その実は取って食べることが出来る。だが、一つ取ると二つ増える。ようするに、取れば取るほど難しくなっていくことになる。
その地獄を抜ける方法はそのまま入ってきたところから出るか、その迷宮のボスを倒す。……又は死ぬか。たとえ死んだとしても死体はそのままであるが。
普通に山や森、草原、街や国、村の周りにいる魔物とは違い、一番弱い迷宮であってもその強さは桁違いである。
そのため、入るにはその実力が認められていなければすぐに死ぬため、迷宮の入り口には入るほどの実力はないが、それなりに強い国の兵士が見張っている。
迷宮にはそれ相応の見返りはあり、魔物を倒すことで稀にどこからか宝箱が出てくる。その宝箱の中には魔道具や武器、薬草にいたってまで、普通では手に入らないようなものが入っている。そして迷宮のボスを倒したときには迷宮は消えてなくなり、そのボスを倒した本人や仲間にしか扱えない一国を相手に出来るほどの武器、又は防具が残ることがある。
それゆえ、たまに衛兵の目を掻い潜って迷宮に入る輩がいるが、その後、その者たちの姿を見た人はいないという。傷を負いながらも帰ってくるものがまたいるが、二度と家からでることはないほど、肉体的だけでなく、精神的にも傷を負う。……まあ、中にはタフな人もいるもので、何度も死にそうな目にあいながらもちゃくちゃくと実力をつけるものもいるらしいが。
そしてその実力を認めるためには方法が二つある。
まず一つは大きな街や国などで開かれる大会で優勝すること。
だが、参加者には国が用意した猛者がいるためまず、優勝できるものは少ない。
が、その猛者と直接戦い、例え負けたとしても、迷宮に入るだけの実力があると判断されることもある。けれど、そのケースは稀であるため、ほとんどないと言っていい。
そして二つ目のほうは冒険者ギルドだ。
ギルドにはランクがあり、上からS、A、B、C、D、E、Fと七つに分けられている。
そして迷宮に入ることができる線引きがBランク以上であることだ。
先程の説明にあった、大会で優勝、もしくは猛者に勝つ、又は認められることがあったらBランクからギルドに入ることができる。そしてランクがA以上の者からの推薦で登録した場合も同様である。普通にFランクから登録し、依頼をこなしていってもランクを上げることができるが、CランクからBランクにあがるには試験が必要であり、またその試験も難易度が高いため、試験を突破できずにそれ以上ランクを上げられるものは少ない。
それゆえ、全ての街、国のギルドを合わせてもBランク以上のものはおよそ千人。
冒険者ギルドに登録している数の約一パーセント。ランクを関係なしに冒険者数だけならば十万人はいる計算になる。そしてCランクの冒険者は全体の約七十パーセント。つまり七万人はBランクに上がることができずのCランクで止まっている。
まぐれで試験に受かるものがいるが、たいていの人は迷宮に入ったっきり帰ってこない。
☆☆☆
「これ、ほんとおいしいね」
「うん。私のお気に入り」
「そっか」
俺とロアールはケーキとパフェを食べ終え、紅茶を飲みながらゆっくりしている。
「聞きたいことは大体聞けたし、今度はどこに行くの?」
「特に決めてないから……どこか行きたいところ、ある?」
……行きたいところ、か。
「武器屋に行ってみたい、かな」
「魔法、使えるのに?」
「俺は何でもいけるよ」
「楽しみにしている」
俺とロアールは席を立ち、出口に向かう。
「ん? お金は?」
「大丈夫」
ロアールがそういうなら信じるしかない。
いま、店から出ようとしたところで、奥から店長らしき人がでてき……た?
「あら~ロアールちゃん。もう行っちゃうの?」
……それは厳つい顔に厚化粧。盛り上がった筋肉に薄く派手な服を着た、オカマだ。
「おいしかった」
「それはよかったわ~……あら? そちらの可愛いボーイは?」
「私の友達」
「あらあら、それはよかったわね~」
……ん?
「いま、俺のことボーイって言わなかった?」
「私はそれくらい分かるわよ~」
……いちいち腰をクネクネと動かしながら話すのは鬱陶しいが、根はいい奴だと思う。
「そうか。ケーキとパフェ、おいしかったよ」
「また来てね~。あなたにもサービスしてあげるから~」
俺とロアールは今度こそ店から出る。
「サービスをしてあげる基準ってなにかな?」
「可愛ければいいと思う」
「……そっか」
いい奴……いい奴だけど、印象が本当に強いな。今でもその姿を忘れない。
でてきたものもおいしかったから、お金が手に入ったらまた行きたいと思うけど。
俺らのほかにも満席とまで行かないけど、七割がた女性客がいて、繁盛していると思う。オカマだけれど美味しいし、まあ、我慢すればいいところなのではないだろうか。
「武器屋はここから結構歩く?」
「それなりに、かな?」
「了解」
正直に言えば、武器は魔法で作ったやつが一番手にしっくりときて、さらにそこいらの武器には負けないくらい強い。だけどそれじゃやっぱりつまらないので、ここの世界にある武器を使用と魔法の制限をしようと思っているが、基本、魔法は使わずにいく。
……まあ、もしものときは魔法を使うが。
「ここ」
考えていたらいつの間にか周りに人通りがなく、薄暗い路地裏みたいなところにいた。
そしてロアールは『え? ここって武器屋なの?』と、言いたいぐらい見た目が普通の家の建物に入っていく。まあ、ここの場所は知っているけれども。
ロアールに続いて俺も中に入る。
「……誰だ」
中に入るとイスに座っているドワーフがいた。いや、普通だと思わないでほしい。この国に入ってからや、さっきもテラスに座って通りを眺めていたときも人間以外を“あまり”みなかったのだ。あまり、と表現したのは、通りを眺めているときに奴隷として連れられていた男の獣人がいたのを見かけたからだ。
「私」
「またお主か。わしは何も知らないと言っておる」
何があったのかはなんとなく分かるけれど何も言わずにロアールの後ろで何もない店? 家? の中を眺めている。それにしても、本当に何もない。ドワーフの座っているイスに、テーブル。その上にあるコップぐらいだ。まあ、ドワーフが座っている位置の後ろにある扉の奥に何があるのかは触れないでおくが。
「今日は武器を作ってもらいに来た」
「お主のか?」
「違う。優の」
そこで初めてドワーフが俺のことを見る。そして驚いた顔をする。
「お……お主、黒ではないか……?」
ロアールも驚いた顔をしながら振り向いて俺を見てくる。
「人違いです」
「いや、でも……」
「人違いです」
「…………」
「人違いです」
「そ、そうか……」
ようやく諦めてくれたか。今ここで話すとロアールにまでばれて、“あいつ”の居場所も知られてしまう。今ここで知られるのはまずい。
「……ロアール。ここまでしてもらって悪いとは思うけど、今日は一度帰って、明日またここに来てくれない? 俺はこのままここに泊まるから。出来れば、理由を察しても黙っていてくれると嬉しい」
「……分かった。明日またここに来る。……友達だから」
「ありがとう」
断られるかと思ったが、よかった。
「明日は一緒に迷宮に行こうね」
「うん。また明日」
ドアの向こう側は日が沈みかけていて赤く染まりつつある。
ロアールが最後に振り返って手を振ってきたので笑いながら降り返し、ドアが完全に閉まったのを確認してから足で一度踏み鳴らす。
「何か申し開き、又は言い訳することはあるかい? ん? エガース・ガルドさんよぉ」
ニッコリと微笑みながら問いかける俺に、エガース・ガルドは冷や汗をダラダラと垂れ流し目を逸らす。
「や、やっぱりお主、黒なのか?」
「ああ、そうだよ。今は力を抑えているのと、イメージチェンジを兼ねて髪を白くしているけどね。信じられないなら今戻すよ」
俺は首を左右に一度振る。今まで白髪だったのが黒髪へと一瞬で変わる。
「ほ、本当に黒だったのか」
「エガース、久しぶりに会って色々と言いたい事もあると思うが、まずは確認したいことがいくつかある。その中でもとりわけ重要なのを一つ」
「あ、ああ。言いたいことは分かる」
「そっか……お前らは“また”戦争しているのな」
「そこに関しては何も言い返せない」
五百年ほど前、一度この世界に使い魔として召喚されたとき、そのときの主であった少女と共に世界を周り、そしてそこで出会ったものたちと力を合わせて戦争をなくし、人間、ドワーフ、エルフ、亜人、魔族との差別を無くしたが……まさか五百年でまた戦争するほどに関係が悪化しているとは思わなかった。……五百年もあれば人も考えも変わるか。
「他のみんなは無事だよね?」
「ああ、みんな無事だ」
「それならまだ、マシか」
──まあ、なにがあろうと死ぬことはないはずだ。
だけど一応は確認しておく。
「……なんだよ」
「いや、なんでもないぞ」
ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべながらエガースが見てくる。が、それを問い詰めるよりも重要なことを先に聞かねば。
「とりあえずは今のところいいかな。また後で聞くことがあるかもしれないが」
と思ったが、特にはなかった。
「ああ、分かった」
「それと武器作ってくれ」
「黒なら自分で作れるだろ?」
「縛りプレイだ。自分で作るとさすがに強すぎる。他で作ってもらうとなるとお前が一番いい腕をしていると俺は思っているからな」
俺が褒めると嬉しそうに鼻の頭をこすりながら。
「そうかそうか。俺に任せておけ」
「ああ、期待しているよ。作るのは刀で頼む」
「分かった」
俺はエガースの後ろにある扉を開け、入っていく。その後ろをエガースもついてくる。
その部屋は……その部屋も非常に質素なものだった。ベッドが一つ。ただそれだけ。
「そういえば、“あの部屋”は特別な開け方だっけ?」
「五百年も前のことなのによく憶えているな。毎日使っている俺は別としても」
「俺はそこまでアホではないさ」
「そりゃそうか。俺はあの部屋で寝るから。お主はここで寝るといい」
「もともとそのつもりさ。明日の朝はロアールと迷宮に行くから」
「ああ、分かっている。それまでに仕上げておくさ」
そう言ってエガースは部屋から出て行った。
「……ロアールとエフィーはちゃんと練習をやっていると思うし、心配しなくてもいいか」
横になり、目を閉じる。
そして俺は睡魔という快楽に身をまかせ、意識を深い闇へと落としていく。
次の話はまた、明後日に載せようかなと思ってる
ってことでまた次回〜