1ー9
やばい……後、2つ3つ載せたらストックが尽きる。尽きてしまう。
10万文字はいくと踏んでいたのに……
時間見てヤンデレものも頑張りつつ書かねば…
…まあ気にせずに物語スタート!
それは黒が現れた五百年よりもはるかに昔、迷宮など詳しく解明されていなかった時代。
迷宮についてよく分かっていなかったため、近くに生えている木の実は取ってはいけないようになっていた。
しかし、荒れた天気により、作物が育たず、人々が飢餓に苦しんでいるとき、一人の若者が我慢できずに実を取って食べてしまった。味は格別に美味しいわけではないが、食べられないほど不味いわけでもない。しかも一つとったら二つの実がすぐに生るのである。人々はこぞってその実を取り、飢えをしのいだ。
そしてそれから時は進み、迷宮の仕組みが分かったころにはもう、手遅れになっていたのである。
そうして誰にも攻略が出来ない迷宮が出来上がった。
それは五百年前の英雄黒も例外でなく、近寄らなかったほどに。
私はその場所にテレポートで一緒に飛ばされ、優は一人で衛兵の横をすり抜けるようにして歩き、迷宮に入って行ってしまった。
優の実力はよく分からないが私より上である。だけど私より強い人はいる。私より強いことが分かっていても、一人では死に行くようなものだ。だから慌てて優の後をいそいで追いかけて迷宮の中に入っていく。
早く優を呼び戻さなければいけない。
こんなにもいそいでいるのには理由がある。
それは三百年ほど前に種族関係なく精鋭を集め、塔を攻略に行ったときのこと。
最初に入った部屋には、見た目はただのスライムだった。ただ、そのスライムは他のスライムとは違い、全てにおいて早く、強かった。そして本来なら身体の一部を切り取られたらその部分は消えるはずなのに、ありえない再生能力でスライムがもう一匹増えたのだ。
けが人を出しながらも死人は出ず、スライムの核を壊して何とか倒した後に現れた宝箱のなかにはたくさんの金貨が入っていた。
それを見た精鋭たちは顔を綻ばせていたが、すぐさま宝箱を端に置き、戦闘態勢を整える。
今は敵陣の真只中と言っても過言ではない。気を緩ませて死んでしまっては意味がないのだ。
そして次に出てきたのはゴブリンだった。
だが、そこらへんに居るようなガリガリにやせ細っているわけでなく鍛え上げられている筋肉に切れ味のよさそうな剣を持っている。しかも見掛け倒しなどではなく、攻略するために入った精鋭たちと互角に渡り合っている。
が、これの対処は魔族の広範囲魔術で一掃することにより、攻略できた。
問題となるのは次の敵だ。
見た目はただの少年。だが、そこに立っているたけで攻略に入った精鋭のほとんどが動けなくなった。中には気絶するものまでいる。
その少年の存在に圧倒されたのだ。
先程までと同じように動けるのは二十にも満たなかった。その動けるものたちも力の差を理解できるものたちで、攻撃してこないことに疑問を抱きながらも全員撤退させる。
そしてそのものたちは口を揃えてこう言った。
『この迷宮はパンドラの箱と一緒だ。二度と近づきたくない』
そのことが分かったきり誰も入らなくなった。
☆☆☆
私は迷宮に入ったときはすでに優は生きていない、と思っていた。
いくら優が強くてもどこまで強いのか分からない。だから最初のスライムに不意を突かれたと思っていた。
だから生死の確認をしたらすぐに外に出て行くつもり“だった”。
迷宮に入って私の目に映ったのは、スライムの核となる部分を半分に切られ、消えていくスライムを見下ろしている優の姿だったからだ。
☆☆☆
迷宮に入って居たのはただのスライムだった。
ただ一つ違うところを上げるとするならばそのスライムは普通のスライムと違いものすごく強く、現にいまもすでに俺の足元まで迫り、身体の一部分を鋭くさせて俺に風穴を開けるべく攻撃してきている。
それを最小限の動きで避け、伸びきった腕? を根元のところで新しく作ってもらった刀で切り落とし、すばやくそのスライムから離れる。
すると、切り落とした部分は消えたりせず、だんだんと大きくなっていき最初に居たスライムと同じ大きさまでになった。
「……うわぁ」
初めからから面倒な敵だな。
最初に居たスライムとは違い、切り落とした部分からのありえない再生をしたスライムに核がない。おそらく、最初に居たスライムの核を壊すしか倒す手はないようだ。それに、時間をかければかけるほどこちら側が不利になっていく。
今、こうして考えながらも“増えていくスライムたち”の攻撃を避けている。
そう、核を持ったスライムは後ろに下がり、核を持たないスライムが俺に接近して攻撃をしてきている。その間に核を持ったスライムは身体? を震わせたかと思うとそのスライムから水みたいなものが周りに散っていく。その水だと思われたのは核を持ったスライムの身体の一部だったらしく、核を持たないスライムが増えていくのだ。
しかも、核を持たないスライムの端を切り落としてもありえない再生で増えていく。
「……飽きた」
ここまでに一分とたっていないが、飽きた。俺は鉄のように熱しやすく冷めやすい。少し違うか?
まあ、一度はまるとなかなかやめることが出来ないけれど。
だからもう、終わらせることにする。
どこにでもいるスライムの核よりも小さいが、俺にとっては何も問題ない。
「ちょっと、期待外れだったかな」
核を持ったスライムのそばに立ち、核を半分に切る。
すると、核を持たないスライムと一緒に蒸発するように消えていった。
「……うそ」
「ん?」
入り口を見てみると迷宮の出入り口付近にロアールが驚いた顔をしながら立っていた。
「どうかしたの、ロアール」
「どうか──優! 後ろ!」
もう次の敵が出てきたのか、振り返ってみると軽く百を超えるほどの筋肉ムキムキゴブリンがそこにはいた。そのうちの一匹が俺めがけて剣を振り下ろそうとしている。
だが俺は慌てずに半歩横にずれて剣を余裕持って交わす。
「安心していいよ、ロアール。だってもう“死んでいるから”」
俺が言い終えた頃に剣を振ったゴブリンの首が落ちた。それに続いて他のゴブリンの首も次々と落ちていき、先程のスライム同様に蒸発するようにして消えていく。
「っ!? ダメ! 今すぐ迷宮出るよ!」
「何を慌てているのか分からないけど、大丈夫だよ」
「大丈夫じゃない! お願いだから──貸し全部使って今すぐ私とここを出よ!」
「……むー、貸しを使われたら従うしかないじゃないか」
しょうがない。一旦諦めてロアールと共に出るか。
スライムやゴブリンたちが消えた後に出てきた宝箱の中身に興味は無いので刀を鞘にしまってロアールの元に向かう。
「ん?」
ロアールの表情が安堵から驚愕……じゃないな。恐怖? へ変わる。
見ているのは俺ではなく、俺の後ろ。気になってふと足を止め、振り返ってみる。
そこには少年が立っていた。白いシャツに白い長ズボン。そして手には地面に刃がめり込んでいる大きな斧が。
その少年は俺と目が合うとにっこりと微笑んだ。
瞬きをして目を開けると俺の目の前まで大きな斧が迫っていた。
それを後ろに下がって避けると少年は少し驚いた顔をした後、またにっこりと微笑む。
「優! 早く逃げよう!」
ロアールが立ち直ったのか、俺に逃げろと叫ぶようにして言ってくる。
正直、こいつはそこまで強くない。倒そうと思えばすぐにでも倒せる。
だけど、先程ロアールに貸しを使って迷宮から出ようと言われた。
さて、どうするか……と言っても答えは決まっているが。
「残念だけど、君と遊ぶのはまた今度だ。友達を待たせているからね」
そう言って少年の間合いから離れる。
「今度来たらちゃんと相手してあげるから、それまでに今よりも強くなっていてね」
「きゃっ」
ロアールの元に移動し、お姫様抱っこして迷宮から出る。
可愛らしい声が聞こえたのは得した気分だ。
「およよ?」
迷宮から出ると人がたくさんいた。雰囲気的に友好的ではないようだ。
「今すぐロアールさんをこちらに渡せ」
よくよく見ると、ギルドにいた人たちもいる。あの女性なんて受付の子じゃなかった?
「まあ、別にいいよ」
ロアールを地面に下ろし、軽く背中を押す。
振り返って俺の顔を見てくるが、笑ってあげると俺の考えを汲み取ってくれたのか俺から離れていく。
何事もなくロアールが俺を囲んでいる人たちのところに着いたので聞きたかったことでも聞くか。
「で、なにかよう?」
俺の質問に答えず、まわりの人たちは武器を構える。
「……あ、そう。そういうこと。どうなっても知らないから」
大方、この迷宮の出入り口にいた衛兵が国にでも報告したのだろう。
呆れてなにも言えないよ。
俺が何をしたっていうのだか。
「まったく、面倒だな」
いま、俺の周りでは爆発が起こっている。俺に被害はまったくといっていいほどないが。
魔法が途切れたところを剣や斧、矢なども俺に向かってくるが、先程の魔法同様に被害はない。
「いい加減諦めたら? 雑魚は何人居ても雑魚だよ?」
今のセリフを聞いてどう思ったのかは知らないが、攻撃の雨が止まり、最初のように俺を逃げられないように囲う。……まあ、普通に逃げられるけど。
「……ん?」
俺の真正面にいる女性が弓を俺に向けて構えている。そして周りにいる奴らはいつでも移動できるような状態だ。
なんとなくいやな予感がしたから、広範囲から砂鉄を集め練り固める。
そして集まった砂鉄で厚さ五センチの盾を五枚ほど作り、縦に並べるようにしておく。
それが出来たと同時に女性が矢を放つ。
「危なかった……でも、久しぶりにヒヤッとさせられたのは少し嬉しいかも」
その矢にはマジックキャンセル──魔法無効化が付与されていて砂鉄の壁を容易く壊してきた。慌ててそこらへんに落ちてあった石を風魔法で矢の横にぶつけるようにして飛ばし、軌道を逸らして事なきを得た。
女性が矢を放ったと同時に飛び出した冒険者たちには地面に這い蹲ってもらっている。
「あのさ、いい加減に分かってよ。お前たちじゃ俺に一生勝てないって。それに俺がいつでもお前たちの命を消すことが出来るって分かっている?」
ほんと、なんでこんなに怒っているのやら。
「お……お前が、……ロアールさんを危険な目に合わせたから……」
俺の心を読んだように知りたいことを教えてくれる。
「何言っているの? 冒険者は死んでも自己責任でしょ? バカじゃないの」
そろいもそろってバカばかり。五百年前のほうがよっぽどましだよ。
「それに、俺の後に続いて迷宮に入ってきたのはロアールだよ?」
ほんと、萎えた。
這い蹲っている冒険者たちに使っていた魔法を解く。冒険者たちは立ち上がって警戒しながら俺から離れていく。
「ロアール、俺は先にあいつの家に戻っているよ。用があるならいつでもおいで。……あ、でも四日以内には一回来てね」
「う、うん」
「それじゃ去る前に置き土産でも」
俺は足を一度、踏み鳴らす。
「それじゃまたね、ロアール」
俺はエガースの家に転移で戻る。
まあ、なんだなんだで頑張ってこーとは思いますけど、まあ、頑張る。
ってことでまた次回〜




