1ー13
えー……遅くなりまして申し訳ありません
3日ぐらい前には書けていたのですが、パソコンで編集するのをサボってました、はい
夏休みに入ったのに講習で休みが全然ないのが悪い!(責任転嫁)
次の話は3分の1ほど書けているはず……!
これ乗せた後、旧題、異世界ヤンデレ物語のせます
でわでわ、物語スタート!
「……こうなることは分かっていたさ」
あのあと、ノールの馬鹿でかい家にお邪魔したはいいけれど、ノールの両親、俺を置いていった原因である姉も休みいっぱい居ないらしい。
まあ、メイドとか執事とかいるし、高そうな花瓶や絵に絨毯。いろいろとバカらしくなってきた。それで風呂に入ったり飯食べたりしてノールの部屋に移動し、今に至るんだが……目の前には大きなベッドで気持ちよさそうに寝ている3人の姿がある。
「……うん、分かっていたんだけどね」
無性に頭を叩いて起こしたい欲求が。
やらないけれど。
無理に起こしたまま教えても頭に入らないし、勉強は寝る前よりも朝起きてからの方が効率がいいらしいし。
だから寝る分には構わないのだけれど、俺はどうすればいいのかせめて言ってから寝てほしかった。
――コンコン。
誰だか分からないけれど、勝手に返事して開けてもいいものなのかね?
開けるけど。
「優様。部屋へ案内させていただきます」
扉を開けると、立派な白ヒゲを生やした老執事がいた。
なんだ。ちゃんと俺の部屋は用意されていたのか。また、イスで寝るのかと思ったけれど、エガースの家で寝たあの硬いベッドよりマシだと感じるのは気のせいであろうか。老執事に案内された部屋は、本来はそれなりの身分である客が来た時用だと思わせるほど――なんかではなく、普通の部屋だった。
ベッドがあり、イスとテーブルがあり、タンスにちょっとした置き物と花瓶に生けてある花。
ああ……普通のベッドだ。
なんだかそれだけで目の端に涙が。
ま、涙うんぬんは冗談だけど、使い魔に与える部屋としては十分すぎると思う。
俺が使い魔ってのを信じていないだけかもしれないけれど。
案内を終えた老執事は一度頭を下げてどこかへ行ってしまった。
「もう、俺も寝るかな……。何もすることないし。……いや、魔法の練習するか。エガースに偉そうなこと言ったけど、俺自身がサボってたわけだし」
…………。
うん。眠いし、また明日から頑張ろう。今日は寝るに限る。
そういやあいつら、ここにきた初日の夜に話しかけて以来なにも話しかけてこないし、どっか行ったみたいだけど……まぁいいか。死にはしないだろうし。
俺はベッドに横になり、目を閉じる。
☆☆☆
「あー……寝すぎた」
目を擦りながら上体を起こす。
窓から差し込む光の角度を見て考えるに、昼は過ぎているだろう。やらかした。
完全にやらかしたが、そこまで気にするものでもないし、ノールたちはちゃんと自主的に練習してくれているだろう。
「腹減った……。食事部屋はどこにあるのか知らんし……ノールたちの部屋に戻ることすら危ういかも」
ってか、また体が痛い。昨日、何かしたっけ?
思い返してみるが、特に何もしていないような。寝相でも悪かったか……?
取り敢えず、ここにいては何も始まらないし、部屋を出ることに……。
「俺、風呂入ってないし、エガースから借りた今着ている服以外何も持ってないから凄い臭いんじゃ……」
飯の前に食事だ。いや、違う!
飯の前に食事だ! だからちゃうって!
飯の前に風呂だ! 違う! だから食事だって!
……いや、飯の前に風呂で合ってる。
寝ぼけてまだ、頭がうまく働かない。
…………。
「なんだか面倒になってきたし、もう一回寝て、起きてから考えよう」
いそいそと布団に潜り、目を閉じて眠りに――。
「起きなさいよ!」
――つくことが出来なかった。
蹴破る勢いでノールが部屋に入ってきて、俺にかかっていた毛布をバッと剥ぐ。そして後から入ってきたエフィーが部屋の窓を開けて換気をし、ロアールが冷めた目を俺に向けており。
「体、綺麗にしてきて?」
「あ、はい」
そうとう臭うのですね。分かります。
といっても、風呂場がどこか知らないのでロアールに先導してもらい、服もノールの父親から無断で借りた。
っても、服ないって言ったらノールが何処か行って、しばらくして戻ってきたと思ったら服を投げつけられたんだけど。
「ノールって金持ちだったのかぁ……」
まあ、昨日この家を見たときにも思ったりしたけどさ、風呂場ってより浴場のが正しい表現のように感じる。でも、浴場ってたしか、公衆が利用するって意味だったと思うし、風呂場でいいのか……?
別に突き詰めなくても問題ないし、いまはゆっくりと浸かりますか。
「……はふぅ」
石鹸を使って体を洗い、シャワーに似たもので体を流す。そして湯に浸かったわけなんだが、そのときは目が覚めたはず。だけど今はまた、夢の世界へと旅立てるような気がする。
「優! さっさと上がりなさい! また寝るつもりでしょ!」
「…………」
もう、何も言わずに天井を見上げましたとも。
覗いてないだけマシだとしても、扉一枚隔てたところに男の裸があるんですよ、ノールさん。
これ以上長風呂したらまた怒鳴りに来るだろうし、大人しく湯から上がり、一度シャワーのようなもので体を流し、タオル……? 日本のものと比べるとゴワゴワしているが、吸水性のある布のようなものを腰回りに巻いて大事なところを隠し、脱衣所へと向かう。
「優! 聞いている……の?」
扉へと手を伸ばしたら、俺が触れる前にその扉は開いた。
開けたのはノールなんだが。
一応、布で大事なところを隠しておいたため、特に問題はない。ないのだけれど。
「優って女みたいな体してるわね」
「…………」
精神的にダメージを負わされた。
確かに、日焼けをしていない真っ白な肌や、無駄な肉のついてない細い腕などを見ればそうかも知れないけれど。
「……とりあえず、服着るからここから出ようか」
「部屋の前で待ってるわね」
服を着ると言っても慌てた様子を見せずに出て行く姿を見て、俺はさらに悲しくなった……。
俺は別に、この体型がおかしいとは思わないんだけどな。ただ、あまり成長しなかっただけなのだし。女性で言ったら胸が発育しなかったのと一緒だよ? 一緒。
……なんだか虚しくなってきた。
服を着たのにいつまでもここでボーッとしてたら、またノールが入ってきそうだし、行くかぁ……。
「おまたせ」
「ずいぶん長かったけど……立ったまま寝たりしてたの?」
「さすがにそこまで器用じゃないよ。少し、考え事をしていただけだよ」
「そ、なら行くわよ。もうエフィーとロアールは座って待っているんだから」
そうかー。もう昼時だったなー……。
なんだか米が恋しくなってきた。たしか、どこかに米に似たのがあったような……。どこだったかな。
☆☆☆
「ってことで、今日の午後は走ったりなどせず、座学をやるか」
昨日、ノールたち3人が走った池のところにはいるが、今回は走らせるのが目的ではない。
「まあ、それは別にいいんだけど……どうして私たちは立たされているの?」
「ん? ああ、どれほどのものかを少し確かめるために」
よく分かっていないようだが、口で説明よりは実際にやったほうが分かりやすいし、詳細は実演してからでいっか。
「それじゃ失礼して」
「……え?」
俺はノールの前に立ち、腹に手のひらを当てる。何回か軽く押したりして感触を確かめる。
「さて、次はエフィーに――」
「い、いきなり何をやっているのよ!?」
「へぅ……」
ノールが終わり、エフィーのもとへと移動しようとした瞬間、頭を叩かれて地面とキスをする。
「お、女の子のお腹に手を当てるなんて変態!」
「なんでそうなるのさ……ただ、これからどの系統の魔法を教えていくかの判断をするだけなのに……。別に太ってるかどうかの確認じゃないよ」
俺も人のこと言えないけど、女の子も女の子で不思議だな。中には例外ってかノールたち、この世界の人たちが例外なのか、どれだけ鍛えても腹筋が割れないし、腕に力を込めても血管が浮き上がらず、力こぶもできない。……はっ! これがご都合主義か!
…………こほん。
力を込めたらちゃんとお腹とか硬くなってるのに。
「それじゃ、理由もわかったところでエフィー、失礼」
「は、はうっ! はわわわ……」
エフィーもなかなか硬いけれど腹筋が(以下略)。
続いてロアールもやったが(以下略)。
「まあ、大体分かったよ。うん」
手を握ったり開いたりを繰り返して感触を思い出していると、またノールに頭を叩かれた。今度は軽くだけども。
「それじゃ、優。説明を」
「了解了解。それじゃ、もう座ってもいいよ」
各々、地面に腰を下ろす。
だけどね、君たち。しょうがないかもしれないけれど、女の子座りとかだとそのスカートから覗く健康的に程よい肉づきをした太ももとかが俺の目に入ってくるわけで。まあ、なんだ。ご馳走様です。
「それじゃ、ノール。俺はあの模擬戦だっけ? あれの時に説明した、魔法の種類は3つあるって言ったと思うけれども、なんだったか覚えている?」
「攻撃、防御、支援よね」
「そう、その3つ。ノールたちがそれぞれどれに特化しているのか、伸び代が大きいのがどれかを教えていこっか」
楽しみなのか、3人が3人とも目をキラキラとさせている。
それを見て俺は、親にエサをねだる雛鳥を連想して思わず笑いそうになるが、ここで笑ったら大変なことになってしまうため、なんとか堪える。
その姿を焦らしていると勘違いしてくれたのは幸いだった。
「ノールは支援重視の攻撃特化型。エフィーは防御重視の支援特化型。ロアールはなんでもこなせると思うけど、これって言うなら攻撃特化型だね。なんだ。3人揃えばバランスのとれたいいパーティーじゃないか」
だが、3人はあまりピンとこないのか、首を傾げている。まあ、今の説明なんて大雑把もいいとこだしね。これから、ちゃんとした詳細を教えていかないと。
「ごめんごめん、大雑把すぎたね。今から細かく説明していくよ」
そう伝えると、3人は頭を切り替えて聴く姿勢になる。何も聞き漏らさない、という意志が伝わってくるほどに。
「模擬戦の時に、ノールたちには攻撃魔法、防御魔法、支援魔法って教えたけど、今思い返してみると少し表現が違ったね。攻撃型、防御型、支援型って覚え直しておいて」
どこから取り出したのか、3人はバインダーに紙をセットし、羽ペンを構えていた。そしてそばには予備の紙が何枚か積まれている。
「さらに、それぞれ3つは細かく分けられる。攻撃型だと、剣を扱うのか魔法を扱うのか。防御型だと自身の防御力を上げて自ら盾になるのか魔法で盾を作って防ぐのか。支援型は回復か強化のどちらか、みたいな感じで。まれに、支援型で回復と強化を使える奴が居るけれど、大抵はどちらかしか使えないんだよね」
まだ完全に理解したわけではないようだが、それはそうだろう。俺は決して教えるのが上手いわけではない。むしろ下手な部類に入ると思う。だけれど、きちんと聞いてくれるだけで嬉しい気分になる。
「まあ、そういった論理を並べて全部教えていくよりも、ノールたちに関係することだけ話していこうか。まず、ノールからだけど、支援重視の攻撃特化型ってのは回復の方でなく強化のほうで、自身を強化して身体能力をあげて敵に突っ込んでいくってのがシンプルな説明だね」
「……確かに、体を動かすのは合っていると思うけど」
うー? とか言いながら考え込んでしまったが、気にせず次のエフィーにいこう。
「次にエフィーだけど、防御重視の支援特化型で、ノールと違って支援型は回復のほうだね。防御も自身の防御力を上げて守るも、魔法で守るもどっちでもいけるうえに、魔力量がロアールよりも多いのがさらにいいね」
「わ、私、そんなに魔力量が多いのですか……?」
「うん。まだ花で例えるならば蕾の状態で開花していない。開花するのにはまだ時間がかかるけれど、きっかけ1つで速くなったり遅くなったりするから、いつってのが言えないけれどね」
はわぁ……と少し嬉しそうにして上の空になってしまった。
それじゃ最後にロアールだね。
「最後にロアールだけれど、攻撃特化型……っても、支援型の回復を除けばどれでもいけるよ。回復もゼロでは無いけれど、それほど成長しないと思っておいたほうがいい。ノールのように支援型強化で自身を強化して攻撃してもいいし、魔法で攻撃してもいい。どちらも伸び代は十分にあるけれど、速く強くなりたいのならば、どちらかに絞ったほうが断然早いね」
「そう……。だけど、私は両方にする。そうすれば、その時その時で対処していけるでしょ?」
「厳しくなるけれど、後悔しない?」
「うん」
「なら、俺も頑張らなきゃ」
年単位での特訓になるけれど、血反吐を吐いても俺は降りるつもりはないからね?
「「「…………」」」
口に出したつもりはないが、何かを感じ取った3人は悪寒でも走ったのか、ブルッと体を震わせる。
とりあえず、走り込みの体力作りはある程度しっかりしているから、あとは実戦だね。残りの休みはずっと、俺との打ち合いでいいか。
これから3人が、どのように成長していくのか楽しみで仕方がない。
……次回も早く載せられるように頑張ります!
誤字脱字などあったら教えてくれるとありがたいです!はい!
ってことでまた次回!




