1ー10
今回、短いうえに次でストック尽きる…
隙みて書かねば
でわでわ、物語スタート!
「それじゃまたね、ロアール」
優はそう言ってどこかに行ってしまった。
そして残された私たちは……私のためにと思って優に挑んでいった冒険者たちの周りには剣や槍などの形をした氷に囲まれて私以外は誰も動けないでいた。
どれもギリギリのところで寸止めされていて、下手に動くと深い傷を負ってしまう。
唯一動ける私がみんなを動けるように助ける。
本気を出していなかったのか、簡単に取り除くことが出来た。
「あ、ありがとうございます。ロアールさん」
「気にしないで」
冒険者たちが私にお礼を言いに集まってくる。
「ロアールさん。あいつは危険です。もう近づかないほうがいい」
「そうです。あいつには近づかないほうがいい」
「今回だって最古の迷宮にロアールさんを──」
「うるさい」
私の一言で先程まで優の──私の友達の悪口を言っていた冒険者たちが驚いた顔をして私のことを見てくる。
「で、でも──」
「優の言ったとおり、最古の迷宮に入っていったのは私の意思」
「そ、それはあいつが入っていったから!」
「優は迷宮に入る前、私に大人しく待っていてと言った」
「だとしても! あいつは危険です!」
「そ、そうだ! あいつはやばい!」
またしても優に対してマイナスの意見が飛び交う。しまいには──。
「女王陛下に頼んで取り押さえてもらいましょう!」
──なんて言う始末。
……でも。
「たぶん……無理」
いくら“人間族で一番強い”といわれていても。
彼には──優には勝てない。
「大丈夫ですよ! 女王陛下の強さは次元が違いますから!」
「それでも“姉さん”は優に勝てない!」
「……私も、彼は相手にしないほうがいいと思うわ。それに、敵に回すのはもっと危険すぎる」
「ああ、俺もそう思う」
冒険者を掻き分けて私の前に来たのは最後の方、優に防御らしい防御をさせた長く綺麗な金髪が特徴で綺麗な女性と引き締まった筋肉の頬に傷跡のある男性だった。
名前はたしか──。
「シアノス・ニムルハと言います。一応、Sランク冒険者です。こうしてロアールさんとお話しするのは初めてですね」
「俺はギルガ・アーリスト。Aランク冒険者だ。俺も初めましてだな」
それぞれに二人と握手をして挨拶する。
「ロアール・フラスキー。Aランク冒険者。……まさか、七人しかいないSランクの一人がいるとは思わなかった」
「まあ、私のことは一先ずおいて今は彼のことについて話しましょう」
そういえばそうだった。
「まず、俺から言うぜ。なぜあいつが危険だって思うのか」
彼は顔にある傷を撫でながら──。
「勘だ」
──そう、自信ありげに言い放った。
私やシアノス、周りで話を聞いていた冒険者たちはギルガに白い目を向ける。……が。
「俺はギルガさんの言うことを信じている」
ローブを身にまとった男性がギルガの後ろに立つ。その男性の後ろにいる何人かはギルガのことを信じている目をしている。
「最初から信じてもらえないのは分かっているさ。だけど、俺の勘は悪い意味でよく当たる」
「私の知り合いにもそういった勘が当たる人に心当たりがあります。次に私の根拠ですが、単に実力があるからです」
「と、言うと?」
「これだけの大人数を相手にしていたのに汗一つかいていない様子でした。それに、私が最後に放った矢ですが、あれには魔法無効化、防御無視、貫通強化、追尾の魔法が施されているのです。使えるのは私を含めても両手の指で足りると思います」
確かに、本来なら魔法無効化を付与した時点で他の魔法を付与することはまず無理。
だけどそれを成し遂げたものたちが少なからずいるが、その誰もが他のものに教えることはない。この世界ではそれだけ戦い方が重要なのだ。
……一本の矢に四つもの魔法を付与する彼女は人、と言った枠を外れている気がしなくもないが。
「彼は初見だと思いますが、危なげなくこの技を対処してきました。それと私自身に認識阻害の魔法がかかっていたのですが、なぜかすぐに見つかってしまい、目が合いました。それらの点を考え、たとえ全ての冒険者が彼に挑んだとしても傷一つつけるのは厳しいかと」
「それだけでそこまで判断するか?」
「ええ。ロアールさんも気づいていたでしょう。彼が戦っている間、“ずっと目を瞑っていた”ことに」
私は素直に頷く。
周りの冒険者たちがざわめき始める。
「そういえば、ロアールさんはどうして彼を評価しているのですか?」
「…………」
「話したくなければ大丈夫ですよ?」
「たぶん、話しても大丈夫」
急に周りの冒険者たちが静かになる。
「私が優に抱えられて出てくる前、本に書いてあった通り、スライム、ゴブリン、大きな斧を持った少年と出てきた。スライムは私が入ったときにはすでに倒されていて、ゴブリンも出てきてすぐに倒していた。大きな斧を持った少年、本では精鋭たちが怯えるほど、と書いてあったけど優はその少年を相手に遊んでいたように見えた」
「……そう。ロアールさんは彼にまた会いに行くのよね?」
「うん」
「私も一緒に連れて行ってくれないかしら?」
彼女の後に続き、周りに居た冒険者たちも連れてってと言ってくる。
私が先程まで友達である優を悪く言っていた人たちを連れて行くと思っているのだろうか?
彼女──シアノスとギルガは連れて行ってもいいと思っているけれど。
「……シアノスだけ」
「そんな! 俺たちも──っ!」
彼女一人だけと言ったときに詰め寄ろうとしていた冒険者たちの周りに氷で出来た剣を向ける。
「友達を悪く言うような人たちは連れて行かない」
「は、……はい」
「ギルガも一緒に来る?」
先程から静かにしているギルガにも声をかける。
「いや、俺は遠慮しておくよ」
「ん、分かった。それじゃシアノス、今から行くよ」
「はい。ギルガ、後のことお願いします」
「ああ」
私はシアノスを連れてエガースの家へと転移魔法で移動する。
まず、夏休みの宿題を今日もらったから、それを終わらせないとな…
ってことでまた次回〜




