終章
いやー…久しぶりに外出したら、足が痛いんよねー…
まあ、とりあえず、二章にネタキャラ出そうと思います。はい。…コメ来なくて悲しかった(笑
2015/08/31誤字、訂正いたしました
「……確かに昨日の夜、私はあなたに巻き込まれることを諦めるといいました。けれど――」
そこで一度区切ったウルちゃんは俺の方に座っている状態からわざわざ立ち上がり、今目の前で起こっているのを指差す。
「諦める前にあの子たちにケガを負わせないようにと言ったはずです!」
耳元で叫ぶように文句をグチグチと言われているため、耳がキンキンする。そのうえ、寝不足の頭にすごい響く。ガンガンする。
「確かに、ノールたち3人が粗悪な武器を手に、5メートルほどの大きさをした、見た目からして凶暴そうなクマと魔法なしでドンパチやっているけど……あ、ノールが吹っ飛ばされた。でも、いまのだって無意識に力を逃していたし、それほど大怪我を負ってないよ? 完璧に受け流したわけじゃないから、ところどころに傷は見えるけどさ、ちゃんと成長しているのは見ていて分からない?」
「…………」
そう説明してみると、いつもとは違い、力なく頬をペシンと一度だけ叩いてくる。
肩に乗っているウルちゃんに手を伸ばし、首根っこ掴んで目の前に持ってくる。
「……確かに、黒は死ぬような特訓はしませんけれど……死にそうになる特訓が当たり前です。現に今だって、一瞬でも気を抜けば死んでしまいます」
「だから俺たちが見ているんじゃないか。途中で邪魔が入らないようにしたり、無理だと判断したものは守ってあげたり、ね。いまのところはこのままいけば倒せそうだけど、何があるかわからないんだ。大人しく見ていようか」
納得いっていないようで、ブスッとしていたが、理解はしているからちゃんとノールたちへと目を向けてくれる。
あ、今度はエフィーが振り上げた腕に当たって吹っ飛んでる。そのまま木にぶつかるかと思いきや、水球が間に現れて飛んできたエフィーを優しく受け止める。
「まあ、いまのは手助けあり……かな?」
「ありに決まっています。背骨でも折れたらどうするつもりですか?」
「いや、付与魔法と魔力強化は許可してあるし、ちゃんとかけられているからそれくらい大丈夫でしょ……」
「万が一というものがあります!」
「そしたらウルちゃんが治してあげればいいじゃないか」
「そういう問題ではないのです!」
ウガーッと憤慨しているらしいが、今の容姿だと微笑ましいものでしかない。
ウルちゃんの言いたいことは分からなくもないけれど……。
「もしも、俺たちがいない時に危機が迫ったら……どうするつもり?」
「…………」
心の何処かではウルちゃんもちゃんと考えていたのだろう。何も言い返してこない。
「……それぐらい、私にも分かっています」
「…………」
「何があるかわからない。もしかしたら主人に危機が迫っているときに私たちがいないことがある。なんてことが起きる確率もゼロではないことぐらい、分かっています」
辛そうな表情をしながらも胸の内を吐露していく。
それを茶化すことなく、ノールたちから目を離さずに耳を傾ける。
「ですが、助けられるのに……守れるのに傷つく姿を見ていることしか出来ないのは……苦しいです。守ってばかりしていると、心の何処かに慢心が生まれ、いざという時に大怪我や致命傷を負ったとしても……私には耐えられません」
そこで一度区切り、顔をうつむかせて何かをこらえているかのようで、ウルちゃんの体がかすかに震えている。
「――もう、あんな思いをするのは嫌です」
うつむいたまま、吐き出すようにこぼしたセリフ。
ウルちゃんは知り合いが傷つくことを極端に嫌がる。そうなった原因が俺にあるため、あまり強く言い返すことが出来ない。
「……そう、だね。ウルちゃんのこともしっかり考えるべきだった」
「黒……」
パァァァァッと表情を明るくして俺のことを見てくるウルちゃん。
うん、そうだよ。ウルちゃんの考えも考慮しないと。
「しっかりと考えたうえで――俺の意見を通すよ!」
「ど、どうしてそうなるのですか!」
爽やかな笑顔でそう伝えると、飛びかかってくる勢いで声を荒げるウルちゃん。そんなに大きな声を出していると、ノールたちに話せること気づかれちゃうよ?
まあ、確かにあまり傷ついて欲しくないのは俺も同じ意見だけどさ……。
「それを考えた上でも、一緒にいていられるときは厳しい特訓にするべきだと俺は思うね。さっきも言ったけれど、本当に危ない時は守ってあげればいい。だけど、全部を守っていたら危機管理能力が薄れて――すぐに死ぬよ?」
「…………分かりました」
おお、やっと分かってくれたか。
ウルちゃんは昔から少し頭が硬い部分があったから、折れてくれないとどうしようか悩ましいところだったけど、分かってくれたのなら――。
「これが終わったら、私と黒、どちらの特訓がいいか聞きましょう」
「……いや、ウルちゃん話せないでしょ?」
前言撤回。全然諦めきれていないようでした。まる。
「黒が全て説明すればいいのです。これからの特訓、厳しくいくか優しくいくか、です」
「別にいいけど……それで納得するんだね?」
「ええ、二言はありません」
自信満々な様子だが、どこからその自身が出てくるのか、首をかしげざるを得ない。
だって……ねぇ。
結果はなんとなく、分かりきっている気がしなくもないような、ねぇ。
「……何故です」
クマを特に大きな怪我もなく……まあ、大きな怪我を受けそうだったら守っていたから当たり前だが、倒し終えてすぐにその場へと座り込む3人にそれぞれゲンコツを1回ずつ、説教とともにくれてやりながら少し反省会をした後、ウルちゃんに言われた通りにどちらの特訓がいいか尋ねてみたのだが……。
「そんなはずは……エフィーなどずっとオドオドしていたのを私は知っているのですよ?」
結果はまあ、俺の圧勝。誰もウルちゃんの意見に見向きもしないどころか、逆にふざけるなと言われてしまった。
少しイラっときたから。
『なら、もう1回――クマ、倒してこよっか?』
笑顔で告げると、3人は嬉し涙を流しながら近くにいたクマへと襲いかかっていった。
ウルちゃんは落ち込んで木の幹に蹲っているし、正直面倒臭い。
だけど、まあ。
「そのうちいい事あるって!」
戦闘中のノールたちにも聞こえるように大きめの声でそう言った後、森には悲しそうに叫ぶ4人の声が響き渡った。
そろそろ…ってか、来週の日曜にテストあるからなぁ…今度はいつになるか…
分からんけども、また次回〜




