1ー5
投稿忘れてたとか言えない…!?
ま、まあ今日中だし……いいよね?ね?
次は明後日に載せるよ!ほんとだよ!
でわでわ、物語スタート!
「……お待たせ、姉さん」
ノールの後を着いていくと先程の講堂みたいな場所まで戻ってきた。
そこには……えっと、ほら…………せ、生徒……生徒会長! そう、生徒会長がいた。ちゃんと思い出せてよかった。
「そんな! 全然待ってないよ! むしろ私のほうが遅く来てノールちゃんを待たせたのかと不安だったよ!」
そう言って生徒会長はノールを抱きしめて頭を撫でる。
そういや、ノールは生徒会長のことを姉さんって……。模擬戦始まる前に自己紹介して、確かファミリーネームが一緒だったような?
「ああ、姉妹か」
今更だが、よく見れば顔立ちも似ている……気もする。だけど魔法に関しては……。
生徒会長に抱きしめられたまま顔だけこちらに向けてノールが睨んできたのでこれ以上考えるのを止める。
「それじゃ、妹成分も補給できたし。行きますか」
どこに? と聞く前に生徒会長とノールの姿が見えなくなった。
「生徒会長のテレポートですぐに帰れるから荷物、いらないのか……」
……ふむ。
「俺はこれからどうすればいいのかな?」
講堂みたいな建物の前に俺は一人、残された。
「さて、これからどうしようか」
あれから数分経ったが、忘れたのか戻ってこない。まあ、ノールがあの生徒会長に言ったとしても生徒会長が戻ってこなきゃノールは何も出来ないけどさ。
「ん? あれって……」
目の端になにかが空に飛んでいくのが見えた。
「おーい! クリム!」
だいぶ高い位置まで飛んでいて聞こえないかな、とも思っていたが、耳がいいのか俺を見るとこちらに向かって飛んでくる。
「や、さっきぶり。呼び戻してごめんね」
クリムの背中からロアールが降りて俺の前まで来る。
「問題ないけど。……一人でどうしたの?」
主であるはずのノールがいなく、使い魔である俺が一人でいるのは命令されていない限りはあまりないはず。それにいまは帰省しているはずだからなおさら一人でいるのはおかしい。
「いやさ、置いてかれちゃったからさ、これからどうしようか考えていたところにクリムが飛んでいくのが見えたからさ」
『どうしたらいい?』とロアールに聞いてみると、あごに手を当てて真剣に考えてくれている。
「……私の家に来る?」
お。美少女から家に招待されるのは嬉しいものがあるけれど──。
「ロアール、テレポート使えるよね?」
「…………」
目を逸らされた。
「よく、沈黙は肯定って言うけど……。ロアールがテレポート、本当にもし出来なくてもクリムに乗って飛んで送ってもらえばいいと思う……」
「…………」
俺に背を向けるロアール。
「…………」
「…………」
沈黙続く。
クリムは我関せずと眠る体勢に入っているし。
「あ、そういえば行ってみたいところがあるからさ、そこに連れて行ってくれない?」
ロアールはちらりとこちらを見て、少し考えるそぶりを見せた後。
「貸し一つ」
「ん、了解。だけど俺に叶えられる範囲にしてね」
頼んでいる立場だし、それぐらいはもともと受けるつもりだ。
「乗って」
交渉、と言うほどたいしたものでもないが連れて行ってくれるようだ。ありがたい。
クリムの背に乗ったロアールの後ろに座る。ドラゴンの据わり心地は可もなく不可もなく、ってところかな。
俺とロアールが座ったのを確認したクリムが翼をはためかせ、空高く飛び上がるとすぐに地面との距離が離れていく。風や、高度が上がるにつれて寒くなっていく。なんていうことはなく、普通に座っていられる。ドラゴンの恩恵だろう。
「どこに行きたいの?」
「冒険者ギルドのある街まで。登録をできたらしてみたいけれど……出来るかな?」
「少し難しいかもしれないけど……私の紹介ってことでなんとかしてもらう」
ん? ロアールって意外とすごい人だったの?
「後、街に入るには自分の身分を証明するものが必要。なければ銀貨三枚払わなければいけないのだけれど……」
いいたいことは分かる。
「……お金、持ってないです」
俺、もしあのときにロアールとクリムを見かけなければ詰んでいた? いや、詰んでいた。
「それに──」
「まだあるの!?」
「冒険者ギルドに登録するとき、銀貨一枚必要」
……いや普段はね、ちゃんと情報を集めて万全を期してからとりかかっているよ? だけど今回は文字が読めなくて本からの情報を得られないのと情報を持っている人。つまり俺の主であるノールが生徒会長とともに行ってしまったのが原因であって。
……なんだか悲しくなってきた。
「クリムで送る。街に入るとき。冒険者ギルドの紹介と登録で貸し四つ」
さらにロアールから追い討ちが……。
「はい、ありがとうございます。ロアールさん」
「私のことは呼び捨てで。後、敬語で話さないで、ね?」
顔だけこちらに向け、やわらかく微笑みながら言ってくる。その表情に不覚にもドキッとしてしまったが、それは心の内にだけとどめておく。先程までずっと、ロアールはあまり表情が変わらないものだと思っていたが、そうでもないみたいだ。
本来ならここまでしてもらってそれはない。という気持ちがあるが、命のまではいかないけれど恩人である本人からの頼みを断るほど俺は酷いつもりはない。
「それで、全部で五つある貸しはどうするの?」
ほんと、無理難題は許容範囲外だから。ロアールはそんなこと言わないと思っているけれど無駄に緊張する。
「四つぐらい質問して、一つは残しておくつもり」
一つだけとっておくって……怖い。
「それじゃ、一つ目の質問。優って魔法を使えるよね?」
「うん、使えるよ」
半信半疑だったら誤魔化しようもあったけれど、ここまで断定されていたら無理だ。でも、魔法に関してヘマをしたつもりはないし……もしかしたらカマかけられたかもしれない。
まあ、別に困るようなことではないか。
「……素直に答えるとは思わなかった」
「一応、恩人であるからね。質問に嘘は言わないよ」
「……そう」
さて、次の質問は何かな。
「他にも聞くつもりだったけれど、今の質問でとぼけると思って用意していたものだったから今は特にない。残りの四つはとっておく」
「……お手柔らかにお願いします」
本気で怖くなってきた。まだ、ロアールが何を考えているのかよく分からないし。
「もうそろそろで着く」
「お? どこ?」
「あそこに街の外壁が見えている」
ロアールの肩越しに前のほうを見てみると外壁に囲まれた大きな街が見えた。……いや、街というよりは国、と言ったほうが正しいと思う。だって、真ん中に大きな城が見えるから。
「一旦、手前のほうで降りる」
そりゃ、いきなりドラゴンがやってきたら住んでいる人たちが混乱するだろうし。正しい判断だと思う。
考えている間にも、地面にだんだんと近づいていく。クリムは地面に着く前に一度大きくはばたき、地面に優しく着地する。これだけ大きな体なのに、着地したときの音がほとんどないのはおかしいと思う。どこの異世界だよ……ここが異世界だった。
「優だけ一回降りて待っていて。クリムを家に置いたらまた戻ってくるから」
「あいあい」
ロアールに言われたとおり、クリムの背から降りて少し離れる。振り返ってみてらすでにロアールとクリムの姿はなかった。……あれ、この光景に見覚えが。
約束したし、また戻ってくると信じて、青く澄んだ空を見上げて何をするか考えようとする暇もなく、ロアールだけ戻ってきた。説明等で5分は時間がかかると思っていたのに。
「ただいま」
「おかえり。それじゃあ、行こうか」
隣に並んで歩き、街を……国を目指す。
「入国したいものだな?」
あれから歩いて城壁のところまで来たけれど……この強面衛兵、入国っていったよね? でも、街でも入国って……言うのかな? どうなのだろう。それに鎧を着ていても大事な頭を守らなくちゃあまり意味がない気がするけど、その辺はどうなのだろうか?
「なにか身分を証明できるものを……って、ロアールさんじゃないですか! あ、あの! 昨年はありがとうございます。おかげで国や住民に被害がありませんでした」
この衛兵はいま、完全に国って言った。そんなことよりも、ロアールに『さん』をつけたりして、やけに年下であるはずのロアールに対して腰が低い。
それに昨年、何をしたのだろうか……。貸し一つで教えてくれそうだが、これ以上増やすといろいろまずい気がする。
「ん、そう。あと、これ」
そんな強面衛兵にそっけなく返し、銀貨を三枚渡す。
「ロアールさんはギルドカードを持っていますし、みんな顔を覚えていますから顔パスでも入れますよ」
「ちがう。優の」
衛兵は銀貨を返そうとしたが、ロアールはそれを受け取らず、後ろにいる俺を指差す。
そして俺はロアールにアイアンクローをかます。
「……痛い」
「ねえ、ロアール。俺ね、人に指差されるのって嫌いだからさ、恩人だしこれからも助けてもらうことがあるかもしれないから手加減しているけれど、今度からは気をつけてね?」
ロアールが頷いたのを確認して、手を離す。
「おいお前。ロアールさんになにしている。それと『さん』をつけろ。ロアールさんに失礼だろ」
衛兵が横からとやかく五月蝿いが、どうでもいいので無視するのが一番だ。
「そういえばさ、一応俺って使い魔なわけだけど、一人として考えるのかな?」
五月蝿い衛兵に聞こえないようにロアールに話しかける。
奴隷を物として扱って一人として数えないのなら、主の所有物である使い魔も一人として数えないのではないか。本来はロアールだとドラゴン、エフィーだと精霊、みたいに俺みたいな人が召喚されることはまずないのでは? それにその場合だとお金は取られないと思う。
……まあ、今考えたことだが。
「そういえば……。使い魔だから必要ない……かも?」
ロアールも俺と同じように使い魔だと忘れていたようだ。
特殊な例だし、ロアールが分からないのもしょうがないか。
「まあ、ロアールの紹介で冒険者ギルドに登録するし、金を払うのは今回だけだから気にしなくてもいいか」
「ん、行こう」
答えがでるわけでもないし、深く考えるのを止める。
何かが変わるわけでもないし。
気を取り直して国に入ろうとしたら、あの強面衛兵に邪魔された。
「お前を国に入れるわけにはいかない」
腰に携えていた剣を鞘から抜き、俺に向けて構える。
「金なら払ったじゃないか」
ロアールが。
「どうしてお金を払って条件を満たしたのに入れないのかな?」
「金はロアールさんに返す。そしてお前を国に入れるわけにはいかない」
イライラする。
俺、一部を除くバカと感情論で話す奴って嫌いを越して関わりたくない。なぜなら話が通じないから。
「だからどうしてだって聞いているの。理由を話せよ。人だったら言葉通じているだろ。子供のほうがまだ話せるよ」
イライラしすぎていまにもこいつを殴りたい。
衛兵は顔を赤くさせて口をパクパクと開いたり閉じたりしている。しばらくして落ち着いたのか、キッと俺のことを睨んでくる。美少女なら少しは嬉しい気持ちもあるけれど、おっさんだとただ気持ち悪いだけだ。
「十四にしてギルドランクAになり、この国の恩人であるロアールさんにあんなことをするやつをこの国に入れるわけにはいかない!」
「ほんと話が通じないな。さっきのことは俺とロアールの問題だ。第三者の立場であるお前には関係ないこと。無関係な人間がしゃしゃりでてこないでよ。鬱陶しい」
ロアールの情報をペラペラと話してもいいものだろうか? この世界には個人情報保護法とやらはないのかな? ま、気にせずに固まった衛兵の横を通り過ぎてロアールと一緒に国に入る。
「ロアールって実はすごい人だったの?」
「実は、じゃなくてすごい人なの」
得意げな顔をして俺を見てきたが、可愛かったので頭を撫でる。ビクッと反応したがすぐに気持ちよさそうな顔をする。
さきほどの衛兵からすると、この国にはロアールの信者みたいなのが他にもいそうだし、人に見られる前に撫でていた手を離す。どこの宗教だよ。
ロアールのことは嫌いじゃないけどね。
手を離したときになぜか残念そうな顔をしていたが、すぐいつも通りの無表情に戻り、俺の前を歩いて冒険者ギルドまで案内してくれる。
明後日のいつ頃載せるのがいいかな?
ま、夜になると思うけど…
ってことでまた次回ー